自閉症スペクトラム(ASD)ってどんな病気?-⑪

前回の「自閉症スペクトラム」の子(幼少期)の支援のポイント、詳細はこちら

年代別の支援のポイント

幼少期と思春期以降では、子どもができることは変わってきます。

支援の仕方も少しずつ変えていきましょう。

思春期の支援のポイント①

本人主体でチャレンジさせる

「自閉症スペクトラム」の子は、小学校高学年から中学生ごろに思春期を迎えるとされています。

この頃になると、少しずつ周りに意識が向きはじめ、自分に出来ること、保護者が支えてくれていることが分かってきます。

また、自主的な活動への意欲が出てきます。

まだ失敗することもありますが、本人主体の活動を増やしていき、支援を続けましょう。

思春期は、本人が「支援つきでの試行錯誤」を繰り返すことで成長していきます。

×よくない対応…子離れできない
子どもが思春期を迎えて、自主的に動けるようになってきたのに、保護者が対応を変えられない、という例がよく見られます。「子どもの考えを聞かず保護者が常に試行錯誤している」「保護者が手を貸しすぎる」、「保護者が行動を指示しすぎる」など、保護者側がなかなか子離れできないのです。
○よい対応…助けを求められるまで待つ
子どもが自分に出来ること、やりたがることが増えてきたら、今度は子どもの提案に保護者が応じて合意をつくっていきます。合意したら子どもにある程度、作業をまかせて、助けを求められるまでは待つようにします。

思春期の支援のポイント②

進路選びは「やや楽な道」を選ぶのがベスト

進路選びも、基本的には保護者が本人の試行錯誤を支援します。

「自閉症スペクトラム」の子には、様々な特性があり、理解や支援が不足すれば、苦手なことが目立ち、失敗が増えます。

そのような事態を防ぐために、「やや楽な道」を選ぶことが有効です。

×よくない対応…目標を高めに設定する
進路選ぶの時、保護者が子ども本人の能力より高めに目標を設定するのは良くありません。本人が頑張ってもうまくいかず、失敗することが増えると、自尊感情が低下することがあります。
○よい対応…やや楽な道を選ぶ
進路選択の時は。まず子ども本人の希望を聞きます。保護者は本人が試行錯誤しながら進路を考えることに付き合います。本人が迷った時は、やや楽な進路をすすめると良いでしょう。
保護者も情報を集める
「自閉症スペクトラム」の子は、興味の幅が狭く、進路選択が苦手な傾向があります。保護者も情報を集めて子どもに伝えると良いでしょう。
活動しやすい道へ
情報が集まったら、まず本人に考えさせます。本人が迷っていたら、活動しやすい道を提案します。学校選びであれば、家族が3校ほどに絞りこみ、一緒に見学した上で、本人にどこがよいか考えるよう促しましょう。

成人期の支援のポイント

成人期は、思春期から引き続き、本人が支援つきの試行錯誤をしていきます。

思春期と成人期では、学校から会社へと本人の生活環境が変化します。

仕事を始める時も、子ども本人に合った環境選びがより重要になってきます。

会社では様々なことが要求されます。

得意なことが生かせたり、苦手なことで無理しなくて済むように、会社選びは慎重に行いましょう。

思春期くらいから準備を始めたいものです。

×よくない対応…合わない会社へ
自分の得意不得意に合わない会社に入り、会社側の要求に合わせようとしすぎて、無理をしてしまう人がいます。そのため失敗し、叱責されて傷つき、ストレスによって二次的な問題が生じます。
○よい対応…学校との違いを理解する
学生は学校を利用する人。会社員は会社で働く人。所属するという点では同じですが、求められることは違います。思春期くらいから会社で求められることを意識して、自分の能力が生かせる仕事を探していきましょう。
準備を始める
学校選び以上に、相性のよい会社選びが重要になります。思春期くらいから準備を始めましょう。
支援者を探す
社内にも保険スタッフなど支援してくれる人がいるが、社外にも支援者がいると安心です。支援機関に問い合わせてみましょう。

 

ケース紹介

一般就労で対人関係に苦労した
知的能力が高い人が、大学を卒業して一般企業に就職した例では、入社後にコミュニケーション面のトラブルが起こり、働き続けられなくなった例がありました。
生活面は支店を受けて安定していても、仕事となると別の負担がかかります。職場で支援が受けられれば良いのですが、それがなかなか難しい会社もあります。

 

NPO法人ネスト・ジャパン
発達障害の人と家族を対象に、仲間づくりや余暇活動の支援、個別相談、学習会などを行っている支援団体。参加すると子どもと家族にとって活動拠点となり、信頼できる相談相手や友達ができたりします。


 

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