繊細で真面目な人のメンタルケア講座 ~苦手な相手がいる①~
誰にだって好き嫌いはある
- 口うるさい上司、調子のいい先輩。
- 頼りない同僚、自分より進んだ後輩。
- ご近所付き合い、友達の集まり。
どこにでも、「好きな人」「一緒にいたい人」と、「苦手な人」「嫌な人」とがいるでしょう。
それは、誰だって感じていることです。
しかし、苦手な相手ともうまくやっていかなければ、そのコミュニティを抜けたり、一人で抱えて苦しんだりという結果になってしまいます。
苦手な相手とも関係をこじらせずにやっていく方法は、あるのでしょうか。
苦手な人を好きになれない、本当の理由
相手に伝わっている「負の感情」とは
私たちは、言語によるコミュニケーションと、非言語によるコミュニケーションがあります。
リスタートで学習している人はおなじみ、メラビアンの法則で、非言語情報のほうが情報量が多いということはご存知でしょう。
話の内容・言葉の情報は、相手に与える影響は、全体の7%しかありません。
口調やトーンなどの聴覚情報が38%、残りの55%は見た目などの視覚情報です。
そして、言葉の情報と、それ以外の情報で内容が一致していないときは、人間は非言語の情報を優先的に受け取ります。
たとえば、苦手な相手に「ありがとう」「これからも頑張ろう」と伝えても、言葉で伝わるのは7%です。
残りの93%の非言語の方が割合が高く、そこから「嫌だ、苦手だ」というのが、相手に伝わってしまうのです。
よくある、雰囲気、不自然な態度、といったところから自然と相手に負の感情が伝わります。
どれだけ言葉で相手を好きになろうとしても、相手にはそれが偽りだと伝わってしまっているということなのです。
一度苦手になると負の連鎖、回復は難航
ひとたび苦手だと感じたら、その人との関係は改善しない・・・というのは、経験があるのではないでしょうか。
これは、非言語の情報で相手に「嫌だ」「苦手」という負の感情が伝わっていることが原因です。
負の感情を受け取った相手は、やはり自然とあなたに「嫌だ」「苦手」という感情を伝えます。
好意を受け取ったときは好意やそれに近しいものを返しますが、敵意や悪意を受け取ったとき、好意で返すことはないでしょう。
あなたから受け取った負の感情、敵意や反感を、相手も同様に返してきます。
苦手な上司だと感じていれば、それが上司に伝わり、上司もより厳しくなったり、より口うるさくなったりするでしょう。
そのたびにあなた自身も、さらに苦手だと感じるようになり、仕事の意欲も下がり、出勤も億劫に。
その原因が上司だと思うほど、下がった意欲や態度から見ぬかれ、上司も厳しくなっていく・・・負の連鎖です。
このままでは回復は難しいでしょう。
なぜ「嫌い」になるのか
では、どうして私たちは「好き」とか「嫌い」とかを感じるのでしょうか。
その仕組みは、過去の経験から判断する脳にあります。
過去に「苦手だ」「嫌な思いをした」という人の特徴を、脳が覚えています。
その特徴に近い人を見ると、脳が瞬時に「この人は危険」と判断するのです。
初対面で「楽しそうだな」「苦手だな」と感じるのは、この脳の仕組み。
これは、危険を事前に察知するための能力で必須のもの。
とはいえ、人間は見た目だけではなく、会話をしたり、作業をしたりすることで、当初感じていた苦手意識を払しょくしていくことができます。
論理的に考えることができるのが人間です。
次回は、論理を使って、苦手な相手ともうまくやっていくための方法を紹介します。