リス太と学ぶ認知行動療法 ~完全主義~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

前回は、無条件の自尊感情について話したね。
特定の条件がなくても、自分自身を価値あるものとして認め、愛することができる、という考え方だったね。
今回は、もっとも一般的な自虐的思い込みである「完全主義」について考えてみよう!

完全主義と優れたものを追求すること

完全主義だと、どんな悪いことがあるの?
完全主義は、以下のような困難に対して脆弱になってしまう可能性を持っているんだ。
  • 仕事や学校でのストレス
  • うつや不安などの気分変動
  • 孤独感と恋愛関係の構築困難
  • 人間関係における過剰な欲求不満、怒り、衝突
  • 批判、失敗、ミスなどから学ぶことの障害
  • 難しい仕事へのこだわりと先延ばし
なるほど。それじゃあ、優れたものを追求していくのはあまり良いことではないんだね。
待って! 実は、完全主義と、優れたものを追求していくことはイコールではないんだ!
ええっ!そうなの?
そうなんだ。問題になるのは、何かに駆り立てられるように感じて、緊張したり、常に自分自身や自分の業績、人間関係に不満を覚えたりするような場合の完全主義なんだよ。
うーん・・・その2つはどんなふうに違うの?
違いをまとめてみたよ!

 

完全主義 優れたものを追求すること
ストレスを受け、何かに駆り立てられていると感じ、失敗への恐怖によって動機づけられる。 創造的な気分を感じ、熱意によって動機づけられる。
自分の実績に満足することができない 努力が喜びと満足をもたらす
他人に好意と尊敬の念を持ってもらうため、自分の知性と実績で相手を印象づける必要を感じる。 相手が自分をありのまま受け入れてくれることを知っているため、他人を印象付けることで愛情や友情を得たいとは感じない。
重要な目標を達成できなかったり、ミスを犯したりしたとき、自己批判的になり、自分が欠陥人間であるかのように感じる。 ミスを犯すことを恐れず、失敗を成長と学習の機会ととらえる。
自分が常に強くあらねばならず、感情を抑えなければならないと考える。 自分の弱さを他人にさらすことや、感情を他人と共有することを恐れない。

 

おおー、こんなに違いがあるんだね!

完全主義チェック

今日はもう1つ、自分が完全主義を持っているかを調べるチェックリストを用意してみたよ!
自分に当てはまるものがあればチェックしてみよう!

 

完全主義の種類 定義
1.身体の完全主義 魅力的であるためには、完全な容姿を持たなければならない。
2.業績の完全主義 ミスを犯すこと、失敗すること、あるいは仕事や学業において個人的目標を達成できないことをひどく嫌う。
3.自己認識の完全主義 他人の好意と尊敬を得るために、自分の業績、才能、知性などで他人を印象付ける必要があると確信しており、もし自分が失敗したり、他人の前でしくじったり、ミスを犯したりしたら、相手は自分を軽蔑すると思い込んでいる。
4.感情の完全主義 孤独感、憂うつ、怒り、不安、パニックなどの、否定的で脆弱な感情を恥辱と感じ、自分が常に幸せで感情をコントロールできなければならないと思い込んでいる。
5.自尊感情の完全主義 自分よりも知的で、魅力があり、成功を収めた人に劣等感を持つ。
6.人間関係の完全主義 互いを大切に思う者同士は、決して喧嘩をしたり言い争ってはならないと思い込んでいる。
7.恋愛の完全主義 相手に対して決して満足することがないため、長続きする恋愛関係を築くことは難しいと考えているほか、相手の欠点にこだわる。
8.全能感 他人、または世間が自分の期待通りでないことに動揺を感じ、電車が遅れたり、交通渋滞に巻き込まれたり、他人から失礼な扱いを受けたりすると、過剰な怒りと欲求不満を感じる。
9.強迫性傾向 自分の家やオフィスが常に完全に清潔でなければ気が済まず、そのために物事の確認、整理整頓などに過剰な時間をかける。

 

これらの傾向があったら、要注意!だね。
次回は完全主義についてメリット・デメリット分析をしてみるよ!

 

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