認知行動療法講座「認知行動療法の流れ」
認知行動療法講座
現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。
今日は、認知行動療法のプログラムを行いました。
前回は、認知行動療法の基礎となる「認知」とはなにか、という部分を中心にお話ししました。
今回は、認知行動療法とはどのようなものかという部分から、気分と自動思考の関係までを復習して行こうと思います。
認知行動療法とは
認知行動療法とはどのようなものかについては、前回も少しだけ触れました。
前回は「認知」と「行動」の2つの面からストレスに対処できるようにしていくもの、と説明しましたが、ここをもう少し深く掘り下げてみようと思います。
人の反応には、「認知」と「行動」の他に、「感情」「身体反応」を合わせた4つの種類があります。
例えば、「仕事を期限までに終わらせられず、上司に怒られてしまった」という例から考えれば、
「何も人前で怒らなくてもいいじゃないか」と思う:認知
だんだんと怒りが沸いてくる:感情
顔が赤くなり、表情が険しくなる:身体反応
周囲の人たちに、ついぶっきらぼうな対応をしてしまう:行動
となります。
これを見ればわかる通り、この4つの反応は相互に影響しあっています。
この場合であれば、「人前で怒らなくても」と受け止めたために怒りが沸き、怒りの感情のために身体に影響が合ったり、行動が変化した、というわけですね。
ここで重要なのが、4つの反応のうち、自分の意思でコントロール可能なのが「認知」と「行動」である、という点です。
「物事をどう受け止めるか」と、「どのような行動をとるか」は自分で決めることができる部分です。
それに対して、「浮かんでいる気持ち」と「無意識に起きる身体の反応」は直接変えることができません。
「落ち込み」を「喜び」に書き換えることはできないのです。
しかし、間接的にであれば話は別です。
落ち込みの原因となった認知を変えるか、それに伴う行動の部分を変えることによって、落ち込みの感情を和らげていくことはできるのです。
このため、認知行動療法では「認知」と「行動」の2つの面から問題の解決を目指していく、ということになります。
気分と自動思考
ではさっそく、認知行動療法を使って問題の解決を目指しましょう・・・といきたいところなのですが、まず初めにやっておく必要があることがあります。
それは、「自分の気分に気が付く」ということです。
「最近、なんだかつらいな」と感じていたとして、「つらい原因はなんだろう?」と考えても、なかなか答えに辿り着けません。
この、「なんだかつらい」という気持ちを分析することで、自分を苦しめているホットな自動思考を見つけることができるのです。
そのためにはまず、「気分」と「思考」を切り分けなくてはなりません。
「憂うつ」とか「がっかり」、「腹立たしい」というのが気分、あるいは感情です。
それに対して、「どうせうまくいかない」とか、「私はダメな人間だ」といったものは思考、つまりは認知です。
自分が感じている気持ちを考えるとき、この「気分」と「思考」を分けて考えなければ、うまく答えに辿り着けなくなってしまうので注意してください。
自分の気持ちを分析出来たら、次にその強さを最大を100%として数値化してください。
例えば、不安が90% 落ち込みが80% イライラは40%といった具合です。
数値化ができたら、その中でもっとも数値の大きい感情の元となった自動思考を探してみましょう。
それこそが、あなたを最も苦しめている認知であり、「ホットな思考」と呼びます。
最終的には浮かんだ感情それぞれの自動思考について解決していきますが、まずはホットな思考に対処することで気分が楽になり、他の問題も解決しやすくなるはずです。