認知行動療法講座「復習:根拠と反証①」

認知行動療法講座

現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。

今日は、認知行動療法のプログラムを行いました。

今回は、前回7つのコラムを作っていく中で質問が多かった「根拠と反証」の作り方について復習しました。

第4のコラム:根拠

まずは、第4のコラムから復習していきましょう。

第4のコラムに入るのは、どうしてその自動思考が浮かんだのか?という理由の部分です。

根拠に含めることができるのは、自分の推測ではない”事実”だけなのですが、まずは事実であるかどうかは考えず、その自動思考が浮かんだ理由を書き出してみてください。

第5のコラム:反証

第5のコラムには、自動思考のうち、「現実に則していない」事柄を記入していきます。

「現実に則していない」ことの中には、「根拠となる事実がない」事柄と、「起きている事実と矛盾してしまっている」事柄が含まれます。

反証を見つける方法はいくつかあるのですが、”認知の歪み”に注目する方法が最もわかりやすいかもしれません。

元の自動思考に含まれている認知の歪みを見つけ、その種類に合わせて考えることで、自動思考と矛盾する事実を探したり、根拠なしに決めつけていた部分を見つけることができます。

例題

例を用いて、実際に根拠と反証を作っていきたいと思います。

〇状況
同僚と共に任されたプロジェクトにミスがあり、上司に指摘されてしまった。その翌日、同僚が飲みに誘われているのを見たが、自分は誘われていない。

〇気分
1)無力感 70%
2)自責感 70%
3)落ち込み 80%

〇自動思考
1)私はまたミスをしてしまった。どうして私は何をやってもだめなんだろう。(極端な一般化,心のフィルター)
2)同僚は上司に飲みに誘われたのに自分は誘われていない。自分は上司に嫌われてしまったのだ。(心の読みすぎ)
3)同僚もミスをしていたが、大したものではなかった。しかし、自分は重大なミスを犯してしまった。自分は役に立たない人間なんだ。(白黒思考,過大評価、過小評価,レッテル貼り)

根拠

まずは、自動思考が浮かんできた根拠を探していきます。

一つ目の自動思考は、「私はまたミスをしてしまった。どうして私は何をやってもだめなんだろう」というものですね。

この自動思考の根拠となるのは、「今回ミスをしてしまった」ことと、「以前にもミスをしたことがある」という2点ですね。

これらのように、実際に起きてしまったこと、経験したことは「事実」であり、自動思考が浮かんだ理由として考えられます。

二つ目の自動思考は、「同僚は上司に飲みに誘われたのに自分は誘われていない。自分は上司に嫌われてしまったのだ。」というものですね。

この自動思考の根拠は、自動思考の中に含まれている通り、「同僚は上司に飲みに誘われたが自分は誘われていない」ということです。

これも同じく、実際に見たことや自分の身に「起きていない」ことなので、事実であると言えます。

三つ目の自動思考は、「同僚もミスをしていたが、大したものではなかった。しかし、自分は重大なミスを犯してしまった。自分は役に立たない人間なんだ。」というものですね。

この自動思考の根拠となるのは、「同僚と作業をしている中でミスをしてしまった」ということです。

一方で、同僚のミスが大したものではなかったという根拠や、自分のミスが重大であるという根拠を見つけることはできませんでした。

次回、この例題から反証を探していきたいと思います。

 

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