認知行動療法講座「シーン別認知の歪みチェック」

認知行動療法講座

前回は、いくつかの例を用いて、認知の歪みを見つける練習をしました。

今回も前回に引き続き、認知の歪みを見つける練習を行います。

シーン別認知の歪みチェック

以下のシーンにおける各自動思考について、含まれる認知の歪みについて考えてみましょう。

仕事でミスをしてしまった

取引先に渡す書類にミスがあり、上司に呼ばれて「ここが間違っているから、いますぐ修正して再提出するように」と、みんなの前で注意された。

自動思考A:また失敗してしまった。どうして自分はこうダメな人間なんだろう
感情:憂うつ、無力感

自動思考B:ささいなミスだし、みんなの前で注意することはないだろう!
感情:屈辱感、怒り

自動思考C:また怒られた。上司はきっと自分のことが嫌いなんだろう
感情:悲しい、傷ついた

解説

自動思考Aに含まれると考えられる認知の歪みは、レッテル貼りです。

自分の失敗を極端に受け取り、そのことだけで自分をダメ人間のように決めつけてしまっています。

その結果、ミスをしてしまったことだけにとらわれてしまっているようです。

自動思考Bに含まれると考えられる認知の歪みは、情緒的な理由付けです。

「大したミスじゃないのにみんなの前で注意されて恥ずかしい」という思いが飛躍して、イライラから相手にあたってしまっています。

自動思考Cに含まれると考えられる認知の歪みは、結論の飛躍(心の読みすぎ)です。

たったひとつの出来事で、「上司は自分のことが嫌いだからミスを指摘した」「今後もきっと怒られる」などネガティブな想像でいっぱいになってしまっています。

今回のシーンについて、認知の歪みを含まない考え方の例を出すと、

「取引先に渡す前に気づいてよかった。次に提出するときはもう一度見直そう」

といったものが挙げられます。

仕事をしていればミスは起こりますし、それを指摘されるのも良くあることです。

自分のミスをネガティブに受け取ったり、相手の言動に感情的になったりするのではなく、その出来事が起きてよかったことに目を向けてみてください。

「取引先にミスをした書類を送らなくて済んだ」という客観的な事実を受け止めると気持ちが楽になります。

ミスをしたのは自分で、上司がそれを指摘するのは当たり前のことですよね。

起きた事実を受け止めて、ポジティブに向き合いましょう。

 

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