リス太と学ぶ認知行動療法 ~「いやな気持ち」はどこから生まれる?~

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さて、前回の続きだね。「いやな気持ち」が沸いてくる原因を考えてみよう!
いやな気持ちの原因、かぁ。前回の例でいえば、仕事で失敗したから・・・っていうことになるのかな?
さてさて、どうだろう? いくつかの可能性を考えてみようか。

 

仮説①:ホルモンや生体の化学反応

それじゃあまずは最初の可能性。ホルモンや生体の化学反応の結果、という可能性について考えてみよう。
化学反応・・・って、どういうこと?
身体疾患やホルモンの障害、科学的不均衡、アレルギー、はたまたビタミンの欠乏によって気分が憂鬱になったり、いら立ったりするということだよ。
科学者などが研究を進める中で、そのような可能性が出てきたんだ。
そっか、気持ちが変化する時に、化学的に説明がつく変化が起きているのであれば、化学反応が気持ちの変化の原因であると考えることもできるわけだね
実際に、抗うつ薬や抗不安薬が一部の感情障害などに有効なことから、脳内の化学状態が思考や感情などに影響を及ぼしているということは確かなんだ。

仮説②:身に降りかかった悪いこと

それじゃあ次の可能性を考えよう。愛する人からひどい仕打ちを受けた、友人に裏切られたなどの、「自分の身に降りかかった悪いこと」が原因とする可能性だ
なるほど。信じていたのに裏切られたりなんていう体験は、いやな気持ちの原因になりそうだ。
なにかいやな目にあった時に、精神的な苦痛を感じたり、怒りを覚えるのは当然のことだよね。
うーん、これがいやな気持ちの原因って可能性は高そうな気がする

仮説③:自分にある大きな欠点

次の可能性は、自分自身に大きな欠点があり、他人よりも劣っていることが原因、というものだよ
あ、これはわかるなあ。自分に自信が持てなくて、周りにいる、頭がよくて魅力的な人たちが出世していくのを見て、自分はダメだななんて思ったり。
このような考え方をする人は、「自分は幸せになれない」と強く言い聞かせてしまっていることが多いんだ。
そしてそのために、「いやな気持ち」の原因になってしまう、というわけだね。

仮説④:職業や人間関係

職業や人間関係の問題が、いやな気持ちの原因だ、と感じている人も多いんじゃないかな?
僕が最初に言った、「仕事でのミス」がいやな気持ちの原因、というのもこれだね?
多くの人は、仕事や学校で成功したり、良好な対人関係を築くことを自尊感情基礎に置いているんだ。
だから、仕事が上手くいかなかったり、愛する人に拒絶されたりすると、「いやな気持ち」が沸いてくるというわけだね。
まさに僕の考え通りだ! やっぱりこれが、いやな気持ちの原因なんじゃないの?

気分を作り出す原因はできごとではなく・・・自分自身!

さて、色々な可能性を考えてみたけど、どの考えにも、ある程度の真実が含まれていたよね?
そうだね。化学反応が関係しているのも確かなんだろうし、様々なできごとの影響も受けてる。
それじゃあ、これら全部をひっくるめていやな気持ちの原因になるのかな?
残念だけど、その考え方には大きな欠点があるんだ。
欠点?
それらは自分でコントロールができないっていうことだよ。
化学反応を変えるのには薬が必要だし、それも万能じゃない。世界を変えることはできないし、悪い出来事をすべて防ぐことなんて不可能だよね?
確かに・・・。生きている限り、悲劇や失望から逃げることなんてできないもんね・・・。
そこで、最初に教えた、人生を変えるかもしれないあのキーワードを思い出して!
「あなたの気分は考え方次第」!ってね
考え方、次第・・・?
これは、そんなに新しい考えじゃないんだよ。遡れば、古代ギリシャの哲学者がすでにこんな言葉を残しているんだ。
「私たちをかき乱すのは、事物そのものではなく、事物に対する私たちの見方である」
ええと、つまり・・・悪いできごとによっていやな気持ちになっているわけじゃなくて、それに対する見方が、いやな気持ちの原因になっているってこと?
その通り!だから、憂鬱や不安、怒りの気分を変えることができるのは、この世でただ一人、自分自身だけなんだ!
この考え方が認知行動療法の基本にして、人生を変える発想になるはずだよ!
いやな気分は自分の見方、考え方によって生まれる・・・だから、それを変えられるのも自分だけってことか!
来週は、このことについてもっと詳しく考えていこう!

 
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