認知行動療法講座「適応的思考の練習」

認知行動療法講座

現在、高田馬場の就労移行支援事業所 リスタートでは、リモートによるプログラムを行っています。

今日は、認知行動療法のプログラムを行いました。

前回復習した適応的思考について、例を用いて実際に作ってみる練習をしました。

適応的思考

最初に、適応的思考とはなんだったのか思い出してみましょう。

適応的思考とは、”現実的”で”柔軟”な考え方のことです。

第4、第5のコラムで見つけた根拠と反証の両方を含めることで、現実に起きたことをしっかり見つめつつ、根拠なく決めつけてしまっていたことを見直すことができます。

今回は、例を用いてこの適応的思考を作ってみます。

Cさんのコラム

・自動思考
1)私はまたミスをしてしまった。どうして私は何をやってもだめなんだろう。
2)同僚は上司に飲みに誘われたのに自分は誘われていない。自分は上司に嫌われて
しまったのだ。
3)同僚もミスをしていたが、大したものではなかった。しかし、自分は重大なミスを犯してしまった。自分は役に立たない人間なんだ。

・根拠
1)前にも一度、同じ仕事をしている最中にミスをしたことがある。
2)上司が自分の同僚を飲みに誘い、自分は誘われなかった。
3)同僚との作業中にミスをしてしまった。

・反証
1)このプロジェクトが始まる前は、問題なく仕事をこなし叱られたこともなかった。
注意を受けたところ以外は上手くいったし進行ペースには問題がない。
2)上司からミスの指摘は受けたが、それ以外に文句などを言われたわけでもない。
  嫌われているから誘われないのだという証拠はない。
3)ミスは双方の不注意で起こり、どちらが悪いというものでもない。
  新規プロジェクトに抜擢された。

適応的思考

それぞれの自動思考に対応する根拠と反証を繋げ、整えていきましょう。

1)前にも同じ仕事でミスをしたことがあるが、このプロジェクトが始まる前は問題なく仕事をこなせていたし、現在の進行ペースにも問題は起きていない。

ミスを繰り返してしまったことは事実ですが、そこから「何をやってもダメだ」と考えて、いつも失敗しているように感じてしまい、うまく行っている部分には目が行かなくなってしまっていました。

反証を合わせることで、失敗に対する過剰な思い込みを取り外すことができました。

2)同僚が誘われ、自分が誘われなかったのは事実だが、ミスの指摘を受けただけで嫌われたとする明確な根拠はない。

同僚は誘われたのに自分は誘われていないというのは事実ですが、だからといって「嫌われている」というように上司の内面を決める根拠とはなりません。

この適応的思考には含めていませんが、「同僚と上司は同じ社内クラブに入っていたから、その飲み会かもしれない」といったように、「嫌われているから」以外の理由を探してみるのも良いでしょう。

3)同僚との作業中にミスをしてしまったが、双方の不注意で起こったものであり、点数にするなら60点くらいはつけられる。自分が本当に役立たずなら、新規プロジェクトに抜擢されることもないのではないか。

元の自動思考では、過大評価・過小評価により、同僚のミスは小さく、自分のミスは大きく捉えてしまっていましたが、「双方の不注意である」ことに目を向けることで、自分の仕事を客観的に評価することができています。

また、自分に対する役立たずというレッテルも、評価してもらえていることに目を向けることでなくすことができました。

 

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