出張講座『ストレスとうまく付き合えるようになろう!』

出張講座『ストレスとうまく付き合えるようになろう!』

本日の午後は、新宿しろくまカウンセリングより、講師として臨床心理士、公認心理師の『安藤沙織』先生をお招きし、出張講座を開催していただきました。

講座の内容について、一部をご紹介します!

はじめに

メンタルヘルスに関わる「22.9%」という数字。

これが何を意味するか、わかりますでしょうか。

実はこの数字、精神障害の生涯有病率なんだそうです。

つまり、おおよそ4人に1人の人は、心療内科や精神科に受診し、何かしらの診断がつくというように考えられます。

では、メンタルダウンしてしまう人とそうでない人とでは、いったい何が違うのでしょうか。

それは、「ストレスに対して、適切に対処することができているかどうか」ということです。

これから学ぶ「コーピング」とは、ストレスに対して意図的に対処することです。

ストレスってなんだろう? ~ストレスを分析してみる~

ストレスの分析をすると、いったいどんな良いことがあるのでしょうか。

ストレスを分析するメリットは、自分のストレスに対する解像度・感度が高くなることです。

そうなることで、早めに、そして適切にストレスの対処ができるようになるのです。

あなたは、どんなことに「ストレス」を感じるでしょうか?

「口調が強い上司」「立ち上がるのが遅いパソコン」「転職活動」「駅の人混み」などなど、人それぞれ、様々なことが挙がってくるかと思います。

ストレスは、ストレッサーとストレス反応に分けて考えます。

普段「ストレス」呼んでいる、ストレスの原因となるものが「ストレッサー」

それに対して、ストレッサーによって引き起こされる心と身体の反応が「ストレス反応」です。

例を挙げると、

・駅の人混み
・口調が強い上司
・父親の介護

といったものがストレッサーであり、それに対して

・汗をかく、お腹が痛くなる
・「自分はだめなんだ」と思う、絶望感
・イライラする、やけ食いする

といった反応が出るのがストレス反応です。

難しいのが、同じ出来事であっても、ストレス反応が出る人と出ない人がいる、ということです。

例えば、先ほども挙げた「口調が強い上司」から修正をたくさん受けて、「もうちょっと自分で考えて」と言われてしまったことで、「自分はだめなんだ」と絶望感に苛まれる人がいたとしましょう。

しかし一方で、同じ状況下であっても、「修正たくさん受けちゃった!次は気をつけよ!」と受け止めるだけで、ストレス反応が起きない人もいるかもしれないのです。

周囲がストレス反応を受けていない時などには、中々ストレッサーに気づきづらく、自分に出ているストレス反応についても、中々そうと気づけないかもしれません。

自分自身が日々感じているストレスに気が付き、分析することが大事になります。

コーピングってなんだろう

コーピングとは、ストレスに対して、意図的に対処することです。

コーピングは大きく、”問題焦点型コーピング”と”情動焦点型コーピング”に分けることができます。

問題焦点型コーピング=ストレッサーに働きかけるコーピング
例) 「結婚のことは言わないでほしい」と母親に言う、そもそも実家に行かないようにする

⇒そもそもの問題解決になるため、うまくいったときにストレスが大きく減る。人間関係の衝突が大きくなることも。
 白黒つけたい、完璧主義の人が採用する傾向にある。

情動焦点型コーピング=ストレス反応に働きかけるコーピング
例) しろくまの動画を見る、友人と話して発散する

⇒根本的な解決にはならないが、すぐに実行できるものが多い。
 受け身的な生き方になりやすい。

問題焦点型と情動焦点型をバランス良く使うことが重要です。

情動焦点型コーピングは、さらに”認知的コーピング”と”行動的コーピング”の2つに分類することができます。

認知的コーピング=認知に働きかけるコーピング
例) 「お母さんの生きてきた時代背景を考えると、結婚を急かすのも仕方ない」と考える

行動的コーピング=行動に働きかけるコーピング
例) 大好きなケーキを食べる

なお、コーピングとは、ストレスに対して意図的に対処を行うことであるため、「やけ食いをする」ことはコーピングになりません。

しかし、意図的に、コーピングと思ってケーキを食べるのであれば、それは一つのコーピングとして役に立つでしょう。

認知的コーピングの例

・諦める、受け入れる、忘れる
「ま、いっか」、「言っても仕方ない」、期待するのを辞める、人は変えられないと考える

・好きなものを想像する
美味しいお菓子、海外旅行、好きなアイドル、お気に入りの映画、ペットの犬

・自分をねぎらう
「とはいえ、いつも頑張ってるよな」、「自分としては最善をつくしたよな」、「大丈夫だよ!」、「よくやっている!」

・相手のせいにする
頭のなかで相手に言い返してみる、「自分は正しいことをした」

・別の考え方をしてみる
「逆によかったかもしれない」、相手の背景を考える、良い面を考えてみる、「良い勉強になった」

行動的コーピングの例

・癒やされるものに見る・触れる
飼い犬を抱きしめる、猫の動画を見る、スマホの待ち受けの推しを見る、甥っ子と電話する

・発散する
枕を投げる、大きい声を出す、泣く、歌う、踊る

・頭のなかを空っぽにする
ランニングをする、玉ねぎを炒める、刺繍をする、サウナに行く

・趣味をする
カラオケに行く、スポーツ観戦に行く、マッサージに行く、美味しいものを食べる、コーヒーを淹れて飲む、ゲームをする、公園を散歩する、街をぶらぶらしてみる

・香りをかぐ
アロマをたく、ミント系のタブレットを食べる、好きな香りのハンドクリームをつける

・誰かと話す
友人に悩みを聞いてもらう、ランチに行く約束をする、カウンセリングの予約をする

 

restart_banner