リス太と学ぶ認知行動療法 ~完全主義のメリット・デメリット分析~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

前回の話で、完全主義の考え方は、自虐的思い込みであってマイナスの効果が多々ある、ということがわかってもらえたかな。
優れたものを追求することは悪いことではないけれど、完全主義の考えは、自分を傷つけてしまうものなんだってわかったよ。
今回は、そんな完全主義について、メリット・デメリット分析をしてみるよ!

完全主義のメリット・デメリット分析

それじゃあ早速、「私は完全を追求しなければならない」という完全主義の考えについて分析してみよう!
やってみるよ!

 

信じることのメリット 信じることのデメリット
最良の仕事をするために努力する 失敗したり、ミスを犯したりすると非常に動揺する
良い仕事をしたとき、良い気分でいられる 他人から批判を受けると、自己防衛的になる
中くらいの成果で妥協することはない 自分のミスから学ぶことが困難になる
完全を求めることで、自分は特別であるという意識を得られる 仕事が十分で完全であると感じられることはないので、いつまでも満足を感じることができない
非常に勤勉で、人々から尊敬される 創造的になることを恐れて新しいことに挑戦できない
孤独感を持つ
自尊感情を得るためには、常に完璧を求めなければならず休まる時がない
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ふむふむ。デメリットのほうが強いと感じたんだね。
自尊感情を得ることに繋がるけれど、完璧でないと自尊感情を得られないのであれば、苦しんでしまうことのほうが多いと思ったんだ。
それなら、メリットをそのまま残して、デメリットがなくなるような修正を目指してみよう。
うーん・・・
「より良いものを目指し追求していくことは良いことだが、完璧なものを作るのは現実的ではなく、人間である以上失敗やミスは誰にでもあることだ」
こんな感じかな?
いいじゃない!
そんなふうに、考え方のメリットはできるだけ残した上で、デメリットにはつながらない考え方に変えていくことが大事なんだ!

欠点がプラスになることもある

でも、完全を目指さないと言うのであれば、どうすれば人から愛されたり、認められることができるんだろう?
完全主義を持っている人の多くは、完全を目指し、卓越することによってのみ、愛情や承認を得ることができると考えているけれど、実はこれとは矛盾した考え方もあるんだ。
ええっ、そうなの?
それは、成功や業績によって人は称賛されるけれど、人間的に愛される存在にするものは、脆弱さや欠点である、というものだよ。
ええー!信じられないよ!
相手を大切に思うためには、それがどのような人間であるのかを知る必要があるんだ。
ふむふむ、それは確かに。
そしてそれには、ポジティブな部分だけでなく、欠点も含むんだよ。
何も欠点が見えなくて、失敗をしないように見える人は、近づき難く感じられてしまうんだ。
そっか。人はだれしも失敗するものだから、失敗の経験を共有することが親近感に繋がるんだね。
完全主義を持つ人は、自分の欠点や脆弱性を見られたら幻滅されたり、嫌われてしまうのではないかと考えて、弱点をひた隠しにしてしまうことが多いんだ。
実際には、そういった弱点を見せることで、周囲との距離が縮まっていくんだね。
欠点や失敗などの不完全さを受け入れることが、強さの源となり得るんだ!

 

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