自分の人生を支配している「思い込み」 ⑪ ~思考の連鎖から出発点を見極める~

就労移行支援事業所 リスタート では、毎週金曜日に自己分析講座をやっています。

自己分析講座では、「自分を知り、人に説明できるようになること」と、「自分で自分にかけてしまっている『制限』に気づき、苦手を克服すること」の2点を軸に分析を進めています。

ここでは、自分について知り、『制限』から抜け出すために、「思い込み」というものについて考えていきたいと思います。

思考の連鎖を自覚する

人間の考えは、連想ゲームのように進んでいきます。

例えば、ドラマなどで血が流れているのを見て恐怖する、という場面があります。

これは、「血」そのものが怖いのではなく、「血が流れている」→「誰かが傷ついている」→「傷つけた原因がある」→「自分も危ないかもしれない」と連想したがために恐怖を感じている、ということができます。

同じように、大切なプレゼンの場で汗が止まらなくなってしまっている人について考えてみましょう。

「大切なプレゼンの場」だから「汗をかいている」と、直接結びついているように見えますが、実際にはその間にはいくつかの連想があるはずです。

例えば、「プレゼンの場」→「以前失敗したことがある」→「今回は絶対に失敗してはいけない」→「恐怖感、緊張感を覚える」→「身体反応として汗が出る」といったところでしょうか。

もしもこの人が、プレゼンのような場で失敗した経験もなく、また人前で話すことも苦としていないならば、きっとそれほど汗をかくこともなかったはずなのです。

このようにして、抱えている問題をチャート化して追及していくことで、原因となっている判断や決断の根拠が見えてきます。

そしてその根拠が自分の「思い込み」であるならば、思い込みを修正していくことで問題の解決を目指すことができるのです。

思い込みのチャート図から「認知の歪み」を見つける

さて、チャート図ができたら、ここから問題の根源となっている「思い込み」を探したいと思います。

ここで役立つのが、認知行動療法講座で紹介している認知の歪みというものです。

認知の歪みには、

①白黒思考
②極端な一般化
③心のフィルター
⑤結論の飛躍
⑥過大評価・過小評価
⑦情緒的な理由付け
⑧べき思考
⑨レッテル貼り
⑩自己関連付け

の10種類があります。

詳しくは、認知行動療法についての記事で紹介しているのでそちらで確認してください!

徹底解説!認知行動療法! ④ ~認知の歪み~

チャート図には、これらの認知の歪みが見えてくることがあります。

例えば、「自分に自信を持てない」→「自分が欠点だらけだから」→「欠点だらけだと人にも愛されない」→「愛されるためには完璧でなければならない」というように0か100かで二分した要素が含まれている人は、「白黒思考」を持っていると考えられます。

具体的な根拠ではなく、「悔しかったから」「悲しかったから」など感情的な表現が混じっているのであれば、「情緒的な理由付け」に囚われているかもしれません。

また、「~べきだから」「~しなければいけないから」といった表現が多いのであれば、「べき思考」がありそうです。

このように、チャート図から自分の持つ考え方のクセを見つけると、自分の持つ「思い込み」がわかりやすくなります。

根源の思い込みを見つける

チャート図のスタート地点は「現在の悩み」ですが、ここと「根源の思い込み」が直接つながるとは限りません。

例えば、「仕事でなかなか結果が出ない」ことが悩みであれば、「入社したばかりで未熟だから」→「未熟なのは場数を踏んでいないから」とチャートが続いたところで、とりあえず「仕事でなかなか結果が出ない」という現在の悩みの原因は突き止められたと言えるかもしれません。

しかし、根源の思い込みを見つけるのであれば、ここで止まらずにさらにチャートの作成を続ける必要があります。

なぜなら、「なぜ場数が踏めないのか」という部分には、まだ思い込みが隠されていると考えられるからです。

次回の記事で、思い込みの原因を見つけていきます。

 

restart_banner