非定型うつ病ってどんな病気?-②

「非定型うつ病」は、20~30代の若い女性に増えている、新しいタイプの心の病です。

ではなぜ「非定型うつ病」にかかってしまうのでしょうか?

その人の性格からくるものでしょうか?

子どもの頃の育てられ方の影響でしょうか?

原因が分かれば対策が立てられるかもしれません。

「非定型うつ病」にかかりやすい人とは?

【性格】いわゆる「いい子」タイプ

子どもの頃から「手のかからない子」「評判のいい子」だった人は要注意。

その内面は自信がなく、周囲からどう見られているか、不安を抱えています。

他人にどう思われているかが第一なので、自己主張は二の次。

自分を犠牲にして相手に尽くします。

また、面倒を起こさない「いい子」なので、人から批判されたことがほとんどありません。

そのため、ちょっとした批判、失敗が大きなストレスになることも。

【社会的環境】過密、過多、過剰、高速な世の中

息がつまるような人口過密。

過剰な情報社会。

携帯電話でメールもすぐ返信を求められるようなゆとりのない生活は、ストレスに満ちています。

このような現代社会も「非定型うつ病」が増加する要因のひとつと言われています。

【生理的要因】心の病ではなく脳の病

定型うつ病は、「心の病」と言われることもありますが、近年では「脳の病気」と考えられています。

「非定型うつ病」も、セロトニンやノルアドレナリン、ギャバなど脳の神経伝達物質の働きになんらかの異常があると言われています。

また、ストレスを感じるとホルモンを分泌させたり、自律神経に働きかける視床下部。

記憶や情動にかかわりの深い海馬と偏桃体。

意欲や集中力にかかわる前頭葉。

これら重要な部位になんらかの機能低下があると推測されています。

【養育歴】育て方ではなく育ち方

「非定型うつ病」を発症した人を調べてみると、両親の離婚、母親が多忙、虐待など、親に十分甘えられずに育った傾向がみられます。

母親との関係だけでなく、夫婦喧嘩や父親の暴言・暴力も影響すると言われています。

特に「非定型うつ病」では、ほかのうつ病より虐待を受けた人が多いことも分かっています。

また、本人がいくつもの塾や習いごと通うような多忙な生活を送っていると、心のゆとりをなくし、親とのコミュニケーションもおろそかになります。

親から無条件に愛されているという実感も持てないほど多忙なため、さみしさにも気づかず、自己主張を抑え、良い子であろうと無理をして頑張っています。

【日常生活】運動不足は発症の引き金に

運動は、脳の健康維持にも、とても意味があります。

日中に適度な運動をすると、交感神経の働きが高まり、集中力や思考力など、脳の働きも活発になります。

また、運動は一時的に体温を上げますが、再び体温が下がった時、自然に睡眠に導く働きもあります。

昼間の活動と、夜の睡眠。この規則正しいリズムこそ、脳を健康に保つ秘訣なのです。

【家族性】生来の体質によるものかは不明だが…

「非定型うつ病」の人の家族をみると、ときどき親や兄弟、子どもなどにも「非定型うつ病」の人が見つかることがあります。

家族というのは遺伝的つながりのほか、生活環境やストレス体験が似ていることも見逃せません。

家族の中にうつ病の人がいると、ストレスに対して間違った反応の仕方をしても、他の家族が真似してしまうという説もあります。

したがって、うつ病の家族性は、遺伝子だけでなく、養育歴やストレスなどの環境も関係が深いと言えます。

【意外な要因】地球温暖化が影響している?

パニック障害では、気温や湿度の上昇が発作の引き金になることがわかっています。

日本では、気温が上昇する季節になるとパニック発作が多くなると言われています。

パニック障害は、「非定型うつ病」と関係が深く、気温や湿度の上昇がもたらすストレスやイライラは、「非定型うつ病」にも悪影響を及ぼすと考えられています、

日本でも年々平均気温が上昇傾向にあります。

世界的にも最近100年間の気温は上昇しており、地球温暖化は確実に進んでいます。

「非定型うつ病」やパニック障害が増加しているのも、もしかしたら地球温暖化と関係があるのかもしれません。

 
次回は、うつ病、パニック障害、パーソナリティ障害との関連性を解説します。

 

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