リス太と学ぶ認知行動療法 ~健全な感情と不健全な感情~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

さて、これまでは、自分の思考や態度が、感じ方に大きな影響を及ぼすっていうことについて考えてきたね?
そうだね。身の上に起こった出来事よりも、物事に対する見方が結果的に感情を生んでいるということがわかってきたよ。
そうしたら今度は、その考え方を実際に活用するための方法について考えていこう。

 

健全な感情と不健全な感情

さて、それじゃあまず一つ確認だけど、否定的感情を変えないといけないのは、どんな時かな?
えっ?どんな時って、否定的感情が出てきたら、その度に変えていくんじゃないの?
うーん、否定的な感情っていうのは、全部が悪い物なのかな? 中には、自然で健全な否定的感情もあるとしたら、どう?
健全な否定的感情・・・?
そう。否定的感情にも、健全なものと非健全なものがあるんだ。
例えば、健全な悲しさはいわゆるうつ状態とは違うものだし、健全な恐怖と不健全な罪悪感とは違うんだよ。
うーん・・・? なんだか難しいよ。
例えば、愛する人を亡くした場合、深く悲しんで、友人や家族とその感情を分かち合う。
これって、無理に変えないといけないような状態かな?
その悲しさは、亡くなった人への愛情や感情の表れだもんね。それをすぐに変えるっていうのは、なんだか違う気がするよ。
すぐに変えなかった場合、この喪失の感情は時の流れとともに、自然に消えていく・・・。それが、自然な流れなんじゃないかな。
そうか。こういうのが、「健全な否定的感情」なんだね。
今回は、この、健全な感情と不健全な感情について考えていこう。

 

健全な悲しさとうつ

それじゃあ今日は、「健全な悲しさ」と「うつ」について。
違いを表にしてみたよ!

 

健全な悲しさの特徴 うつの特徴
1.あなたは悲しい気分を感じるものの、自尊感情を失うことはありません。 1.あなたは自尊感情の喪失を感じます。
2.あなたの否定的感情は、動揺を生じさせるできごとに対する適切な反応です。 2.あなたの否定的感情は、いやな気分を引き起こしたできごとに対して不釣り合いなものです。
3.あなたの感情はときの経過とともに消えていきます。 3.あなたの感情は終わることなく続きます。
4.あなたは悲しさを感じていても、将来に対して落胆することはありません。 4.あなたは意気消沈して、将来も状況は改善しないと信じています。
5.あなたは人生に生産的に関わり続けます 5。あなたは人生を諦め、友人や自分の職業に関心を失います。
6.あなたの否定的思考は現実的です 6.あなたの否定的思考は、妥当に思えても誇張され歪んでいます。

 

現実に即していて、時間の流れとともに少しずつ薄れていくようなものが、健全な悲しさなんだね
それに対して、自分には価値がないと感じたり、将来に悲観的になったり、いつまで経っても気持ちが落ち込んだままになるのがうつの特徴なんだ。
そういう時には、これまでやってきたように、歪んだ思考を探して合理的な考え方にしていく必要があるんだね。
その通り! 次回は、「怒り」や「不安」についても、健全なものと不健全なものの違いを考えていこう!

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