ワンランク上の感情ケア ~その6 怒りやすい原因~
怒り・イライラの仕組みって、どういうものだっけ?
イライラ・怒りの原因、覚えていますか?
大事なものを守るための働きが、怒りです。
自分の縄張りを荒らされるのを、黙って見ているわけにはいきません。
怒りのエネルギーによる反撃で、縄張りを守るのです。
現代社会でも同様、自分の時間、自分の考え方・価値観、ルールを破る無秩序といった自分が大切にしているものを侵害されたと感じるから、反撃するための怒りのエネルギーが沸いてくるのです。
さて、同じ社会を生きているのに、怒りやすい人・怒りにくい人がいるのは、どういう違いがあるのか、考えたことはありますか?
即座の反撃以外の方法で、上手に怒りに対処する
本当にあてはまってる? 自分でチェックしていく方法
最近イラっとしたことを思い返してみてください。
その時、あなたが大切にしていた守りたかったもの、怒りの発動要因はなんでしょうか。
- 指摘したら、言い訳をされた。イラっときたのは、「指摘されたら謝罪すべき」という自分の価値観に合わなかったから。
- 遅刻が続く人にイラっとした。原因は「遅刻はすべきじゃない」から。
- 毎回私ばかり雑務を依頼されてイライラする。自分の時間を侵害されたからだ。たまには「自分でやるべきなのでは?」と思う。
だれしもが、「こうすべき」「こうしたほうがいい」と思っていることは多いのですが、それが怒りの原因ということはとても多いもの。
とくに、イライラを感じやすい人は「~すべき」「~すべきじゃない」といった思考を強く、大量に持っています。
自分が「すべき」と思っていることをできていない状態や、「すべきでない」と思うことをした相手に、イライラを感じます。
イライラを感じやすいと思ったら、自分のイライラがそんな「すべき」思考の由来のものでないかチェックをしてみましょう。
他の人にも、そのすべきことは共有されていますか?
その状況で、そのすべきことは絶対に必要なものですか?
これをチェックしていきましょう。
自分だけの思い込みである場合も多々あるので、それは「自分はそう思うけど、他の人にとっては絶対必要というわけではない」と思えるでしょう。
逆に、職場全体で共有しておかなければいけないことで、進行に必要不可欠なものであれば、クールダウンしてからDESC法を用いて伝えましょう。
- 「遅刻すべきじゃない」。業務に支障が出るから、職場全体に必要不可欠だ。アサーティブに伝えよう。
- 「謙虚でいるべき」。進行に必要不可欠ではないかもしれない。そういう教育もしていないかもしれない。
自分はそう思うけど、自分だけの思い込みかもしれない。
自分の中に「すべき」が多いほど息苦しくなりますが、上司や後輩、知人にもそれを遵守するよう求めていませんか?
もしイライラを感じたら、「すべき」がないか、それは共有されていて、絶対に必要な状況だったのかを書き出していきましょう。
自分のパターンがわかれば、その「すべき」ごとの対応が見えてくるでしょう。
怒り以外の、守る方法
クールダウンの方法と似ていますが、怒りは「傷ついた」「傷つけられた」サインです。
だから人体の反応としては正しいものですが、人前で衝動的に発散すると、大人げないとか恥ずかしいなどと非難され、自己嫌悪にもつながります。
自分を守るために、攻撃をするのではなく、ケアをするという方法もあります。
こんなに怒るくらい○○を大切にしていたんだ、こんなにイライラするほど○○を傷つけられたんだ、と自分の痛みに寄り添います。
これだけでも怒りや傷は和らぎますが、自分の肩や頬をなでるなど、親が子供にするようなやさしさで体に触れます。
痛みが和らぎ、安心する感覚が得られます。
さらに、自分がリラックスできる場所、たとえば自室や草原、思い出の場所、守られている場所をイメージします。
この過程を踏むことで、傷ついた自分を自分で理解し、やわらげ、安心させることができます。
傷ついたことへの対処は、反撃以外の方法でもできるのです。