自閉症スペクトラム(ASD)ってどんな病気?-⑦

前回の「自閉症スペクトラム(ASD)」の人たちをいかに支えるか?はこちら

支援の第一歩は、子どもの状態を理解すること。

その子にどんな特徴があり、この先どんな人生を歩んでいきそうなのか、見通しを立てます。

支援① 医師、支援者に発達の見通しを聞く

「自閉症スペクトラム」の子どもが、各種の工夫により、直面している問題が解決すると、保護者は「このまま工夫を続ければASDが治るのではないか」と思ってしまうことがあります。

しかし、ASDの子には、やはり難しいこともあります。

誤った見通しや期待をもってしまうと、本人も周りも苦しみます。

医師や各種機関の支援者に相談し、正しい見通しや将来を見すえた上で、目の前の問題に対応していきます。

見通しがないと焦る

見通しを持たず、目の前の問題にとらわれていると、それが解決できなくなった時、焦りがつのります。

焦って子どもに無理な課題を与えてしまうことに繋がる場合もあります。

目の前の問題にとらわれる
いつも目の前の問題解決を求めている。うまくいくこともあるが、ASDの特徴があり、難しいこともある

解決できず焦る
問題が解決できなくなると焦り、子どもにより一層の努力を求めてしまう。目の前の問題から意識が離れない

長期的な見通しを持つ

子どもの発達について、長期的な見通しをもちます。

ASDの特性があり、それが生涯続くことを理解した上で、今必要な支援を考えていきます。

保護者だけで考えるのは難しいため、医療機関などに相談しましょう。

理解
自閉症スペクトラムの一般的な特性、我が子の個性、今後の発達の見通し、現在の問題点などを、専門医の説明・意見を聞いて理解します。
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支援を始める
見通しにもとづいて、専門家と共に支援の計画を立てて実践する。家庭で指示の仕方を変えてみるなど

結果を評価する
支援を実践してみて、子どもの状態がどう変わったのか、専門家に評価してもらう。その結果を次に生かす

次の計画を立てる
専門家と共に結果を検証し、次の支援計画を立てる。相談の中で見通しを修正することもある

支援② 生活習慣、環境を調整し暮らしやすくする

「自閉症スペクトラム」の子は、他の多くの子とは異なる発達スタイルをもっているいため、平均的な環境では苦しんだり、ストレスを感じたりします。

その「平均的な環境」を、彼ら特有の発達スタイルに合わせて日常生活を調整していくことが支援になります。

話し方を変えたり、生活環境を見直したりして、子どもがストレスを感じにくい暮らしをつくっていきます。

すぐにできることを試す

いろいろな方法を参考にしながら、役に立ちそうなことを、できる範囲で試してみます。

試しながら調整したり、他の方法に切り替えたりして、柔軟に対応していきます。

指示を視覚的に伝える
ASDの子は、話を聞くより文字や絵など視覚的な情報を見る方が理解が早い。視覚的な伝え方を心掛けてみる
  子どもの言い分を聞く
何事も子どもの考えや感想を聞きながら進める。行動の裏にどんな思いがあるか、丁寧に聞き取る
  保護者が言行一致させる
分かりやすい言い方をしても、実践がともなわなければ子どもは混乱する。言ったことには例外を作らない
提案して答えを聞く
一方的な指示や命令ではなく、提案する。valign=”top” の答えを聞き意見を合わせて互いに納得できる結論を出す
  具体的にひとつずつ話す
抽象的な言葉は理解しにくい。数字や固有名詞を使って具体的に話す。ものごとは一度に一つずつ伝える
  肯定的な言葉や表現を使う
「ダメ」「やめなさい」などの否定的な言い方では、子どもが対策を見いだせない。「いいね」「こうしよう」など肯定的な言い方で指示を出す

次回は、「療育法を用いた支援」「学校・職場・地域での支援」を詳しくみていきます。

 

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