ADHD(注意欠陥/多動性障害)ってどんな病気?-④

前回の「子どものころの悩みのサイン」。「じっとしていられない」「苦手な教科がある」「みんなと一緒に遊べない」の詳細はこちら

あなたは子どもの頃、授業中に走り回ったり、自分勝手に行動して、まわりに迷惑をかけて叱られていませんでしたか?

当時、そうだったとしても、その時のあなたは悪気があってやっていたのではありません。

子どもの頃を振り返り、どう対処していればよかったのか、見ていきましょう。

サイン④  家や外でケガが絶えなかった

「ADHD」のある子どもは、制止を聞かずに衝動的に行きたいところへ行ってしまう傾向があります。

また、動きがぎこちなく、よく転んだり、遊具から転落することも珍しくありません。

サイン……注意力がなく、怪我をしやすい
「ADHD」の子は、走り回ったり暴れたりして、自分の体を危険にさらしてしまいます。
チェックリスト
・争いごとがあると手が出る
・危険をかえりみず、あちこち歩き回る
・運動中の怪我が多い
・平らな道でもよく転ぶ
原因……行動をコントロールできていない
「ADHD」の子どもは、自制するのが苦手。行動範囲は広く、注意力に欠けるため、怪我をしやすい行動パターンになりがちです。また、運動が苦手なことも多く、それも怪我の一因になります。
対応……無理に制限せず、少しずつ教えていく
走り回って危険なのは心配ですが、家に閉じこもっておけば安全かというと、そうとも限りません。最初は危険でも、体験して覚えていけば、自分の身を守るすべになります。経験を積んで何が危険で、何が安全なのか。少しずつ覚えていきます。

サイン② 言葉の意味をうまく理解できない

「ADHD」の子どもが抱える言葉の問題は、年齢によって少しずつ異なります。

幼児期は、行動だけでなく言葉にも突飛さが目立ち、脈略もなく話題がコロコロ変わったり、自分の言いたい事だけ話すため、会話ができません。

小学生に入ると、普通に会話しますが、何かについて説明を求めると、道筋を立てて伝える事ができず、まとまりのない話し方をします。

年長になると、話すことに苦手意識や自信のなさから、急に口数が少なくなる子がいます。

サイン……話が飛び、うまく説明できない
「ADHD」の子は、よくしゃべるけれど話がうまく通じないのが特徴です。コミュニケーション全てができないわけではなく、人の話を理解はできても、おしゃべりしたい欲求も持つため、サインに気づかないことがあります。
チェックリスト
・話題がとびとびになる
・自分だけ話して、人の話を聞かない
・時々、吃音がある
・細かい説明ができない
・気持ちを表現できず、誤解される
・小学校に入ってから無口になった
原因……コミュニケーション障害が自信喪失を招く
「ADHD」の合併症として、言語能力に問題が出る事があります。自分の気持ちを伝える事ができず、それゆえ誤解を招いて孤立してしまいます。対話する自信がなくなったり、周囲に不満をぶつけてしまって問題児のレッテルを貼られてしまうなど、人間関係の悩みにも繋がります。友達ができず、学校に行く事自体、悩んでしまいます。
対応……話しやすい環境をつくる
親御さんは、周囲と衝突しはじめた時点で、子どもの不満を受け止めてあげましょう。話し方を変えれば誤解がとけることを説明します。一方的な話をせずに、ゆっくり、少しずつ話すことを教えます。

サイン⑥ 叱られると暴れて嫌がる

「反抗的」「キレやすい」と言われ、問題児扱いされている場合、性格の問題でははく、「ADHD」の影響が考えられます。

友達のからかいや、いじめの対象になることもあり、こうした状況の中で、子ども自身が孤立し、「なぜ自分はこうなってしまうのか」と、苦しむようになります。

人によっては、「反抗挑戦性障害」を引き起こす可能性もあります。

サイン……カッとしやすく、反抗的に見える
先生や友達に対してキレやすい子どもは、手が付けられない問題児と考えられ、周りから距離をおかれてしまいます。先生も対応に困りますが、あなた自身も苦しんでいます。
チェックリスト
・すぐに暴れてしまう
・考えるより先に行動する
・かんしゃくもちと思われている
・周りと違う事をやりたがる
・叱られると反発する
原因……発達障害に心理的障害が重なる
「ADHD」の症状のひとつに、衝動性の強さがありますが、さらに合併症として、反抗的な心理が加わることがあります。大人の注意に従わず、反論したり拒否したりして周囲には問題児と思われる行動を起こしてしまいます。
【反抗挑戦性障害】
「ADHD」の合併症で、過半数に見られるという報告もある。際未満で10歳未満で大人に対して反発する。挑戦的、反抗的な態度はとるが、反社会的な行動はしない。
対応……感情的にならず、落ち着いて叱る
もっともよくないのは、保護者や教師が感情的になって対応すること。お互いに反発しあっていても、問題は解決しません。親御さんがとるべき対応として、子どもの態度は問題にせず、話を聞くのはよいこと、叫んで反抗するのは悪いこと、と論理的に説明する必要があります。力づくで従わせようとすると、かえって反発を招くことに。


次回、『「ADHD」を正しく理解する』を、詳しくみていきます。

 

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