ADHD(注意欠陥/多動性障害)ってどんな病気?-①

最近、「ADHD」という言葉をよく耳にしませんか?

切れやすい子どもが問題となる中で、テレビなどで報道され「ADHD」という言葉を知った人も多いのではないでしょうか。

そのため、「落ち着きがない」ことを理由に受診する子どもが年々増えています。

「ADHD」とは

「ADHD」は、

ttention-ificit(注意欠陥)
yperactivity(多動性)
isorder(障害)

の略です。

具体的には、3つの特徴があります。

不注意
・忘れ物が多く、物をすぐなくしてしまう。
・細かいことに集中力が働かない。
・集中力がとぎれがちで、課題を順にこなすことができない。
・好きなことには熱中できる。
多動性
・静かにしていなければならない時に、体を動かし、ひとりでしゃべりだす。
・制止を振り切って走り回る。
・退屈なことに耐えられず、じっとしているのが苦手。
・落ち着きがなく、せっかちで先走りがち。
衝動性
・よく考えず行動しているように見える。
・新しいものを目にするとすぐ手を出す。
・順番待ちができない。
・思い立ったらすぐ行動したくなる。
・相手の話を最後まで聞くのが苦手。

「ADHD」は、脳の機能不全により起こる「発達障害」のひとつです。

発達障害
なんらかの原因により、子どもが年齢相当の身体・精神の発達ができない状態。
心身の障害が一生持続し、生活に支障をきたします。
周囲からサポートを受ける必要があります。

「ADHD」は親の愛情不足や環境が原因で起こる心の病ではありません。

また、症状のあらわれ方は人によって異なり、不注意が強かったり、多動性が強いなど、さまざまです。

「ADHD」理解度チェック

授業中に歩き回る、落ち着いて授業を受けられない子どもは、心の病気なのでしょうか?

まずは、「ADHD」を理解しましょう。

次の質問に〇か×で答えてください。

落ち着きのなさの原因は、親のしつけのせい? 〇 or ×
「ADHD」は病院に行けば治る? 〇 or ×
勉強が苦手なのも「ADHD」のせい? 〇 or ×
落ち着いているのに「ADHD」の子もいる? 〇 or ×
多動の子は、生まれた時から動き回る? 〇 or ×
薬を飲めば、症状が改善する? 〇 or ×
叱る時は、大声で言う? 〇 or ×
兄弟ケンカを避けるため、部屋は別々にする? 〇 or ×
授業中に騒がないように、席は先生の前がよい? 〇 or ×
みんなと一緒に遊べないのは、性格が悪いから? 〇 or ×
「ADHD」の子は、話し方も落ち着きがない? 〇 or ×
「ADHD」は、大人になっても治らない? 〇 or ×

回答と解説

× 「原因は脳の機能不全で、親のしつけのせいではありません。
× 病院でもらった薬を飲むだけでは治りません。家庭や学校などの生活習慣を変えることも大切。
× 「ADHD」が原因とは言い切れません。学習障害などの合併症が考えられ、2つの障害が重なっていることも考えられます。
「ADHD」の症状のあらわれ方は、さまざまなタイプがあり、中には注意力がないものの、走り回ったり騒いだりしない子どももいます。
人によって違いますが、1歳頃から元気よく動き回ります。はいはいであちこち行ってしまい、目が離せない子が多くいます。
中枢神経刺激薬「コンサータ」を服用すると、落ち着きのなさや不注意が改善します。薬を服用しながら習慣を少しずつ変えることが治療になります。
× 大声で怒鳴ったり、厳しくしかるのは×。落ち着いた声で言い聞かせるようにしましょう。
× 後ろの席に座ると友達が常に見えるため、興味をひかれて落ち着きがなくなります。前の席に座り、注意力の低下を防ぎます。
後ろの席に座ると友達が常に見えるため、興味をひかれて落ち着きがなくなります。前の席に座り、注意力の低下を防ぎます。
× 性格の問題ではありません。人とコミュニケーションをとることが苦手で、集団生活に不安や恐れを持っていることがほとんどです。
「ADHD」の症状には、走り回ったり暴れたりする他、話題が飛んだり、自分勝手に話したりする言葉のトラブルがあります。
× 「ADHD」の経過は決して悪くありません。適切な治療を受ければ、徐々に症状も軽くなり、進学・就職もできます。

次回、「ADHD」の子どもは、すぐに病院に相談した方がよいのでしょうか?
まずは「知る」、「話す」、そして「変える」ことから取りかかりましょう。