不安から自分を解放してあげる処方箋 ~その27 他人を従わせることの意味~

人間関係を壊してしまった原因とは

  • どうして返信が来ないんだ? 自分だったらもっと早く返信するのに。
  • なんで言った通りにしてくれないんだ? 黙って言うことをきいてほしい。
  • この状況に耐えられない。 みんなを従わせることができたらいいのに。
こんな風に思ったことはない?
あるよ。
友達とか同僚とか、反論しないで言うことをきいてほしい、とか・・・
でも反論しないで言うことを聞いてもらえたとしたら、ずっと言うことを聞いてほしいって思い続けることになるよ。
・・・どういうこと?

自分に従ってくれれば満足するのか


ここで、二人の会話を見てみましょう。

K君はリス太君に不満があり、「こうしてほしい」と伝えたいようです。

「こうしてほしい」を伝える

どうして既読なのに返信くれないの?
ひどいと思う、僕のことなんてどうでもいいわけ?
ごめん、忙しくてつい忘れちゃってたんだ。
次からはちゃんと、目を通してすぐ返事をするから。
ふうん、わかったよ。
でもそう言ったって、どうせまた忙しいと忘れちゃうんでしょ。
いつも僕よりも他の友達を優先してそうだし。
そんなことないよ。
僕にどうしてほしいの?
ちゃんと、僕の連絡を読んで、返事をくれたらいいんだよ。
わかった、そうするようにするよ・・・
どうせ「適当に返せばいい」って思っちゃうでしょ?
そんなことないんだけどな・・・

「こうしてほしい」が実現されても、次の「こうしてほしい」が生まれる

K君はまず、返事が遅い、ということに腹を立てていました。

だから、早目に返事がほしい、と望んでいたはずです。

それならば、リス太君が「次からはちゃんとすぐ返事をする」と言った時点で、K君の要求は通り、満たされたはずです。

そもそも返信もタイミングも、リス太君の自由にしてもいいもの。

リス太君のその人権を縛って従わせることができたわけですから、K君は満足を得ているはずです。

しかしさらに、「忙しいとどうせ忘れてしまう、他の人よりも優先順位が低い」と口にします。

だから、きちんと連絡に目を通してほしいと望みます。

そしてリス太君が「わかった」と了承をしたとしても、「適当に返すのでは?」と不安や不満を口にします。

言うことをきいてほしい、従ってほしい、って思っているなら、「ちゃんとすぐ返事する」って言ってもらえた時点で満足するはずじゃない?
おかしいな、連絡をちゃんと返して、って思ってただけなのに・・・

「こうしてほしい」「やめてほしい」の先にあるもの

これらがどうして起こるのか。

「連絡をもらう」ということが目的だったわけではないようですね。

「従わせる」ということが成功したのにK君が満たされていないのはなぜでしょうか。

それは、「連絡をもらう」「従わせる」が実現されたら、幸せ・満足がある、と勘違いしているからです。

相手を思い通りに動かしたい、という欲求は誰にでもあるもの。

そういった心理学や恋愛テクニックが、世の中にあふれています。

しかしそうして実際に従わせることができたとしても、不満と欲求は際限なく続くのです。

「こうしてほしい」と思うのは何故?

どうして「言うことをきいてほしい」「従ってほしい」と思うのでしょうか。

自分の満足のためでしょうが、実現されたとしても、次に次にと要求があふれてきます。

意のままに相手を動かせるようになったとして、次の欲望が出てきては、終わりなく「言うことをきいてほしい」と思い続けることになります。

これでは最終的には「不満」で終わってしまいます。

このことが、人間関係、友人・恋愛関係を壊してしまう原因になっているのです。

 

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