ADHD(注意欠陥/多動性障害)ってどんな病気?-③

前回の「ADHD」を「知る」「話す」「変える」の詳細はこちら

子どもの頃、授業中に走り回ったり、自分勝手に行動して、まわりに迷惑をかけたりしていませんでしたか?

当時、そうだったとしても、その時のあなたは悪気があってやっていたのではありません。

子どもの頃を振り返り、どう対処していればよかったのか、見ていきましょう。

サイン①  授業中じっとしていられない

「ADHD」の症状として、最も知られているのは「落ち着きのなさ」です。

「落ち着きのなさ」は、いつもあらわれているわけではなく、新しい場所や不慣れな場所、刺激の多い場所などで起こりやすいのが特徴です。

特に授業中は、行動を制限されるため、小学校に入ったばかりの時は、最もトラブルが目立つと言えます。

サイン……おとなしく座っていられない
子どものうちは誰でも落ち着きや忍耐力がなかったりするものですが、そうした活発な行動がいつもあり、ずっと続くようであれば、当時から「ADHD」の傾向があったのかもしれません。
チェックリスト
・授業中に立ち歩く
・自分勝手に話し出す
・座る姿勢が悪い
・座りながら手足を動かす
・他の子にちょっかいを出す
・順番を待てない
原因……多動性、衝動性が強い
「落ち着きのなさ」の背景には、多動性や衝動性の強さがあります。自分の行動をコントロールするのが苦手で、注意されてもなかなか改善できず、当時のあなたも悩んでいたはず。
対応……ほめることで、子どもの忍耐力を引き出す
多動を抑えるひとつの方法が、タイミングよくほめること。本当にいけないことは注意すべきですが、普段と比べて少しでもよくできたら、ほめるようにします。

サイン② とても苦手な教科があった

「ADHD」の子どもの中には、小学校中学年くらいになって、成績の悪さが目立ってくる場合があります。

原因はいくつかありますが、「LD(学習障害)」を合併している場合があります。

サイン……得意と苦手の差が激しい
得意・苦手教科はあって当たり前ですが、心配なのは極端に苦手な教科があり、それが目立ったり、急に苦手になる教科が出てきたりする場合です。
チェックリスト
・国語、算数など一部の教科が苦手
・長い文章をうまく書けない
・興味のない問題に答えない
・文字を正しく読めないことが多い
・忘れ物が多い、宿題を忘れる
・先生の話をノートにとれない
原因……不注意と学習障害が関係する
学習面の心配がある場合、学習障害(LD)の可能性が考えられます。「ADHD」と合併することが多い障害です。
対応……図や色を使って基礎から教える
学習障害や注意力に問題があっても、図や色を使って工夫すれば、読み書きや計算も少しずつ身につきます。

サイン③ みんなと一緒に遊べなかった

「ADHD」の子どもの中には、好きな事、興味のある事に夢中になりすぎて、周囲の子どもと一緒に遊べない事があります。

また、衝動を抑える事が苦手なため、友達のおもちゃを取り上げる、乱暴な行動をとるなどのトラブルも絶えません。

サイン……集団行動ができない
社交的な子、シャイな子、性格は人それぞれ。大勢と仲良くするのが苦手なのは仕方ありませんが、あまりにも動き回りすぎて仲良くできない場合は対応が必要になります。
チェックリスト
・大勢の中で浮いてしまう
・一人で動き回る
・友達に乱暴することがある
原因……発達障害に心理的障害が重なる
「ADHD」の症状のある子どもは、我慢ができず衝動的な行動をとってしまうため、周囲から敬遠されがち。そのようなもともとの症状に失敗経験が重なると、だんだん人付き合いが苦手になってしまいます。
対応……不安、疎外感を取り除く
集団行動できないのは、動き回るのが悪いことだと分からず、どこを直せばいいのか理解できないから。それが続くと不安や疎外感を招きます。親御さんは、「大丈夫」と言って安心させたり、周囲の子や家族に説明して理解を得る必要があります。その中で、友達との付き合い方を覚えていきましょう。


次回、「子どものころの悩みのサイン」。
「ケガが絶えない」「言葉の意味を理解できない」「叱られると暴れる」
を、詳しく見ていきます。

 

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