社会復帰のための働く力の回復
前回、対人恐怖症について簡単に説明し、その対処法としてFAP療法を紹介しました。
しかし、症状が回復したからと言って、すぐに職場に戻っても仕事を再開できるとは限りません。
職場に戻った後も再発・再休職せずに働き続けられる状態まで回復し、そのうえで復職することが大切です。
そのためには復職支援(リワーク支援)によって様々なプログラムを受け、ステップを踏んで復職を目指すことが必要です。
復職には「病気からの回復」だけでなく「働く力の回復」が欠かせません。
業務や通勤を続ける体力とモチベーションの維持や、報告・連絡・相談など基本的なビジネスマナーの再確認、コミュニケーション能力の回復が必要不可欠です。
リスタートのプログラム
リスタートのプログラムでは、自己分析により、自分自身を整理して理解することを重視しています。
病気になるまでの経緯を振り返り、性格や傾向を知りながら自己理解を深めます。
また、セルフチェックシートにより心身の状態を確認し自己の病気との共存や対処について理解していきます。
毎日の訓練終了後に訓練報告書を記載することにより、日々の成果や課題を明確にし、自身で掲げた目標に向かって1歩1歩進めていきます。
リスタートのプログラムは、座学形式の講義ではなく、ワークショップやSSTなどの参加者同士での交流に重きを置いています。
これによって他者との交流を体験し、自己表現に慣れることができ、コミュニケーション能力の回復に努めることができます。