社会不安障害ってどんな病気?-②

人前で何かすると緊張して何もできなくなる。

他人の前で字を書こうとすると手が震えて何も書けなくなる…。

「社会不安障害」の症状は、ひとそれぞれ違いがあります。

詳しくみていきましょう。

「社会不安障害」の症状

「人前で何かする」という状況

人前で何かをする、初対面の人に会うといった状況は、誰でも多少なりとも緊張するものです。

これは「社会不安」と呼ばれ、一般にみられるものです。

しかし、その緊張が度を越しているために、極度の苦悩を抱えていたり、社会生活に支障が現れているなら、「社会不安障害」として、治療の対象になります。

人前で話そうとする極度に緊張する

『スピーチ恐怖』と言われ、朝礼での挨拶、会議での発言、披露宴のスピーチなど、人前で話す機会が増えたことをきっかけに現れることもあります。

電話に出るのが怖い

『電話恐怖』と言われ、オフィスなどで電話をとれないタイプ。

舌のもつれや、声の震えなどが気になり、ほかの人の前で電話応対をしくじるのではないか、電話の相手に変に思われないかなどと、強い不安を抱きます。

人前で字を書こうすると手が震える

『書痙』と言われ、受付で記帳したり、窓口の前で申込書を書いたりするときなどに、手が震え、字がうまく書けない状態。

意識しだすと、人前で字を書くことに恐怖を覚え、ますます震えが強くなりがち。

人と一緒だと食事が喉を通らない

『会食恐怖』と言われ、自分の食べ方が相手に不快感を与えるのではないかと思い、人と一緒に食事ができない、レストランなどに行けないタイプ。

相手との関係

「社会不安障害」は、家族やごく親しい友人などと過ごすプライベートな場面では、特に問題は生じない場合が少なくありません。

それゆえ「疾患である」と認識されにくく、極度のあがり症、心配性などと片付けられてしまう例があとを絶ちません。

目上の人の前で話せなくなる

「ダメな人間だと思われては困る」という思いが強いため、会社の上司などとの会話が極端に苦手という人もいます。

1対1になるのが怖い

相手が仲のよい友達であっても、1対1の状況は緊張を強いられると訴える人もいます。

顔見知りぐらいの関係の集まりがものすごく嫌

「社会不安障害」を抱える人は、『それほど親しくないが、見知らぬ他人でもない』人との交流に対し、強い緊張や恐怖を覚えがちです。

初対面の相手にはガチガチに

相手にどう思われるか、変に思われないかと心配するあまり、どうふるまえばいいが分からなくなってしまいがち。

自分の生理現象

人前でおなかが鳴るのではないかと心配でたまらない

「人前でおなかが鳴ったり、おならが出たらどうしよう」と強く悩む人もいます。

満腹の状態でなければ人が集まる場所に行けなくなるなど、行動範囲が狭まりがち。

近くに人がいると排尿できなくなってしまう

職場のトイレや公衆トイレなどで、他の人が入ってきたり、後ろに並ばれたりすると、「早く用をたさなければ」という思いが強くなり、かえって出なくなってしまうタイプで、『排尿恐怖』とも言われます。

視線

視線へのおそれは、「社会不安障害」の根底にあるものと言えます。

「見られている」と感じるからこそ、緊張が極度に高まっていきます。

他人の視線が怖い

「視線に射られている」「自分の行動をいつも観察されている気がして落ち着かない」「他の人たちた自分のことを噂している気がする」などと言う人も少なくありません。

自分の視線が不快感を与えそうで怖い

自分の眼つきが悪く、相手に不快感を与えるのではないかと思い、どこに目を向けていればいいのか分からないという人もいます。

人との接触そのもの

「人前で何かする」ことに対して恐怖を感じるだけでなく、対人接触そのものに、おそれを抱くようになることもあります。

家以外の場ではつねに緊張を強いられている

ごくプライベートな関係を除いて、どんな相手に対しても緊張を覚え、緊張で体がガチガチになってしまう人もいます。

どこにいても孤立してしまう

自分以外の人はみな仲がよいように見え、入りこめない。溶け込もうとしても浮いてしまう。どこにいても孤立してしまう…。

そんな思いから、やがて人との接触そのものに強い苦痛を感じるようになります。

他人の反応にひどく敏感

他の人の言葉や表情を深読みしては落ち込み、人との接触がますます怖くなります。

コミュニケーションの取り方が分からない

会社の同僚やクラスメイトなどと、何を話せばいいのか、どんなふうに声をかければいいのか、話かけられたときにどう返答すればいいのかなど、あれこれ悩みます。

身体症状

不安や恐怖といった感情は、さまざまな身体症状を引き起こします。

人間にとっては正常な反応ですが、その度合いが強くなると苦痛の種になってしまいます。

そして、その身体症状が出てしまうとますます緊張を高めるという悪循環に陥ります。

そのため、緊張を感じる場面への苦手意識が、さらに強まってしまいます。

よく起こる身体症状

  • 赤面
  • 吐き気
  • 口の渇き
  • 震え
  • 息苦しさ
  • 顔のこわばり
  • 発汗
  • めまい

 
次回は、「社会不安障害」をかかえる人の経過、発症する傾向、原因などを解説します。

 

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