統合失調症ってどんな病気?-③

従来、精神科で診断は、それぞれの症状をみて、別々の病気や障害に分類していました。

しかし、最近では、個々に限定せず、症状の数やその程度によって重症度が変わると考え、ひとつのまとまりとしてとらえる診断方法に変わりつつあります。

これが「スペクトラム」という考え方です。

「統合失調症」の場合、似た症状をもつまとまりを「統合失調症スペクトラム」とすることで、経過の途中で診断が変わっても治療を継続でき、その後の経過や将来の展望に幅をもたせられるようになりました。

統合失調症スペクトラムには、以下のような病気があります。

統合失調症スペクトラム

ゆっくり回復に向かう「統合失調症」

「統合失調症」は思春期・青年期に発症しやすいため、人生設計や社会生活への影響が大きい病気です。

発症率は1%ほどと言われていて、意外と身近な病気です。

20歳前後に症状が始まるケースが多く、ピークは男性で27歳、女性は30歳です。

経過も長く、症状の特徴から、大きく4つのステージに分けられます。

前兆期 前触れとなる症状が現れる時期。不安障害やうつ病でもみられる症状で、症状が起こっても実際に統合失調症へ移行するのは20%ほど ・焦燥感
・物音や光に敏感になる
・抑うつ状態になる
・食欲不振
・不眠
急性期 妄想や幻覚などの症状が強く出る時期。本人は病気であるという自覚がない場合が多く、その症状から対人関係や社会生活に支障をきたす。 ・妄想
・幻覚
・興奮状態
・過覚醒(昼夜逆転、コミュニケーション難など)
休息期 急性期が1~2か月続いたあと、無気力で何もしなくなるなどの陰性醜状が現れる時期。急性期に消耗したエネルギーを蓄える時期でもあるが、ちょっとした刺激が誘因となって急性期に逆戻りすることも。 ・陰性症状(感情がにぶくなるなど)
・倦怠感
・不安感
・焦燥感
回復期 心身のエネルギーが回復して安定していると感じられるようになる時期。ただ陰性症状が続いたり、認知機能障害が現れることもあり、その後の社会生活に支障が出る場合も。 ・陰性症状は続く
・少しずつ安定感が出る

半年以内に治る「統合失調症様障害」

その名のとおり「統合失調症」の『ような』障害で、最初は統合失調症の急性期のような症状が起こります。

ただし、その症状の持続期間は半年と短く、回復後に陰性症状が残ることもあまりありません。

「統合失調症」と同じ治療を行い、6か月を経たずに回復したことを確認して、初めて「統合失調症様障害」の診断が決まります。

発症は突然でも短期間の「短期精神病性障害」

前兆期がなく、突然症状が起こり、急速に悪化するのが「短期精神病性障害」です。

現れるのは、妄想、幻覚などの陽性症状だけで、しばらくすると治まり、認知機能障害などもなく、発症前の状態に戻ります。

診断基準では、1か月以内に治まるものを「短期精神病性障害」としています。

短期間で治る一方、再発率が高いのも特徴です。

妄想だけが強く出る「妄想性障害」

統合失調症スペクトラムの中でも、妄想がメインの障害です。

少なくとも1か月以上、妄想が続いている状態が診断基準になりますが、妄想以外の部分では、理性や判断力に変わりありません。

そのため、妄想が及ばない部分では、生活に支障がないのも特徴です。

妄想は、困りごとや葛藤などから自分の心を守るために本人が気づかずに作り出した「逃げ場」という側面があります。

薬物治療と並行して、本人のストレスを減らしたり、環境を改善するなどの対応をとることで、妄想が軽くなり、時には消えてしまうケースもあります。

病気ではない「統合失調型パーソナリティ障害」

つじつまの合わない行動や奇異な思い込みなど、「統合失調症」に似た特徴があるものの、病気ではなく、その人の「個性」としてとらえられているタイプです。

パーソナリティとは、周囲の人や物事に対応するときの考え方や行動パターンのこと。

パーソナリティ障害では、このパターンがうまく働かず、人付き合いや社会生活に支障が起こります。

「統合失調型パーソナリティ障害」では、独特のこだわりや思い込みのために、周囲から孤立しがちですが、他人とかかわりあうことの方が苦痛なため、本人はあまり困っていません。

周辺の障害や病気

精神疾患の中には、統合失調症スペクトラムによく似た症状が現れるものがいくつかあります。

  • 陰性症状が出ているような状態の「うつ病」
  • 妄想と興奮状態が現れる「双極性障害」
  • 妄想があるように見える発達障害」

病院ごとに診断名が変わることも多い精神疾患ですが、それは精神科の診断が「類型診断」だからです。

内科や外科の診断は、検査重視で目に見えるデータが決め手になりますが、精神科の病気の多くは、脳の画像検査や血液検査などでは原因が見つけられず、症状だけが診断の目安となります。

診察での話をもとに、「この病気の症状にみたてることができる」と考えられるものに当てはめて診断するのが「類型診断」です。

そのため、どの症状を訴えたか、医師がどの症状に着目したかで診断が変わることがあります。

 

次回は、「統合失調症」の治療方法を解説します。

 

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