リス太と学ぶ認知行動療法 ~ポジティブで現実的な思考で感じ方を変えよう!~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

さあ、今日は歪んだ思考を合理的な思考に変える練習をしてみるよ!
ええと確か、「合理的な」考え方をすることで、マイナスの感情を和らげる・・・ってことだったよね?
そうなんだ。いやな気持ちは歪んだ考え方から起こるっていうことは、考え方を変えれば、気持ちも変わるはずだよね?
「気分は考え方次第」ってことだね! でも、そう簡単に考え方を変えることなんてできるのかな?
確かに、ただ考え方を変えようとしても難しいよね。
でも、「歪んだ」思考の歪みを正すと考えたらどうかな?
そうか。考え方をまるで別のものにするわけじゃなくって、歪んでしまっているものを、正しい形に直していけばいいんだ!

 

合理的思考の条件

歪みを正すには、どういうふうに考え方を変えればいいの?
歪みのない、合理的な思考にするためには、次の条件を満たすように考えてみよう!
①ポジティブ(前向きで肯定的)である
②絶対的に妥当であり、現実的である
③否定的思考の偽りを証明できる
えーと、つまり、自分が今実際に置かれている状況に即した前向きな考え・・・っていうことかな?
そうだね。マイナスな気分を生み出している歪んだ思考は、自分の勝手な想像や推測、決めつけによって、現実から離れた考え方になっているんだよ。
だから、客観的に自分を見て、現実としてどんな状況に置かれているかを把握することが大事なんだ。
なるほど

 

歪んだ思考を合理的思考に変えてみよう!

それじゃあ、前回出てきたAさんの例を使って、歪んだ思考を合理的思考に変える練習をしてみよう。
もう一度Aさんの状況を確認するよ。

 

Aさんは、勤めていた会社の業績が不振なために、何人かの仲間と一緒に解雇されてしまい、次のような考えを持ちました。
「私はいつも負けてばかりいる人間だ。もう次の仕事は見つからないだろう。私は家族をがっかりさせるだろう。」

 

前回は10種類の歪んだ思考に当てはめて考えてみて、ほとんどの歪んだ思考が当てはまったんだったね。
今回は、「私はいつも負けてばかりいる人間だ」「もう次の仕事は見つからないだろう」「私は家族をがっかりさせるだろう」という3つの考えに分けて、合理的思考に変えてみよう。
よーし、やってみるぞ!

 

歪んだ思考 私はいつも負けてばかりいる人間だ
合理的思考 仕事を失ったのは確かであり、苦痛なことだが、それで何かに負けたというわけではないし、いつも失敗しているという事実もない。知り合いに自分と同じように失職した人を知っているが、その人もいつも負けているなどと言えるような人ではなかった。
歪んだ思考 もう次の仕事は見つからないだろう
合理的思考 次の仕事がどうなるかを決めるような根拠はどこにもない。自分の実力が足りなかったから解雇されたと決まっているわけではないし、例え今の仕事に向いていなかったとしても、この機会に新しい道を探すこともできる。
歪んだ思考 私は家族をがっかりさせるだろう
合理的思考 自分が常に成功し続けていなければ、家族に認めてもらえないというわけではない。むしろ、これまでにも上手くいかなかったとき、家族に勇気づけられたことがあった。

 

こんな感じかな?
OK! いい感じ!
ポジティブな考え方で、マイナス思考をやめれば良かったんだね。
うーん、それはちょっと違うかな?
あれ?そうなの?
うん。いやなこと、辛いことがあったときに、がっかりしたり、悲しい気分になることは自然なことだし、悪いことじゃないんだよ。
でも、それによって「自分はダメな人間だ」とか、「この先もうまく行かないに違いない」なんていう風に考えてしまうと、立ち直ることもできなくなってしまうんだ。
そっか。いやなことがあった時も、自分の状況を現実的に捉えて、行き過ぎた落ち込みや不安に陥ることがないようにするのが合理的思考の役割なんだね。

 

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