認知行動療法講座「問題を明確化する」
認知行動療法講座
前回は、ストレスが溜まっていることに気づくための、「落ち込み」「不安」「怒り」による変化について考えました。
今回は、認知行動療法を用いて問題の解決を行う前段階として、問題を明確化する方法について話していきます。
問題を明確化する
これから、認知行動療法を使って問題を解決するための方法を学んで行きます。
ですがその前に、「そもそも何が問題となっているのか」をはっきりさせておく必要があります。
ストレスが溜まって苦しいときには、”なぜ苦しくなっているか”ということに考えが向かなくなってしまいがちです。
この”なぜ”とは、犯人は誰であるか、といったことを問うものではありません。
自分や他人を責めたり、過去にさかのぼって原因を探したりしても、それは今現在起こっている問題の解決には役に立たないのです。
明確にしておきたいのは、「何に困っているのか」「どうなれば解決なのか」ということです。
この2点がハッキリしていなければ、問題の解決方法も当然わかりません。
なお、問題は1つではなく、複数あることがほとんどだと思います。
そんなとき、1度にいくつもの問題を解決しようとして、身動きが取れなくなってしまうのも良くあるパターンです。
問題の解決のため、動くのはあくまで「自分自身」。
無理しようとせず、優先度を決めて1つ1つ問題を解決していきましょう。
問題リストと解決目標
まずは、今自分が気になっていることや、問題だと感じていることをリストアップしてみましょう。
それぞれの問題が重要かどうかや解決の可能性などは考慮せず、思いつくままに書き出してみてください。
問題の書き出しが終ったら、それらの問題を比較して、解決する優先度を決めていきます。
その際は、以下の基準で考えてみてください。
1.自分にとって重要
問題の解決のために行動するのは自分自身であるため、例え周囲から解決を勧められていたとしても、自分の気が乗らないのなら、後回しにした方が良い場合もあります。
解決のモチベーションを持てるものから解決していきましょう。
2.解決可能である
そもそも、自分の力で解決が不可能な問題であることもあります。
例えば、「渋滞にはまって身動きが取れない」のが悩みであるならば、その問題そのものを解決する手段はありません。
他の問題に目を向けるようにしましょう。
3.具体性がある
「なんとなくうまくいかない」ことを解決することはできません。
問題の解決には具体的な方法が必要となり、具体的な方法を見つけるためには、問題そのものが具体化されている必要があります。
4.将来に繋がる
その問題の解決によって、状況は改善しますか?
あるいは、他の問題の解決の助けになるでしょうか。
解決しても、状況に変わりがないと見込まれるのであれば、優先度は落としたほうが良いかもしれません。