徹底解説!認知行動療法! ① ~認知ってなに?~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週火曜日にワークショップを認知行動療法講座をやっています。

講座内でも「認知行動療法とは何か」ということについて説明していますが、普段使わない言葉や考え方が多く含まれており、すぐに理解するのは難しいものです。

ここでは、講座の復習も兼ねて、「認知行動療法」というものについて、より詳しく解説していきます!

認知ってなに?

「認知行動療法」のうち、「行動」はなんとなくわかるけど、「認知」ってなに?という人も多いのではないでしょうか。

辞書を引くと、「これこれと認めること」なんて表現されていますが、やっぱりよくわかりませんよね。

認知とは、「ものごとの捉え方」のことを指す言葉です。

例えば、道を歩いていて、イヌに遭遇したとしましょう。

あなたは、どんなことを考えるでしょうか?

「可愛いな。もっと近くに行って撫でてあげたい」でしょうか?

「怖いな。噛まれてしまうかもしれない。早く逃げないと」かもしれません。

この「」で囲んだ部分が認知です。

認知の影響は、考え方の違いだけでなく、感情にも及びます。

「可愛いな」と思った人は、「嬉しい」とか「幸せ」といったポジティブな感情が浮かびます。

一方で、「怖いな」と思った人は、「恐怖」や「不安」などのネガティブな感情が浮かんできてしまうでしょう。

もちろん、「可愛いな」と考る方が必ずしも優れていると言いたいわけではありません。

しかし、つらく感じる感情の原因が、状況そのものではなく、「認知」という頭の中のフィルターであることはわかっていただけたのではないでしょうか。

メールが返ってこなくて不安になるのはなぜ?

もう1つ例を挙げてみましょう。

あなたは、ある日の夜に友人にメールを送りました。

しかし、翌日になっても返信がありません。

あなたはだんだんと不安になってきてしまいました。

さらに、憂うつな気持ちや、自己嫌悪も浮かんできます。

ここだけを見ると、「友人にメールを送ったけど返信がなかったので、不安になったり、落ち込んだりした」ように見えます。

しかし、実はそうではないんですね。

認知行動療法の考え方では、「感情」に変化があるときには、必ずその原因となった「認知」があります。

不安な気持ちになったのは、例えば「友人に嫌われてしまったんじゃないか」と思ったからではないですか?

憂うつな気持ちがあとから浮かんできたのは「やはり友人に嫌われてしまったに違いない」なんてふうに考え方を強めてしまったからかもしれません。

自己嫌悪は、「人に嫌われてしまうようなメールを出すなんて、自分はダメなヤツだ」というところでしょうか。

これらの認知が、ネガティブな感情を浮かべる原因となっているのです。

しかし、「すでに寝ていて気付かなかったんだろう」なんて考えていたとしたら、これらの感情は浮かばなかったはずなのです。

認知は行動にも影響する

同じできごとに遭遇したとしても、認知のパターンはさまざまです。

仕事を期限までに終わらせられず、上司に怒られてしまったとしましょう。

こんなとき、あなたはどんな風に考えるでしょう。

認知のパターンは無数にありますが、例として4つ出してみましょう。

A「次は間に合うようにしなければ。仕事の進め方の見直しが必要だな」

B「確かに期限に遅れてしまったが、何も人前で怒らなくてもいいじゃないか」

C「だいたい、設定された期限が短すぎるんだ。こんなもの、間に合わなくて当然だ」

D「また失敗してしまった。どうして自分はこんなにダメダメなんだろう」

これら認知の影響は、浮かぶ感情だけではありません。

その先に選ぶ行動にも密接に関係しています。

パターンA「次は間に合うようにしなければ。仕事の進め方の見直しが必要だな」

Aの認知をした人は、あまりネガティブな感情は浮かんでこないでしょう。

業務の効率を上げるために見直しなどの行動を起こし、次に任された仕事ではより良い成果を上げられるかもしれません。

パターンB「確かに期限に遅れてしまったが、何も人前で怒らなくてもいいじゃないか」

Bの認知をした人は、上司への怒りが浮かんでくることでしょう。

怒りの感情を持つことが悪いというわけではありません。

しかし、上司に怒りを持つということは、職場での人間関係に悪影響を与え、より大きなストレスの原因になる可能性があります。

パターンC「だいたい、設定された期限が短すぎるんだ。こんなもの、間に合わなくて当然だ」

Cの認知をした人は、会社に対する不満が強まっていきますね。

会社への不満は、意欲の低下に繋がります。

意欲が低下することによりさらに作業効率が落ちれば、また次の仕事でも怒られてしまい・・・と、負の連鎖に入ってしまう可能性もあります。

パターンD「また失敗してしまった。どうして自分はこんなにダメダメなんだろう」

Dの認知をした人は、気分が落ち込んだり、自責感に囚われてしまうことが考えられます。

家に帰っても自分を責め続けてしまったりして気分を切り替えられなければ、身体にも悪影響が出てくるかもしれません。

 

restart_banner