通院すべき? ~HSP、些細なことに過敏②~

複雑に考えてしまう、神経が過敏・・・通院すべき?

色々と考えこんでしまう、よく考えてから行動する。

他人の気持ちに敏感で、振り回されやすい。

視覚、聴覚、色々な感覚が過敏で、疲れやすい。

・・・これらの特徴を持っている人を、最近ではHSP(Highly Sensitive Person)と呼びます。

生まれつき人より神経過敏で、敏感に察知しやすい性格を持っていて、疲れやすい、といった人が増えています。

しかし、HSPは病気ではなく、医学的な診断基準でもありません。

HSPだからといって、通院や治療が必要で、ケアしなくてはいけない、というわけではないのです。

ただ本人たちが生き辛いのは事実。

今回は2つのパターンにわけて、生きづらさの解消のための方法を考えてみましょう。

まずはHSPの定義を確認!

・複雑に考えてしまう。考え方が複雑なため、よく考えてから行動する。

・あらゆる刺激に敏感なため、疲れやすい。

・他人の気持ちに共感しやすい。振り回されやすい。

・視覚や嗅覚など、あらゆる感覚が鋭い。

これら4つ全てにあてはまるとき、HSPだと定義されます。

3項目ではHSPであるとはいえません。

よく悩みがちな人や不安になりがちな人は、こういった「すべてあてはまったら」などの重要な点を読み飛ばし、

「3項目当てはまってしまったから、もしかしたら」と勝手に不安になってしまいます。

ネットなどではとくによくあることですが、断片的な情報だけ拾い食いしていては正しい知識になりませんし、自分で勝手に不安の可能性を広げてしまうだけです。

心理や医療に関する知識に関しては、過敏になってしまうからかそういった曲解をしてしまう人が多くいます。

「落ち込みがちだからうつ」「いくつか当てはまるから発達障害」と、部分的にだけ得た知識で判断しないことが大切です。

① 全てに当てはまる。HSPだったら

4項目すべてにあてはまったら、HSPであるといえるでしょう。

ネットでもできる詳細な傾向診断があるので、試してみるとよいでしょう。

ただ、HSPというのは心理学的概念であり、医療的なものではないため、通院や治療が必要だというものではなく、

むしろ「こういう特性があったから行きづらかったんだ」と安心するための概念です。

HSPは統計では人口の2割程度いるとされ、B型の人と同じくらいいるわけです。

HSPだから疲れやすく、自分と同じように生きづらいと感じている人はたくさんいて、

そして病気だというわけでもないのです。

もし4項目全てに当てはまっても、他人より神経過敏で、敏感な性格だという傾向があるだけの人なのです。

もし生活の上で支障が出ているなら

とはいっても、その過敏さゆえ、人前に出ることが出来ない、電車など乗り物に乗れない、潔癖症だ、などといった社会生活上の支障が出ていることもあります。

著しい苦痛や支障があれば、それは疾患と診断されるでしょう。

しかし先程も述べたようにHSPは病気ではなく、性格の傾向です。

視線をあわせられない、公共の場所が怖い、などHSPの特徴が苦痛であれば通院すべきといえますが、それはHSPとしてではなく、強迫性障害や不安障害、気分障害などの診断基準のある疾患名となるでしょう。

HSPと付き合っていくなら

最近は芸能人・著名人、とくにアーティストなどでHSPを公言している人が増えてきました。

感覚が過敏なのは、言い方を変えれば、些細な変化も感じ取れるすばらしい能力ですから、タレント性につながってきます。

HSPの特徴は字のままでは短所にしか見えませんが、長所でもあるため、生かしていくのも自分次第です。

自分の過ごしやすいように場所を整え、作業をしやすくしてみたり、

日差しや雑音をさけるためにサングラスやヘッドホンそしてみたり、

苦手なところは素直に頼り、得意な分野を伸ばすために努力をするよう切り替えてみたり。

他人と違うからと短所のままで考えるのではなく、自分の得意を活かせるように考え行動してみると、HSPの生きづらさも、自分の人生を豊かにしてくれるものになるでしょう。

② 3項目すべてに当てはまるわけではない、でも困っている。そんなあなたへ


HSPは診断基準ではないため、いくつか当てはまったから病気、または全て当てはまったから病気というわけではありません。

こういった基準というのは、1項目減るだけで2割も該当者が増えます。

4項目当てはまるHSPの人が人口の2割だとしたら、3項目当てはまる人は人口の4割、2項目だけ当てはまる人は6割を超えます。

いくつか当てはまったからといって、病気だ、検査だ、といった心配をする必要はありません。

HSPの定義は「4項目すべてに該当すること」ですから、

もし生きづらさ、周りとの違いで苦しんでいても、その原因はHSPではないといえるでしょう。

その苦しさはHSPのせいだからではなく、べつの部分に原因があるとも考えられます。

HSPではないけど困っているなら

HSPに該当する人向けの対処方法の箇所でお話したとおり、神経の過敏さや疲れやすさで息苦しさを感じている人には、

その過敏さを生かしていく、という方法もあります。

また、HSPにあてはまらなくても、他人の視線が極端に怖いとか、神経過敏のため乗り物で移動できない、感覚過敏のため公共の場に出られない、といった社会的・生活上の支障や苦痛があれば、

それは通院すべきといえます。

HSPは医療概念ではないのでHSPでの通院とはなりませんが、その支障や苦痛があって生きていくことが大変に困難なのであれば、取り除くか、治療をしていく必要があるでしょう。

精神科の医師であれば、それが発達障害なのか、不安障害なのか、強迫性障害なのか、話を聞いてきちんと診断してくれます。

HSPでなくても、こういった苦痛で困っている人はたくさんいます。

過敏だ、疲弊しやすい、といった困難を抱えているのであれば、ぜひ医師に相談することをおすすめします。