徹底解説!認知行動療法! ⑦ ~ブレインストーミング~
就労移行支援事業所 リスタート では、毎週火曜日にワークショップを認知行動療法講座をやっています。
講座内でも「認知行動療法とは何か」ということについて説明していますが、普段使わない言葉や考え方が多く含まれており、すぐに理解するのは難しいものです。
ここでは、講座の復習も兼ねて、「認知行動療法」というものについて、より詳しく解説していきます!
行動によって新しい考えを試す
これまでの記事で、自動思考に含まれる認知の歪みを見つけ、そこから新しい考え(適応的思考)を作る説明をしました。
新しい考えが見つかっても、認知行動療法はまだ終わりではありません。
その考えを自分自身が信じられるようになるためには、行動でその考えを試し、正しいという実感を持つ必要があるのです。
アクションプラン
認知の歪みが含まれた自動思考の代わりに見つけた新しい考えは、検証してみなければ実感が持てません。
ここで言う検証とは、行動し、実験してみることです。
新しい行動に基づいて行動してみて、期待した効果が得られれば、「この考えを信じてよいのだ」と感じられるようになることでしょう。
日々の行動は無意識に基づきパターン化されているものですが、勇気を出してその行動を変えてみることが、ネガティブな感情のループから抜け出すことに繋がるのです。
新しい考えが正しいかどうかを検証するために、アクションプランを立ててみましょう。
今日は、アクションプランの第一段階として「ブレインストーミング」を紹介します。
ブレインストーミング
ブレインストーミングとは、どんなアイデアでも否定せず、自由にアイデアを出していくことで、より良いアイデアに辿り着く、という手法です。
本来は大多数で集まって意見を出し合うときの手法ですが、自分ひとりでプランを練る時にも役立てることができます。
アイデアを出す段階でそれがベストかどうかまで考えようとするのは大変ですし、その場では荒唐無稽に見えたものが、実は有効なアイデアである場合もあります。
特に、ネガティブな気持ちが続き、物事を悪くとらえやすくなっているときには、有効なアイデアをそうと受け取れない場合もあるのです。
そこで、まずは行動の難易度や実現の可能性は考えず、どんな内容であっても書き出すようにします。
一通りアイデアが出てきたら、それを以下の4つの基準で評価していきます。
それぞれ、最高で+5、最低で-5として点数をつけていきます。
1.解決度
それをすることによって問題が解決しそうかどうか
2.感情的好ましさ
それをすることで自分の気分は良くなるか、悪くなるか
3.時間・労力
時間や労力がどれだけかかるか(かからないほど高得点)
4.メリット・デメリットの比率
メリットがデメリットをどれだけ上回っているか
ブレインストーミングの例
例えば、「人の頼みを断ることができず、いつも損をしている」という人を例にして考えてみましょう。
この人は、「人の頼みを聞かなかったとしても自分の価値が失われるわけではないし、ちゃんと理由を伝えれば断るだけで嫌われたりはしないだろう」という新しい考えを試すため、残業を頼まれた時、断ろうと思っています。
そこでブレインストーミングをした結果、以下のような結果になりました。
1.「急に言われても無理です」とキッパリ言う
解決度:+5
感情的好ましさ:-3
時間・労力:+5
メリット・デメリットの比率:+1
2.「今日は用事があるのでできません。すみません・・・」とやんわり断る
解決度:+4
感情的好ましさ:0
時間・労力:+5
メリット・デメリットの比率:+3
3.「今日はできないので、他の方に頼んでいただけませんか?」と伝える
解決度:+5
感情的好ましさ:-4
時間・労力:+5
メリット・デメリットの比率:-1
4.聞こえなかったフリをする ※あり得ないと感じることでも、ブレインストーミングの段階では出しておきます
解決度:+5
感情的好ましさ:-5
時間・労力:+5
メリット・デメリットの比率:-5
5.「今日は残業はできません。何かあれば明日に回してください」と事前に伝えておく
解決度:+5
感情的好ましさ:-3
時間・労力:-2
メリット・デメリットの比率:-2
6.「今日は用事があるので、もしも残業を頼まれたら変わって欲しい」と事前に同僚に頼む
解決度:+5
感情的好ましさ:-3
時間・労力:-2
メリット・デメリットの比率:-2
7.「サービス残業はできるだけしたくないんです」と上司に相談しに行く
解決度:+3
感情的好ましさ:-5
時間・労力:-5
メリット・デメリットの比率:-5
それぞれ総合の点数を出してみると、2.の選択肢が合計12で最も高く出ました。
このように、ブレインストーミングを使うことで、新しい考えを試すための行動を見つけることができます。