ワンランク上の感情ケア ~その21 不安になったときのNG行動とは~
不安を増殖させる、やってしまいがちな行動
- 老後のことが心配。年金、貯金・・・
- 仕事の不安がいつまでも続く。
- 怒られそう、失敗しそうだと不安になってしまう。
- 焦燥感で何もてにつかない。
- どうしようもない不安を感じるのがストレスになる。
私たちは、生きていると不安を感じます。
不安というのは、私たちが生きていくうえで必要な感情。
将来的な危機を察知して、その危機を避けるために行動をするよう促しているのが、この不安という感情です。
「ミスをしてしまうのではないか」という不安に対しては、ミスを防ぐためのチェックや確認という行動。
「嫌われてしまうのではないか」という不安に対しては、相手の嫌がることをしていないか振り返り、相手が望むことを知ろうとする行動・・・
行動をすることで確実に解消できるわけではありませんが、この「行動」があるから不安を抑制できるというものでもあるのです。
しかし、やみくもに行動をすればいいというわけでもなく、適切な行動をとらなくてはいけません。
ただ行動をするだけでは、不安は増え、ふくらみ、どんどん自分を追いつめてしまいます。
今回は、不安になったときにしてしまいがちな、不安を増殖させてしまう行動を紹介します。
次にあげるような対応をしてしまっていないかチェックしてみてください。
不安になったときにしてはいけないこと
ミスをしてしまわないか、何度も確認する。
嫌われていないか、相手の表情を知ろうとする。
どんどん不安が強まっていってしまうイメージはありませんか?
私たちの不安を強める行動とは、どんなものなのでしょうか。
忘れようとする、現実逃避、なかったことにする
これは一番やってはいけないことです。
なぜでしょう?
先にも述べた通り、不安というのは、将来的な危機を察知して、その危機を避けるための行動をとることで予防しよう、という警告サイン。
突然ですが、明日が提出締め切りの提出書類を思い浮かべてください。
今日のうちに手を付けて完成させなくては、締め切りに間に合わず大変なことになる、ということが予測されます。
これが不安ですね。
しかし書類が難しくて手が付けにくかったり、忙しくて時間が割けない、ということもあると思います。
このとき「書類は明日やればいいや」と放置、先延ばししたとしましょう。
そうすると不安はどんどん増えていくのです。
食事中も、寝る前も、どこかモヤモヤしています。
そして「明日やらないと間に合わない」と書類のことを考えてしまい寝付けず、
そのまま締め切り当日を迎えると、今度はモヤモヤが焦燥感になり、
「間に合わない」という恐怖や、「なぜ昨日やっておかなかったのか」という自責だけが強くなり、
締め切り当日にも関わらず手が動かなくなります。
対人関係でも、締め切りでも、将来のことでも、ミスの報告でも。
どんな不安でも、見て見ぬふりをすると、不安や恐怖が強まり、自分の首を絞めてしまうことになります。
なんでもいいからとにかく行動をする
不安というのは、将来的な危機を予測したものです。
対策をとることで予防できた、と実感できる不安もありますが、
一方で行動をしたことで確実に予防できる、という確証を得られるわけでもないのです。
これが落とし穴。
「ミスをしてはいけない」という場面を想像してみてください。
先輩たちの履歴や、過去の資料、自分のやってきたことを何度も確認することでしょう。
しかし、確認すればするほど、「この点は本当にこれでよいのか」と不安が分岐して増えていきます。
これでは、行動をすればするほど不安になってしまう、というマイナスのループです。
なんでもいいから行動、という形では、不安は解消できないのです。
不安を分析して不安を増やす
これも、不安を抱えがちな人やうつ傾向の強い人がしてしまいがちなこと。
不安への対策をしようと、不安の原因を考えていませんか?
そして、その原因を考えるほど、不安が深く、増えてしまっていませんか?
クラス替え、部署移動をイメージしてみましょう。
ワクワクする人もいるでしょうが、「新しいメンバーとうまくやってけるだろうか」という不安を抱えがちですね。
この不安を自分で分析すると、「もしかして自分は、対人関係が苦手なのかもしれない」とか、
「気が強い人が苦手だ。新しいメンバーにいないだろうか」、 「受け入れてもらえなかったら」・・・
とどんどん不安を自分で作り出してしまいます。
しかもこの不安は、「なってみないとわからない」不安です。
仕事で手を抜いていれば、「ミスしていないか」「迷惑がかからないか」という対策可能な不安にとどまりますが、
自分では結果が予測できないのに自分で不安をどんどん作り出していってしまうのです。
以上が、不安を抱えがちな人がしてしまいやすい、不安を増殖させる行動です。
紹介したもののうちに、経験はありませんか?
不安への対処は可能ですが、これらの点に気を付けて、ステップを踏んでいきましょう。