徹底解説!認知行動療法! ⑩ ~不安からなかなか行動に移せないときは~
就労移行支援事業所 リスタート では、毎週火曜日にワークショップを認知行動療法講座をやっています。
講座内でも「認知行動療法とは何か」ということについて説明していますが、普段使わない言葉や考え方が多く含まれており、すぐに理解するのは難しいものです。
ここでは、講座の復習も兼ねて、「認知行動療法」というものについて、より詳しく解説していきます!
不安感とは
前回までの記事で、アクションプランの作成や、行動後の振り返りについて説明しました。
しかし、実際にはアクションプランを作成しても、いざ実践となると行動を起こすのが難しいこともあります。
理由はいくつか考えられますが、まず挙げられるのは不安感によるものでしょう。
不安とは、危険を避けるための感情です。
何か自分の力で対処できないような危険が迫っていると感じた時、それを避けるために存在する感情であり、悪いもの、不要なものというわけではありません。
不安という感情があるからこそ、前もって危険を想定し、対処するための準備をすることができるのです。
とはいえ、不安の原因となっているものを毎回「回避」していると、いつまでも不安を克服することはできません。
不安感は悪いものではないと言いましたが、問題になるのは不安という感情の根底にあるのが「何か危険なことが起きるのではないか」という”想像”であることです。
つまり、不安感が強い人は、いろいろな場面で実際に起こる事柄を過剰に捉え、実際よりも大きな危険を想像してしまっているのです。
不安感を打ち消す唯一の方法は、不安を感じている対象に立ち向かうことです。
逃げるのではなく、実際にその状況を体験することで、「想像していたほど危険ではない」ことがわかれば認知が修正され、以降は強い不安を感じなくなるでしょう。
不安階層表
不安感が原因で行動が起こせないときの対処法として、「不安階層表」というものがあります。
まずは、不安感が邪魔をして実行できずにいる行動を、できるだけ多く書き出してみてください。
書き出せたら、それぞれの行動に対してどれくらいの強さの不安を感じるのかを数値化し、感じる不安の小さいものから順に並べます。
これが不安階層表です。
不安階層表が完成したら、いちばん下の項目、つまりは感じる不安が最も少ない行動から挑戦していってください。
いきなり感じる不安が強い行動に挑戦するのは難しいですが、少しずつ行動のレベルを上げていくことで自信をつけていけば、以前は挑戦できなかった行動にも挑戦しやすくなります。
例として、「人前で恥をかくのが不安」という人の不安階層表を作ってみました。
不安階層表
会話の中でジョークを挟む:100
道行く人に話しかけて、今が何時か聞く:80
化粧をせずに出歩く:60
帰り道で、歌を口ずさむ:40
エレベーターで乗り合わせた人に何階ですか?と聞いてボタンを押す:20
もちろん、どんな行動で強い不安を感じるかはその人次第です。
自分にとってどれくらいの不安があるのかを数値化して、下の階層のものから順に挑戦していきましょう。
自分が一番やってみたいことを一番上の階層に置くと、モチベーションにもなって良いですよ!
また、各項目は1回やって終わり、というわけではありません。
1回やるごとに、不安感は少しずつ減っていくはずです。
焦らずに、不安を感じなくなるまで繰り返し実行してみましょう。
不安を感じることがなくなってきたら上のステップに進みますが、そのとき、可能であれば家族や友人に依頼して、行動するときに一緒にいてもらうのも良い方法です。
少しずつ段階を踏んで、不安感を克服していきましょう!