選択理論の復習⑥ 変えられることに目を向ける
就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。
前回は、人の行動を4つの要素に分類し、そのコントロールの方法についての話をしました。
今回は、この考え方を生きていく中でどのように活かすことができるのか考えていきたいと思います。
直接コントロールできるものとできないもの
前回の記事で、人の行動を「行為」「思考」「感情」「身体反応」に分類しました。
そしてこのうち「行為」「思考」は直接コントロールすることができるのに対して、「感情」「身体反応」は直接的にはコントロールできないと話しました。
では、これを踏まえて、以下の項目をコントロールできるものとできないものに分けてみましょう。
・自分の表情
・自分の言動
・明日の予定
・今日の寝る時間
・旅行する場所
・付き合う人
・将来の自分
・自分の上司
・今年残された日数
・降っている雨
・他人の言動
・先月の売上
・緊張した出た汗
・時間に遅れているバス
この項目のうち、前半の8つは直接コントロールが可能なもの、後半の8つは直接コントロールすることができないものです。
前半に含まれているのは、「自分の行為」「自分の思考」「未来の出来事」です。
直接コントロールできるといっても、それが必ずしも自分の望む結果になるとは限りません。
例えば、「将来サッカー選手になりたい」と考えていたからといって、100%サッカー選手になれるというわけではないでしょう。
しかし一方で、「サッカー選手になるために練習する」というように、自分自身がそのための行為を起こすことで、その夢に近づいていくことができます。
未来に起きることは、「自分の思い通りになる」わけではありませんが、「自分の意思で変えることができる」ことではあるのです。
一方で、後半に含まれているのは「他者の行為や思考」「身体反応」「過去の出来事」です。
これらは、直接自分の意思で変えることができません。
変えられるもの変えられないものを区別しておくことで、ネガティブな感情や身体反応を減らし、過ごしやすくすることができます。
例えば、「出勤しようとしたらいつも乗っているバスが遅れている」という状況をイメージしてみてください。
「出勤時間に遅れてしまうかもしれない」と考えるとイライラしてきてしまいます。
この場面でやるべきことは、”変えることができること”に焦点を当てることです。
まず、”変えられないこと”に焦点を当ててしまった時の状況を想像してみましょう。
「なかなか来ないバスのことを考える」「もっと早く家を出るべきだったと考える」
これは、自分以外の対象や過去の出来事に焦点を当てた考えです。
これらのようなことに思考を割いてしまえば、ますますイライラしたり、あるいは不安や落ち込みなどの感情も浮かんできてしまい、さらに状況が悪くなってしまいます。
この場で”変えられる”ことは、自分自身の行為と思考です。
「タクシーを使うことにする」「他のルートで行けないか考える」
これらのような自分の行為、思考を変える選択肢を選ぶことでイライラの感情は薄まり、問題に対処することができるでしょう。