選択理論の考え方で問題に対処してみよう! ⑤ ~理不尽なクレームを受けた~
就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。
今回も、選択理論の10の原理に基づいて、職場で起こり得る問題に対処する方法を紹介します!
目次
選択理論の10の原理
(1)私たちがコントロールできる行動は唯一自分の行動だけである。
(2)私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて情報である。その情報をどう処理するかは、それぞれの選択である。
(3)長期に渡るすべての心理的問題は、人間関係の問題である。
(4)問題のある人間関係は、常に私たちの現在の生活の一部である。
(5)過去に起こった苦痛は私たちの現在に大きく関係しているが、この苦痛な過去に再び戻ることは、いま私たちがする必要のあること、すなわち現在の人間関係の改善には貢献できない。
(6)私たちは、遺伝子に組み込まれた欲求、すなわち生存、愛と所属、力、自由、そして楽しみ、これら5つの欲求によって駆り立てられている。
(7)私たちは、上質世界に入っているイメージ写真を満足させることによってのみ、こうした欲求を満たすことができる。
(8)私たちが誕生して死を迎えるまでにできることはすべて、行為、思考、感情、身体反応、これらのうちいずれかの行動である。
(9)すべての行動は、動詞、あるいは不定詞や動名詞によって表現され、最も認めやすい要素によって呼ばれる。
(10)すべての行動は選択されたものであるが、私たちが直接コントロールできるのは行為と思考だけである。
Case5:理不尽なクレームを受けた
Kさんはとある商社に入社して3年目の社員です。
これまでは営業として働いてきたのですが、新しくカスタマーサポートに配属されることになりました。
顧客からの問い合わせに対応する部署であるため、当然クレーム対応を行うこともあります。
しかし、中には「購入した商品を落としたら壊れてしまったから責任を取れ!」といったような理不尽なクレームを言ってくる顧客も多くいました。
そのためKさんはすっかりノイローゼ気味で、さらには「自分たちのしている仕事は本当に正しいのだろうか?」とモチベーションも落ち気味です。
こんなとき、選択理論の考えを使ってどのように対処できるでしょうか。
選択理論で対処してみよう!
今回のポイントは、以下の3点です。
①:コントロールできることとできないことを意識する
②:カスタマーサポートという仕事そのものの意義や価値を見出す
③:将来自分がやりたいことを明確にして、それに対する現状の価値を見出す
コントロールできることとできないことを意識する
今回、顧客のクレームは直接コントロールできることではありません。
こちらから働きかけて、理不尽なクレームを無くす、といったことは残念ながら難しいのです。
また、営業からカスタマーサポートへ異動したことについても、自分ではコントロールできないことです。
将来また営業ができるように動く、といったことはできるにしても、異動そのものを自分が操作することはできません。
今回もコントロールするのは自分の「思考」と「行為」。
目を向ける場所を切り替えてみましょう。
カスタマーサポートという仕事そのものの意義や価値を見出す
今回、Kさんのモチベーションが下がってしまった理由は、それまで想定できていなかった業務についたことであると考えられます。
元々の営業についてはイメージを持てていたものの、カスタマーサポートとなると会社の別の側面が見えてきますし、営業として働いていた時には見えていなかった、実際の顧客とのやり取りも見えてきます。
そこでまずは、カスタマーサポートという仕事自体の意義や価値を考えてみましょう。
カスタマーサポートという仕事は、顧客の願いや考えを直接受け取る仕事です。
例えば、これからも取引を続けてもらえるか否かを決める重要な仕事である、というポイントに視点を向けることで、やりがいになり意欲が湧くかもしれません。
将来自分がやりたいことを明確にして、それに対する現状の価値を見出す
一方で、やはり自分は営業の仕事がしたい、という気持ちが強いようであれば、将来再び営業として働くことを見据え、そのためにいまのポジションで活躍することにどんな意味があるか、考えてみましょう。
例えば、カスタマーサポートとして働く中で、顧客がどんな不満を持っているのかがわかれば、より顧客に寄り添って営業の仕事をすることができるようになるでしょう。