繊細で真面目な人のメンタルケア講座 ~通院すべき?④ 発達障害の通院基準~
発達障害の症状、受診すべき?
不注意、多動、コミュニケーションの難しさ。
「発達障害」という言葉が広まるにつれ、「もしかして私って発達障害?」と思い、病院を受診される方が増えています。
また、うつや適応障害、睡眠障害などで受診した人も、
対人関係・コミュニケーションのトラブル、仕事の進め方の困り事などが発達障害に起因していることもあるようです。
「もしかして自分が?」と思ったとき、受診すべきなのでしょうか。
- よくある「発達障害かも」という症状に当てはまる。
- 仕事や学業で、発達障害のものと思われる症状がある。
- 発達障害だったら、どうしたらよいかわからない。
- 失敗が多いのは、もしかしたら発達障害のせい?
仕事や生活のうえで、悩み事・困り事は尽きません。
どう判断したらよいのでしょうか?
発達障害ってダメなことなの?
ネットやテレビの情報を見て、「もしかしたら私も発達障害なのかも」と思うことはありませんか?
日々のトラブル、困り事、悩み事が、発達障害が原因な気がする、と考えたことはありませんか?
その反面、「発達障害の症状があるけど、自分は病気なのか」、「発達障害だから、生きていくのは不利なんじゃないか」、とか、
「発達障害だと診断されたらどうしよう」、と、医師の診断でもないのに心配になってしまっていませんか?
自分で判断しないことが重要です
ネットやテレビなどのメディアでは、「発達障害ってこういうもの」と特徴を挙げています。
ネットでも診断基準が公開されていて、自分の状況と比較しやすいのも事実。
しかし、当てはまるからといっても発達障害でない可能性もあります。
診断基準というのは、発達障害を診断した経験がある医師が使うものであり、一般人向けのチェックリストではないのです。
また、発達障害というのは、ウイルス検査などと違い、「これができなかったら確実」「あてはまったら確実」という判断基準になるものがありません。
様々な症状が複合的に存在していて、個々人により症状、度合い、重なり方が異なります。
そのため、医師も一度で断定できず、何人もの医師が総合して診て初めて正確な対処ができる、という場合もあるのです。
さらに、チェックリストや診断基準に「いくつか」当てはまる人は多数いますが、その人たち全員が発達障害と診断されるわけではありません。
発達障害のチェックリストや診断基準は、誰しもどれかが当てはまる可能性がある、曖昧で、かつ広範囲なものです。
だから、「チェックリストに当てはまるから自分は発達障害だ。生きていくのが不利だ」、などと、診断も受けていないのに一人で落ち込むことはありません。
また、発達障害は病気だ、生きるのに不利だ、という誤解も、メディアなどによって広まっています。
しかし実は、長所として活かしていくことができる症状なのです。
長所だと思えるようになる方法
「障害」「病気」と、発達障害をデメリットだと思い込んでしまうから、「当てはまったらどうしよう」「不利だ」と不安になったり、怖がったりしてしまいます。
しかし、偉人、成功者、事業家・経営者、作家、アーティストなど、発達障害の特徴を生かして活躍している人が多くいます。
また海外をはじめ国内でも障害を公表する著名人も増えてきました。
障害だとマイナスの視点で見ることしか知らなければ、この生き方はできません。
たとえばADHDの特徴ですが、マイナスの視点しか知らなければ、じっとしていられない、落ち着きがない、じっくり考えられない、といった点しか見えません。
しかしそれらは逆に長所でもあり、行動力、エネルギッシュ、勢い、直感力、といったものが求められる分野が得意だということになります。
一方、細かい作業、こつこつじっくり取り組む仕事、じっとしている忍耐力が必要、などの分野は苦手です。
ですので、営業職や、デザイナー、アーティスト、企画職、経営者、といった仕事でその特徴を活かすことができるでしょう。
ASDも同様で、マイナス面だけだと、臨機応変に対応できない、コミュニケーションが苦手、集中しすぎる、などの問題しか見えません。
しかしそれらは長所として、規則や計画に忠実に進められる、集中力が高い、といったことでもあります。
一方で、コミュニケーション能力が求められる仕事、曖昧さがあるもの、臨機応変さが求められるものは苦手です。
これらを活かせるのが、研究者や、設計、経理、法律関係、プログラマーといった仕事でしょう。
苦手な分野ももちろんありますが、それだけではなく、特徴を活かすこともできる、ということを覚えておきましょう。
困っていることがある?
チェックリストにあてはまる、発達障害かも、と感じている人で、落ち込んでしまう、ネガティブになってしまうのが最もよくありません。
リストや診断基準では、対処方法は書いてありません。
診断も対処方法の検討も、一般の人、医師ではない人、専門家ではない人にはわからないのです。
だから、何か困り事があるようであれば、受診するのが最も正確です。
リストの項目にいくつかあてはまる、という人は多いという話をしましたが、
当てはまっていても大きな問題にはなっていない、困っていないという人も多数います。
アニメや漫画のキャラクターなどで、勢いはよいが躓きがち、という設定がよくありますが、当人たちはその勢いで楽しんでいて、失敗はしても大きなトラブルになり困ることはない、というのであれば、それは無理して治療をする必要はありません。
もちろん受診すれば発達障害だと診断を受ける可能性はありますが、社会生活を送れていれば大きな問題ではないのです。
逆に言えば、リストや診断基準に何点かあてはまっていて、その症状のせいで社会生活に問題がある、社会生活で困っている、という状態であれば、受診し治療・対処の検討をすべきといえます。
何個か当てはまる、というだけで、社会的に問題が起きていない場合は、障害となるっているわけではないので、治療の必要はないということです。
コミュニケーションがうまくいかずトラブルになる。
計画性がないため失敗する。
仕事でミスを連発する。
など、何か困っていることはありますか?
発達障害かも、と感じたら、それらの症状が問題になっているかどうかで、通院をするかどうか検討するとよいでしょう。