ワンランク上の感情ケア ~その8 無くなる悲しさ、消えない悲しさ~
その悲しさ、取り戻せる?
- 思うようにいかない、嫌なこと。
- 喪失感が大きくて、何も手につかない。
- 自分への絶望。
- 卒業、就職、昇進、結婚、嬉しいはずなのに手につかない。
これらはすべて「悲しみ」です。
悲しみとは、「大切にしていた何かを失った」という感情。
悲しいと感じることで、何かを失ったこと、大切だったということに気が付きます。
そんな「大切なもの」も、取り戻せる場合と、取り戻せない場合とがあります。
取り戻せないものを失ってしまったら
取り戻せる悲しみって?
嫌なこと、思い通りにいかないことを想像してみてください。
上司からの指摘、友達との喧嘩。
上司からの指摘であれば、何が失われたでしょうか。
かけた「時間」、大切にしていた「考え」「こだわり」。
友達との喧嘩でも同様に、失った「考え」や「関係性」があるでしょう。
しかしそれらは本当に完全に失ってしまったわけではありません。
失っていない未来があるなら、取り戻せる可能性があるものです。
取り戻すプロセスとは
取り戻す方法を考えましょう。
何を失ったのかを明確化したら、方法をリストアップします。
「時間」であれば、次からいくつか事前に案を出す、曖昧なところは確認する、定期的に中間連絡する。
「関係性」であれば、謝罪する、もう一度時間を設ける、など候補がいくつか出てくるでしょう。
今後の対処しだいで、失うことを予防できます。
それぞれ方法をリストアップし、実効性・有用性が高い者から試していきましょう。
放っておいても戻っては来ず、むしろ適切な対処を考えないと、何度も同じ喪失を繰り返すでしょう。
消えない悲しみとは
一方、取り戻すことができないものもあります。
命、人生の分岐など大きなものは、上記のような対処方法はありません。
それほど大切なものだったということで、簡単にすぐに回復させることはできません。
まずは、認めたくないという、事実を否定する状態が来ます。
失ったものが大きすぎるから、受け入れずに一度否定することで、心へのダメージを軽減しようとします。
しかし時間が経てば「失った」事実から目をそらすことはできなくなり、怒りを感じるようになります。
失う原因を作った人やモノ・社会への怒りです。
同時に、神様に祈る、もっと頑張るから、といった交渉を試みることもあります。
そうして、失ったという事実から逃げようともがくうち、戻ってこないと実感して深く落ち込みます。
どうしても取り戻せないと実感することで、自分がこれまでやってきたこと、頑張ってきたことなども無意味に思えてくるでしょう。
それでもそうして失ったことをしっかり受け入れることができれば、少しずつですが前に進む元気が出てきます。
これらは、本当に大切な、相当大きな、決して取り戻せないものを失ったときの心がたどるステップです。
このステップを知っておけば、しっかり悲しみを受け入れる準備ができるでしょう。
悲しい・失った事実を受け入れることで、立ち上がることができるのです。