認知行動療法講座「自動思考の根拠と反証を探す」

認知行動療法講座

前回まで、いくつかのサンプルを用いて、自動思考をチェックする練習をやってきました。

今回は、コラム法の続ぎとして、第4のコラム「根拠」と第5のコラム「反証」を紹介します。

自動思考の根拠と反証を探す

3つのコラムで自動思考を見つけ、そこに含まれる認知の歪みを見つけたら、続いて第4のコラムと第5のコラムに進んでいきます。

この2つのコラムでは、自動思考を裏付ける事実と、矛盾する事実を見つけることで、思い込みの含まれない、客観的な事実に基づいた考えを探していきます。

第4のコラム:”根拠”

第4のコラムには、自動思考を裏付ける事実を書き出します。

ここで重要なポイントは、書き出せるのは「事実のみ」であるという点です。

相手の心の中を読むような、勝手な推測や事実な解釈は避けるようにしてください。

例えば、「友人にメールを送ったが返ってこない」という場面で、嫌われたのではないかと不安になっているとします。

この場面において、「メールをしたが、返事が来ていない」ことは根拠として挙げられる事実です。

また、嫌われたのではないかと思ってしまう原因として、「たまに話しかけても、手短な返事しか返ってこない」なんてものがあるとすれば、それについても挙げておいて良いでしょう。

しかし、「この友人に嫌われている」とか、「あえて返事をせず無視しているのだ」と感じたとしても、これらは自分がそう推測しているだけであるため、根拠に挙げることはできません。

第5のコラム:”反証”

第5のコラムには、自動思考と矛盾する事実を探して書き出します。

根拠とは反対に、自分が推測しているだけである部分に注目し、その推測と矛盾する出来事がなかったか、探してみましょう。

反証を考えるときのコツとして、以下のような方法があります。

・自分でなく、友人が同じような考え方をしていたら、あなたはどのように助言をするでしょうか。
・あなたがそのように考えているのをあなたの親しい人が知ったら、その人はどのように言ってくれるでしょうか。
・5年後、10年後に同じ体験をしたとすれば、どのように考えるでしょうか。
・これまでの体験の中で、今の状況と近いものはなかったでしょうか。 その時に起きたことやわかったことで、今に結び付けられることはないでしょうか。

また、前回までのプログラムで探していた認知の歪みも、反証を見つけるために役立てることができます。

①白黒思考・・・何を基準に決めているか、良いか悪いかの2通りしかないのか
②極端な一般化・・・今回だけ、あるいは数回の失敗ではないか、以前に違う結果だったことはないか
③心のフィルター・・・上手くいかなかったことだけに注目していないか、良かったことはないか
④マイナス化思考・・・良かったことを素直に受け取れているか、自分で悪い表現に言い換えていないか
⑤結論の飛躍/心の読みすぎ・・・その人の発言、行動の持つ意味を決めつけていないか、事実と言い切れるか
⑤結論の飛躍/先読みの誤り・・・未来のことを悪く予測していないか、未来を決める根拠はあるか
⑥過大評価・過小評価・・・自分に厳しすぎないか、成功、失敗をありのままに受け止めているか
⑦情緒的な理由付け・・・感情や気持ちを、物事を決める証拠にしていないか。
⑧べき思考・・・自分のルールを絶対のものにしてしまっていないか、その通りにならないとどうなるのか。
⑨レッテル貼り・・・自分で作ったレッテルで捉えていないか。本当にいつもそのレッテルの通りか
⑩自己関連付け・・・自分は上手くいかなかったことにどう関わっているのか、自分以外は関わっていないのか

 

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