徹底解説!認知行動療法! ⑤ ~現在の問題を整理する~
就労移行支援事業所 リスタート では、毎週火曜日にワークショップを認知行動療法講座をやっています。
講座内でも「認知行動療法とは何か」ということについて説明していますが、普段使わない言葉や考え方が多く含まれており、すぐに理解するのは難しいものです。
ここでは、講座の復習も兼ねて、「認知行動療法」というものについて、より詳しく解説していきます!
問題の整理
認知行動療法ではまず、認知に注目し、自分を苦しめている認知の歪みを探していきます。
しかしそのためには、「自分がどんなことで困っていて、その原因はどんな自動思考なのか」を把握している必要があります。
そこで今回は、生活状況から問題を整理していく方法についてお伝えします。
問題リスト
まずは問題リストを作っていきましょう。
問題リストには、以下の項目を記入します。
生活状況と変化
最近の生活状況を記入します。
特に、プライベート、ビジネス問わず起きた変化に注目して記入するようにしてください。
気分
ここ最近浮かんでいるネガティブな気分を記入します。
行動
最近の行動で、変えたいこと、悩んでいることなどを記入します。
身体反応
自分でコントロールできない体の反応で、気になることを記入します。
思考
上記の気分、行動、身体反応が起きる原因となっているだろう考えを記入します。
問題リストの例
生活状況と変化
・新しく営業部に異動になった
・実家を離れ、一人暮らしを始めた
気分
・緊張
・不安
・焦り
・困惑
行動
・寝つきが悪く、毎晩遅くまでゴロゴロしている
・朝起きても、起き上がる気力がなくしばらく横になっている
・休日に外出しなくなり、ずっと家で過ごしている
身体反応
・不眠がち
・動悸
・手に汗がにじむ
思考
・新しい部署がこんなに大変だとは思わなかった。
・自分には続けていけないかもしれない。
・同僚はみんな自分よりずっと優秀だ。
・周囲にがっかりされたり、怒られたりするのが怖い。
3つのコラム
問題リストが作れたら、その中の「思考」の欄に注目し、さらに深く掘り下げていきます。
問題リストででてきた思考が、どのような場面で浮かんだものだったか、印象的な出来事を思い出し、分析してみましょう。
ここでは、3つのコラムと呼ばれる方法を使います。
3つのコラムでは、状況、気分、自動思考の3項目を書き出します。
状況は、5W1Hの形でできるだけ詳細に記入します。
気分は、強さの最大を100%として、どれくらいの強さで感じたかも記入します。
自動思考は、その時にパッと浮かんだ考えを記入したうえで、特に強く感じたものを選んでください。
先ほどの問題リストから、3コラムを作ってみます。
状況
先週の金曜日、営業部の仕事について一通り説明を受け、上司から「しっかりと結果を出すように」と言われた。
気分
緊張 90%
不安 85%
焦り 70%
困惑 60%
自動思考
・結果を出すようにと言われても、どうすればいいのか自分には全然わからない
●望まれている結果を出すことができず、上司や同僚に呆れられてしまうだろう。
・同僚たちは、しっかりと結果を出すのだろう。
・自分はこの会社でやっていけないかもしれない。
気分を左右する自動思考に注目する
いかがでしょうか。
問題リストを作成したことで仕事上の変化がきっかけで緊張や不安が高まり、行動や身体反応にも悪影響が出ていることがわかりました。
そして、3つのコラムによって、それらの原因となっている自動思考が見えてきたのではないでしょうか。
特に強い影響を与えているものとして、今回の例では「望まれている結果を出すことができず、上司や同僚に呆れられてしまうだろう」を選びました。
逆に言えば、この自動思考に含まれる認知の歪みを見つけ、捉え方を変えていくことができれば、気分が楽になり、行動や身体反応も良くなっていくと考えられます。
次回以降、整理して見つかった問題に、どのように対処していけばよいのかお伝えしていきます。