選択理論の復習③ 5つの基本的欲求

就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。

前回から、選択理論の考え方について、復習をしています。

今回は、5つの基本的欲求という考え方について説明していきます。

5つの基本的欲求

これまでの復習で、内的コントロールの考え方においてはあらゆる現象や状況は「情報」でしかなく、その情報を元に自分にとって最善と考えられる行動をとっている、と説明してきました。

外部からの刺激によって行動が決まるのでなければ、人を行動に駆り立てているのはいったい何なのでしょうか。

その答えは、「欲求を満たす」ことです。

選択理論においては、老若男女問わずだれでも持っている根源的な欲求のことを「5つの基本的な欲求」と呼んでいます。

生存の欲求

飲食や睡眠、生殖など、身体的な欲求です。

いわゆる人間の三大欲求などですね。

選択理論においては「安全・安定」「健康」「生殖」の3つに細別されます。

安全・安定

リスクを避けて、安定した状態でいたいと考える欲求です。

健康

睡眠、食事を適切にとることや、健康を害せず、長生きしたいという欲求です。

生殖

性的欲求や、子どもを残すことに関する欲求です。

愛・所属の欲求

誰かと一緒にいることや、集団に所属することなど、人間関係に関する欲求です。

「愛」「所属」の2つにわけることができます。

愛すこと、愛されること、人を大切にする、あるいは大切に扱ってもらうことへの欲求です。

所属

仲間と一緒にいることや、なんらかの集団に属することへの欲求です。

力の欲求

誰かに認められたいとか、勝ちたいといった欲求です。

「貢献」「承認」「達成」「競争」に分けられます。

貢献

誰かの役に立ったり、力になったりすることへの欲求です。

承認

誰かに認められたり、評価してもらったりすることへの欲求です。

達成

何かを成し遂げたり、結果を残したりすることへの欲求です。

競争

勝つこと、負けないこと、人より上になることへの欲求です。

自由

自分のやりたいようにしたいという欲求です。

「解放」「変化」「自分らしさ」といった要素が挙げられます。

解放

束縛されないことや、人にあれこれ言われず、自由でいたいといった欲求です。

変化

いつも同じパターンではなく、新しい変化が欲しいという欲求です。

自分らしさ

自分らしさを大事にしたい、自分のこだわりで決めたい、といった欲求です。

楽しみ

主に、新たな知識を得たいという欲求です。

「ユーモア」「好奇心」「学習・成長」「独創性」の4つの要素に分けられます。

ユーモア

人を笑わせたり、場を盛り上げることへの欲求です。

好奇心

新しいもの、やったことがないことにチャレンジしたいという欲求です。

学習・成長

新しく知識を得たり、成長したりすることへの欲求です。

独創性

自分で作っていくこと、アイデアを形にすることへの欲求です。

欲求の優先順位

上記の欲求は、多かれ少なかれ誰もが持っているものです。

みんなが同じ欲求を持っていれば、人の行動はみんな一緒になってしまうはずです。

しかし、実際には同じ状況下にあっても、人によってとる行動は変わってきます。

その理由は、持つ欲求は同じでも、その「優先順位」と「満たし方」が異なることにあります。

例えば、「力の欲求」が強い人は、職場において出世することや成果を出して認められることを重要視します。

そのため、残業も厭わずに努力を続けるかもしれません。

一方で、「自由の欲求」が強い人は、自分の時間を持つことを重要視します。

そのため、職場における成果にはさほど執着せず、できるだけ定時で上がって自由な時間を持つことを優先するでしょう。

力の欲求が強い人が、自由な時間を持ちたくないと考えているわけではありません。

自由の欲求が強い人もまた、誰かに認められたり、出世することに何も興味がないというわけではないでしょう。

しかし、どの欲求が強く、どの欲求が弱いかという違いのために、まったく違う行動が行われることになるのです。

 

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