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第52回 教えて!リス太くん

今日は、トゥレット症候群について見て行くよ!
トゥレット症候群とは
トゥレット症候群とは発達障害に類する脳機能障害であり、トゥーレット症候群やトゥレット障害と呼ばれる事もあります。
国立難病センターの難治性疾患研究班情報によると、トゥレット症候群の定義は、
音声チックを伴う複数の運動チックが一年以上持続する
精神神経疾患であるとされています。
1000人から2000人に1人の割合で発症するとされており、女児よりも男児の発症率が高い傾向がみられます。
トゥレット症候群の原因

トゥレット症候群の原因はまだ完全には解明されていないけど、原因だろうと言われている要素が3つあるんだ
1.遺伝的要因
トゥレット症候群の人のうち、65~90%には家系発症がみられます。
そのことから、遺伝的要因があると考えられています。
また、一卵性双生児の場合、一致率が53%と顕著に高く、二卵性双生児の場合は8%しかない、というデータも報告されています。
2.ドーパミン受容体の異常
トゥレット症候群の人に、大脳基底核にあるドーパミン神経受容体の異常があることが示唆されています。
ドーパミン神経とは、情動、注意、意欲、報償、依存、歩行運動など、私たちの精神活動や身体活動にとってとても重要な役割をつかさどる重要な神経です。
この大事なドーパミン神経系の働きが、活性の低下によってドーパミン受容体が過活動の状態になり、チック症状などを引き起こす原因になると考えられているのです。
3.大人のトゥレット症候群の原因は"ストレス"
大人のトゥレット症候群の症状は、精神的ストレスによって大きく左右される傾向にあります。
なので、過度なストレスを受ける環境にいる場合には、症状の重症化を招いてしまう可能性があります。

症状が精神的ストレスによって軽くなったり重くなったりする事からも、大人になってから発症するトゥレット症候群は、精神的・心因的な原因がある事が多いと言えるでしょう。
主な症状は重度のチック
トゥレット症候群の代表的な症状はチックです。
チックとは、ある種癖のように見える局所的・突発的な不随意運動や発生が急速に起こる症状のことを言います。
例えば、目にチックの症状が出ると、瞬目(しゅんもく)と呼ばれる瞬きのような運動が起こる事があります。
運動チック:首を振る、顔をしかめる、口をすぼめる、肩をすくめるといった上半身の運動。
飛び跳ねや足踏み、足で蹴るなどの全身の運動性チックもあります。
音声チック:咳をしたり、鼻を鳴らしたり、単語を連発する、叫ぶなど
<トゥレット症候群と併発しやすい主な病気>
トゥレット症候群にはしばしば合併症がみられます。
- 脅迫症/脅迫性障害
- 注意欠如/多動症/多動性障害
- 睡眠障害
- 学習障害
- 自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害
- 不安
- 抑うつ傾向
- 怒り発作 など
<大人の>トゥレット症候群の治療
ストレスを感じた時には、意識的にリラックスするように努めましょう。
腹式呼吸などをして、気持ちを落ち着かせましょう。
腹式呼吸はストレス解消に効果的な呼吸方法です。
気が付いたときに、大きく息を吸い込んでお腹を膨らませ、息をゆっくり吐き出しましょう。
息を吐き出す時に、身体の力を抜くようにするのがポイントです。
症状の改善に有効なのは、チックにばかり本人の注意が行かないようにする事や、興味のある事に集中して取り組ませてあげる事などが挙げられます。
症状が長期に渡り慢性化の一途を辿り、劇症化する場合には専門医療機関での治療を受ける事も視野に入れましょう。
トゥレット症候群の治療薬

トゥレット症候群の主な症状であるチック症状が現れるのは、ドーパミン系神経の過活動が原因であるという説が有力なため、治療に使う薬の効果としては、ドーパミンの過剰な働きを抑制するものを使用します。
トゥレット症候群の患者によく使用されるのは、以下の薬です。
ハロペリドール
中枢神経や自律神経の働きを強力に抑制する作用がある向精神薬です。
興奮や幻想、妄想、不安、緊張などの症状で高ぶった精神を落ち着かせる効果があるそうです。
リスペリドン
中枢神経にあるドーパミン受容体の働きを抑制する薬です。
ドーパミン受容体の過活動がトゥレット症候群発症と大きな関わりがあるとされている事から使用されるようです。
比較的副作用の少ない第2世代の抗精神病剤だそうです。
クロルプロマジン
ドーパミン受容体の過活動によって引き起こされる混乱や興奮などの陽性症状を抑え、寝付きを良くする効果もあるそうです。
アリピプラゾール
ハロペリドールのように古典的な抗精神病薬の副作用が強いために用いられるようになった新規の抗精神病薬です。
大人のトゥレット症候群の患者に効果があるかという実験が行われ、その実験にて有効な効果がみられたとの報告があるそうです。
その他に、神経伝達物質セロトニンの働きを高める抗うつ薬であるSSRIや、神経伝達物質のGAVAの働きを高めるベンゾジアゼピン系抗不安薬を使用して治療する場合もあります。
上記の薬は、チック症状の改善は見込めるものの、副作用が強く出る傾向が否めません。
その為、副作用が比較的少ないと言われている漢方薬での治療を選ぶ患者もいます。
東洋医学では、チックの症状を痙攣の一種として考えるため、抗ストレス作用と気持ちの高ぶりを鎮める作用があり、気持ちを安定させる漢方薬が用いられます。
薬の副作用は?
トゥーレット症候群の治療に用いられる薬には、ドーパミンの働きを抑制する働きがあります。
その為副作用があるものが多く、副作用の症状は、眠気や筋肉のこわばりや硬直、眼球運動障害や嚥下障害などの多岐に渡ります。
薬物療法での治療で完治を目指す場合にも、心理教育、環境整備と周囲の理解は欠かせません。
トゥレット症候群やチック症の症状は、適切な治療と周囲の理解によって環境並びに本人の感じ方・捉え方を変えていく事で軽減させたり、完治させる事が可能であると言われています。
トゥレット症候群の主な症状である重症チックは、本人の意思に関わらず現れる症状であるため、自分で止める事ができません。
薬物を使用するかどうかに関わらず、治療を必要とする精神神経系の病気です。
薬物療法や現在のわが国では積極的に行われていない行動療法での治療でも、症状の改善・軽症化がみられない難治性の重症チックの場合には、手術が適用される場合もあります。
その場合は、深部脳刺激療法と言われる、大脳基底核に電極を埋め込んで継続的に刺激を与える手術を行います。
重症のトゥレット症候群を治療するためには、病院での診療や薬物治療を受ける必要があります。
大人のトゥレット症候群の治療は、精神科や神経内科、心療内科などの専門医療機関の受診し医師に診察を受けましょう。
まずは気軽に相談してみてくださいね!メールフォーム・LINE・電話のどれでも対応してます!




