ADHD(注意欠陥/多動性障害)ってどんな病気?-②
子どもに落ち着きがなかったり、衝動的な行動で困っている場合、すぐ病院に行った方がよいのでしょうか?
まずは、一呼吸して冷静に子どもの状態を把握することからはじめましょう。
「ADHD」を知る
我が子の落ち着きのなさや衝動的行動で困っている場合、基本的には医師に相談したほうがよいでしょう。
しかし、この障害は一刻を争うものではありません。
まず、子どもが直面しているトラブルを把握し、接し方や環境を変えてみるのも一つの手段です。
「ADHD」の症状は、治療を受けなくても、接し方や環境を変えただけで、自然に症状が消えたという例もあります。
ただし、動き回るの行動止まらない、幼稚園や学校でトラブルが続く場合は、周囲が対応を変えることを第一に考えます。
それでも、半年以上に渡ってトラブルが続くようであれば、医師の診察を受けることも考えます。
受診して、「ADHD」であるかどうか診断をはっきりさせ、障害を認識することは、子どもがすこやかに成長していくためのサポート体制を整える第一歩になります。
「ADHD」であることを話す
「ADHD」の子どもの多くは、周囲から「わがままな子」と非難されたり、叱られることによって、劣等感を抱きがちです。
診断名を本人に告知するかどうかは、子どもの年齢や理解力、性格などを考慮して判断します。
自分が苦しんでいた理由が分かり、ホッとする子もいれば、落ち込んでしまう子もいるためです。
「ADHD」の子どもは、幼稚園や学校から誤解されがちです。
集団行動も苦手なため、問題児扱いされたり、仲間外れになることも少なくありません。
保育士、教師、友達の保護者などにも「ADHD」であることを理解してもらい、協力関係を築くことが大切です。
「ADHD」に対する考え方を変える
「ADHD」は、保護者がきつく叱ったり、厳しくしつけたりしてもよくなりません。
むしろ、叱られ続ければ、子どもは自信を失い、心によくない影響があります。
つい、叱りたくなった時は、考え方を変えてみましょう。
「落ち着きのなさ」は「エネルギッシュで元気」
「衝動的な性格」は「反応がはやい」
などと考えてみれば、違った一面が見えてきます。
「ADHD」の子に限らず、子育ての基本は「ほめて育てる」です。
良い面は認めてのばし、悪い面は克服できるように勇気づけてあげましょう。
「ADHD」の子どもの習慣を変える
症状の重さは、人間関係や生活環境から影響を受けています。
「ADHD」の子どもにとって良くない生活習慣とは、過保護な環境や視覚以外の情報がない環境での生活です。
長時間、テレビの前で過ごし、人と話したり、遊んだりすることがなく、身の回りのことも保護者がやってしまうような生活は改善しましょう。
反対に、体をよく動かし、人と会話し、五感をみがくような生活は、脳機能の成熟を促します。
例えば、違う動きを同時に行うような協調運動が上手になった子は、注意力が上がり、感情をコントロールできるようになる場合があります。
自分でできることを増やしていく
発達障害とは、子どもの発達に関する障害です。
すこやかに成長できる環境を整えれば、障害は少しずつ軽減していきます。
子どもが自信をつけられるような環境をつくっていきましょう。
増やすこと | 減らすこと |
会話 | テレビを見すぎる |
文字を読む | パソコンを使いすぎる |
家事を手伝う | 世話のやきすぎ |
運動時間 | 危険な道具、家具 |
友達付き合い など | 注意をひくもの など |
友達との遊びはどうする…?
「ADHD」の子どもは、友達と遊ぶ時に騒いでしまい、周囲から煙たがられがちです。
だからといって、人と接する機会を避け、ひとりで遊ばせるのはよくありません。
友だちと交流できるよう、サポートしていきましょう。
最初や嫌がるかもしれませんが、将来のために必要なことなのです。
「ADHD」が虐待にむすびつく?
「ADHD」の子どもは、静かにしなければならない状況で走りまわったり、騒いだりしてしまいます。
親が障害のことを知らないと、子どものふるまいはききわけのない姿に見えるかもしれません。
そのような誤解がつのると、対応に困り、子どもを過度に叱ったり傷つけてしまう可能性があり、幼児虐待の一因となっています。
また、何度いっても同じトラブルが続くと、しつけや愛し方に親が自信を失い、愛情不足に陥ります。
さらに、普通に話しても聞かない場合、大声で叱ったり、手を出してしまう事に繋がります。
それは絶対に避けてください。
発達障害を正しく理解し、子どもの苦しみに気づけるようになりましょう。
次回、「気づいてあげたい、子どもの悩みのサイン」を詳しくみていきます。