リス太と学ぶ認知行動療法 ~「怒り」「不安」の健全な感情、不健全な感情~

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さあ、前回は健全な感情と不健全な感情について話したけれど、覚えているかな?
ええと、否定的な感情もすべてが悪いものではなくて、その感情があるのが自然なもの、健全な感情は、認知行動療法で変えなくても大丈夫なんだよね。
不自然に長く続いてしまったり、現実にそぐわない考え方に繋がってしまう不健全な感情が出てきてしまった時に、認知行動療法が役立つんだ。
その通り! よし、それじゃあ、今日はまず、「健全で建設的な怒り」と「不健全で破壊的な怒り」について見ていこう!

 

健全な怒りと不健全な怒り

 

健全で建設的な怒りの特徴 不健全で破壊的な怒りの特徴
1.あなたは感情を適切な方法で表現します。 1.あなたは自分の感情を否定し、ふくれっつらをしたり(消極的攻撃性)、相手にくってかかったり手を出したりします(積極的攻撃性)
2.あなたは、たとえそれに不賛成であっても、相手の視点から物事を見ようとします。 2.あなたは自分を守ろうとする態度で議論に臨み、相手の意見に妥当性はないと言い張ります。
3.あなたは相手に強い怒りを感じていたとしても、相手への尊敬の念を伝えようとします。 3.あなたは相手が軽蔑すべき人物で、罰に値すると信じています。あなたは恩着せがましく失礼な態度を取ります。
4.あなたは何か建設的なことをすることによって、問題解決に努めます。 4.あなたは諦めてしまい、自分を無力な犠牲者とみなします。
5.あなたはその状況から何かを学び、将来は同じ過ちを繰り返さないよう努めます。 5.あなたは何も新たに学びません。その状況に対する自分の見方は絶対に妥当であると感じています。
6.あなたは最終的に怒りを忘れ、再び幸せな気分を取り戻します。 6.あなたの怒りは常習的になり、忘れることができなくなります。
7.あなたは自分の行動を点検して、それが問題の原因にどのように関わったかを調べます。 7.あなたは相手を責め、自分を無実の犠牲者とみなします。
8.あなたは、自分も相手も、理解に値する妥当な考えと感情を持っていると考えます。 8.あなたは自分がすべてにおいて正しく、相手はすべてにおいて間違っていると主張します。あなたは、真実と正義は自分の側にあると考えます。
9.あなたは相手への関与を徐々に深めていきます。あなたの目標は、相手に対する親近感を得ることです。 9.あなたは相手を避けたり、拒絶したりします。あなたは相手を見限ります。
10.あなたは、自分にも相手にも有利な解決を模索します。 10.あなたは相手と戦い、あるいは競争していると感じます。どちらかが勝てば、どちらかは負けることになります。

 

これが怒りについての健全な感情と不健全な感情だよ。
不健全な怒りは、相手を責めたり、避けたり、攻撃的になるのに対して、健全な怒りは相手のことをしっかり認めて、お互いにいやな思いをしないために行動しているね。
そうなんだ。誰にでも、嫌なことや苦手なものはあるし、それ自体は悪いことじゃないんだよ。
そんな時に、かっとなって相手を責めるのではなく、その嫌いなものを認めた上でどうするかを考えていくのが健全な感情なんだ!
なるほど!
それじゃあ次は、健全な恐怖と不健全な不安について見てみよう!

 

健全な恐怖と不健全な不安

 

健全で建設的な怒りの特徴 不健全で破壊的な怒りの特徴
1.例えば、道を歩いていたらヘビが現れた場合のように、実際の危険が存在します。 1.例えば墜落を恐れて飛行機を避けるように、実際の危険ではなく、過剰に誇張された危険です。
2.健全な恐怖は、通常長く持続することはなく、危険が去れば消滅します。 2.不健全な不安はいつまでも持続し、日常的になることもあります。
3.健全な恐怖は、あなたに行動をとることをうながします。 3.一般にあなたは恐怖の対象を避け、無力化され不活発になることがあります。例えば、引っ込み思案なために友達を作ろうとしないなど。
4.健全な恐怖を引き起こす思考は、通常極めて妥当なものです。 4.不健全な不安を引き起こす思考は、ほとんど常に歪んで不正確な思考です。
5.あなたは、おびえていることを恥ずかしいと思うことはありません。 5.あなたは自分を変人化落ちこぼれと思い込み、自分の不安が恥ずかしく、他人に隠さなければいけないものと考えます。
6.健全な恐怖は見た通りの内容で、目に見えるもの以外は恐怖の原因となりません。 6.不安になる人の多くは、結婚生活での対立や仕事での不満など、認めたくないか、対処したくない問題との直面を避けています。

 

ふむふむ。健全な恐怖は目の前に迫った脅威に対して抱く感情で、脅威が消えればなくなるのに対して、不安は目に見えないものに対して怖いと予測してしまい、中々消えることもないんだね。
そうだね。危険を予測するのは悪いことではないけど、それが行き過ぎて常に不安を感じるようになってしまうと、自分から行動するのも難しくなってしまうんだ。
そんな時こそ、認知行動療法の出番っていうワケだね!

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