繊細で真面目な人のメンタルケア講座 ~通院すべき?③ 発達障害だったら~
発達障害かも? と思っている人へ
うつと並んで、「自分は発達障害なのでは?」と病院を受診する人も急増しています。
近年精神科の受診数を引き上げている大きな要素です。
発達障害はとくにここ数年でテレビや雑誌などで話題になることが増え、また発達障害やその支援を専門に取り扱った番組もできてきました。
そんな中では当然、自分は発達障害ではないか?と感じる人も増えます。
集中できない、気分の浮き沈み、新しいものへの目移り・・・
このような症状が特徴的だと報道されるため、あてはまったら自分も発達障害なのでは、と自分で自分を疑う人ももちろんいるでしょう。
発達障害かも?と思ったら、何を基準にしたらよいのでしょうか。
以下のような人は要チェックです。
- よくある「発達障害かも」という症状に当てはまる。
- 仕事や学業で、発達障害のものと思われる症状がある。
- 発達障害だったら、どうしたらよいかわからない。
- 失敗が多いのは、もしかしたら発達障害のせい?
メディアなどで取り上げられることが増えるにつれ、このような不安や疑問も世の中でよく耳にするようになってきています。
発達障害だったらどうしよう?
発達障害を患っている人は、人口の1割弱程度いる、と言われています。
テレビ番組やネットの記事などで、このような数字を目にしたことがあるのではないでしょうか。
「もしかしたら自分はその1割なのかも?」と思うこともあるでしょう。
「発達障害に特徴的な症状がいくつかあって、それに何個も当てはまってしまう。」という人は意外と多いものです。
しかし、それらの症状に”いくつか当てはまる”だけであれば、人類のほとんどが発達障害を持っている、ということになります。
たとえば、「集中するときはのめりこむが、好きではないことには集中できない」という症状がありますが、これは誰にでも当てはまるのではないでしょうか。
いくつか当てはまるからといって、安易に自分を発達障害だと断定してはいけません。
実際どのくらいの割合なのか
発達障害だと診断されるのは人口の1割程度、ということですから、クラスが40人いれば、4人前後の人が発達障害の症状があると考えられるでしょう。
だから、自分が発達障害かも、と感じたり、チェックリストに何個かあてはまったりという状態は何らおかしなことではないのです。
また、発達障害に限らずどの疾患でもそうですが、実際に診断が下っている人たちとは別に、予備軍、グレーゾーンと呼ばれる「未診断だけど疑わしい」状態の人たちも数多くいます。
他の疾患では、実際に診断が下っている人数と同程度の予備軍もいることが多いもの。
発達障害においても同様で、予備軍・グレーゾーンの人たちが実際の人数と同程度いると考えられています。
発達障害は人口の1割程度とされていますから、予備軍も合わせると人口の2割程度になるでしょう。
さらに、「当てはまるかも」「発達障害かも」と感じている人だけでなく、「何個か当てはまる」という人も合わせると、3割程度にも増えるでしょう。
ですから、自分がチェックリストに当てはまるとか、発達障害かもと感じていても、おかしなことではなく、一般的なことなのです。
診断は自分でしない
前述のように、発達障害の特徴的な症状はいくつかあり、誰しも何個かは当てはまると言えるでしょう。
しかし、自分で「当てはまるから」「当てはまる個数が多いから」と、医師の診断でもないのに発達障害だと断定してしまうのはよくありません。
発達障害のよくある症状・特徴を自分が持っているからといっても、通院して実際にどの障害だと診断されるかとは別です。
よく見かける症状リストはわかりやすく説明するためのもので、チェックリストもあくまで簡易なものです。
実際に医師がつかう診断基準も、現場で発達障害を診察し、知識と経験がある医師に向けたもの。
チェックリストや診断基準が公開されているからといって、医師ではない私たちが「自分は発達障害だ」「あの人はADHDだ」とか「うちの子はASDだ」と判断することはできません。
安易な自己判断が、発達障害の間違えたサポートを招きます。
「もしかしたら発達障害?」と感じたら、医師の判断をあおぐのが正解です。
自己診断すると後悔する
自己判断が、間違えたサポートを招く、ということに関してです。
自分では「集中力が続かない」と感じていて発達障害だと感じても、実際に通院すると別の障害を併発していることもあります。
家族に多動の傾向がみられるからとケアをしていても、それは実はADHDだけではなくASDも併発しているということも多いもの。
発達障害は一部の面だけではなく多面的に見ないと正しいサポートができません。
こういった点もあり、ネットやメディアの情報から自己判断をするのは避けてほしいと思います。
また、多くの人は、自分が「発達障害です」と診断されたり、「発達障害かも」と疑うことに不安や落胆を感じます。
こちらも同様で、医師から正確な診断をされたわけでもないのに、自分で勝手に「もしかしたら発達障害かも」と疑って勝手に落ち込む必要はないのです。
さらにいえば、発達障害は「障害」と名前がついていますが、政治家や偉人、アーティストなどには多く見られるものです。
得意・不得意がわかれているため、自分の得意分野を活かすことができれば一気に生きやすくなるものでもあります。
自己診断で落ち込まないで、もし疑いがあるのであれば診断を受け、そのうえで自分の得意分野の活かし方を相談していけたほうがよいでしょう。