認知行動療法講座「反証と認知の歪み」

認知行動療法講座

現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。

今日は、認知行動療法のプログラムを行いました。

前回は、認知の歪みについての復習をしました。

今回は、根拠と反証についての話と、認知の歪みから反証を見つける方法についての話です。

根拠と反証

認知行動療法では、問題を解決するために、まずは起きた出来事とその時に浮かんだ感情から自動思考を見つけます。

自動思考が見つかったら、その自動思考のうちどこまでが”事実”でどこまでが”認知”あるいは”思い込み”であるのかを調べる必要があります。

そこで出てくるのが、「根拠」と「反証」です。

根拠

根拠は言葉の通り、その自動思考を裏付ける根拠や証拠です。

どのように考えたがためにその自動思考に辿り着いたのか、分析してみてください。

また、根拠が出てきたら、それが「事実」に基づくものなのか、それとも自分の「推測」なのか、よく確認してください。

誰かが「言ったこと」や「やったこと」、過去に「起きた」ことは根拠になります。

しかし一方で、誰かが「思っている」かもしれないことや、未来に「起きる」かもしれないことは、すべて推測でしかありません。

根拠になっていそうなことがもしも推測であったなら、その旨をこの後の「反証」に加えてください。

反証

自動思考を裏付ける根拠に対して、反証は自動思考と矛盾している事柄です。

反証の見つけ方はいくつかありますが、以前に紹介した”認知の歪み”から見つけていくこともできます。

今回はその方法について説明していきます。

反証と認知の歪み

1.白黒思考

・数値化し、グレーゾーンを見つける。
「全か無か」「成功か失敗か」など2つに分かれている自動思考を、0%~100%の間で数値化する。

・減点方式ではなく、加点方式で考える。
理想とする100%成功した状態から減点していくのではなく、何もできていない0の状態から加点していく。

2.極端な一般化

・例外を見つける。
極端な一般化には、「絶対」「みんな」「いつも」といったワードや、それに類するものが含まれている。
これらのワードと矛盾する例外を探し出す。

3. 心のフィルター

・良かったこと、上手くいったことを探す。
あったはずの良いことが見えなくなってしまっているので、見逃しているプラスのポイントがないかを探す。

・メリットとデメリットを考える。
デメリットにしか目が行っていないので、そのことによるメリットはないのかを探す。

4. マイナス化思考

・良いことは良いことであると受け入れる。
プラスに繋がる捉え方を自分で否定してしまっているのをやめ、素直に受け取る。

5. 結論の飛躍

・事実ではなく、可能性の一つであると考える。
他者の考えやこれから先の未来を証明できる根拠は存在しないと考える。

6. 過大評価・過小評価

・数値化するなどして客観的に評価する。
自分のうまくいったポイントを見逃したり、他者の良い面しか評価していなかったりしないか客観的に考える。

7. 情緒的な理由付け

・他の可能性や選択肢を考える。
感情的になっていると一つの可能性しか見えなくなるので、別の可能性はないか、周囲を取り巻く事実に目を向ける。

8. べき思考

・「べき」に反論する。
「誰がそう決めた?」「必ず従わなければいけないのか?」「従わなければどうなる?」と自分に問いかけてみる。

9. レッテル貼り

・レッテル以外の部分に目を向ける。
レッテルを貼ると、そのレッテルに沿った部分にしか目が向かなくなる。
レッテルにそぐわない部分に目を向け、一面的にしか見ていないことを自覚する。

・レッテルは自分が作った思い込みであると考える。
性格や性質といったものは、自分でそういうものだと思い込み、その通りに行動しているに過ぎない。

10. 自己関連付け

・自分の弁護
自分を弁護士に見立て、もう一人の自分を被告人に見立てて弁護する。

・選択肢を増やす
自分のせいじゃなかったとしたら、どんな可能性があるのかを考えてみる。

 

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