知っておきたい「蚊」のヒミツ

 

アメリカで、蚊からジカ熱のウイルスが発見されたというニュースがありました。

幸いまだ日本での被害が出たわけではありませんが、

今日はジカウイルスとその媒介元となる蚊についての説明をしたいと思います

 

ジカウイルス感染症とは

 

ジカウイルス感染症とは、ジカウイルスに感染することによって発症する病気です。

 

ヤブカ属のヒトスジシマカやネッタイシマカなどによってウイルスが媒介されて感染します。

日本にはネッタイシマカは生息していませんが、

ヒトスジシマカは秋田県・岩手県以南では生息が確認されています。

このほか、性行為を通じて感染した事例も報告されています。

 

ジカウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は2日から12日ほど。

感染者のうちおよそ8割の人には、ほとんど症状が現れません。

残り2割の人に軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉や関節の痛み、だるさ、頭痛等が出ることがあります。

 

ジカウイルス感染症には、現在のところ有効な治療薬はありませんが、

通常は比較的症状が軽く、特別な治療を必要としません。

ほとんどの場合、発症して2日から7日程度で回復します。

 

このように、ジカウイルス感染症の症状自体はデング熱と比較して軽度のことが多いのですが、

ジカウイルス感染症が流行している地域で、

「小頭症」や「ギラン・バレー症候群」などの患者が増加しており、

ジカウイルス感染症との関連が明らかにされています。

 

 

ジカウイルスを媒介している「蚊」

みなさんは、この虫についてどれくらい知っていますか?

 

身近だけど意外と知らない蚊のヒミツ

 

蚊のエネルギー源は糖分で、普段は花の蜜などを吸って生活しています。

メスだけが産卵のための栄養源として吸血し、

人が出す炭酸ガスや皮膚のニオイ・温度を感知することで吸血源を探し求めます。

 

蚊はその種類により吸血する時間が異なり、

アカイエカは夕方から夜にかけて、

ヒトスジシマカ(通称:ヤブ蚊)は昼から夕方にかけて吸血します

 

また、ビルの浄化槽で発生して、オフィスで吸血するのがチカイエカです。

地下鉄などで見かける蚊もこのチカイエカで、年中発生します。

アカイエカチカイエカは酷似しているので、見分けることは困難です。

 

蚊の生態

 

アカイエカヒトスジシマカ(ヤブ蚊)は一般的に見られる蚊です。

蚊は水のあるところに卵を産み付けますが、

蚊の種類によって、好む場所は異なり、

・水のきれいなところを好むもの
・汚いところを好むもの
・広い場所を好むもの
・空き缶や空き瓶などのわずかなたまり水を好むもの

など実に多様なんです。

 

そのため、幼虫(ボウフラ)の生息場所も、

池や下水溝、浄化槽、水田、古タイヤ、墓地の花立、空き缶など様々です。

 

 

中でもヒトスジシマカは、空き缶に溜まったような少量の水で増殖できます。

また、アカイエカは、気温25~30度だとわずか10日ほどで卵から成虫になるので、

条件が揃えば爆発的に増えることがあります。

 

蚊の害

 

蚊が媒介する感染症として日本では日本脳炎が知られています。

ペットの病気としてはフィラリア、海外ではマラリアデング熱ウエストナイル熱などがあります。

 

日本脳炎は豚を宿主としてコガタアカイエカが媒介する感染症で、

豚を隔離しコガタアカイエカを駆除することで沈静化し、

最近では患者数は年間数名程度になりました。

 

デング熱は、2014年8月に約60年ぶりに国内での感染が

確認されたのが記憶に新しいのではないでしょうか。

その後、相次いで日本各地で発症する人が現れ、

立ち入り禁止区域の拡大、イベント中止といった社会問題となりました

 

 

蚊に刺されるとかゆみや発疹ができるのはなぜ?

 

蚊は皮膚にとまって血を吸う時、皮膚に唾液を注入します。

この唾液には、刺された人や動物が痛みを感じないようにする麻酔作用や、

血を固まりにくくする作用などを持つ成分など、様々なものが含まれています。

 

血を吸い取ると、ハリを抜いて去っていきますが、

体内に残った唾液に体がアレルギー反応を起こし、腫れやかゆみが出てきます。

蚊が血を吸わなくても、だ液を入れられればかゆくなるので、

1匹で何カ所も入れられて、かゆくなる事もあります。

 

蚊に刺された時に発生するかゆみや腫れの正体は、

蚊の唾液によって起こるアレルギー性の皮膚炎なのです。

 

また、この蚊の唾液に対するアレルギー反応には以下の2種類があります。

 

1.    即時型アレルギー反応
蚊に刺された直後(約15分以内)に起きるかゆみや赤み、発疹です。

2.    遅延型反応
蚊に刺されてから1日~2日後に起きるかゆみや赤み、発疹です。

 

・遅延型アレルギーのみ
上述の通り、刺された1~2日後にかゆみや発疹が出ます。
主に赤ちゃん(乳児)から子供(幼児)に多い反応です。

・即時型+遅延型アレルギー
さらに刺される回数が増えると、即時型の反応がまず出て、
その後に遅延型のアレルギー反応が出るようになります。小学生頃の年代に多い症状です。

・即時型アレルギーのみ
上述の通り、刺された直後にだけかゆくなるようになります。
主に青年期以降は即時型アレルギーになる人が多いと言われています。

・無反応:蚊に刺され続けて年を取ると、
シニア世代となる頃には刺されても何の反応も出なくなります。

 

赤ちゃんや子供は、強い遅延型反応を起こすことが多く、

また体温が高いことから蚊に刺されやすいため、注意が必要です。

 

また、ヘルペスウイルスの仲間である「EBウィルス」に感染していると、

蚊アレルギーが重篤化し、全身に蕁麻疹が出たり、発熱などの重い症状を引き起こすことがあります。

単に蚊に刺されただけなのに異様に大きく腫れあがるような場合は、一度検査を受けてみましょう。

 

蚊に刺された時の正しい対処法

 

蚊をはじめ、虫刺されの市販薬には、

・ステロイド剤が配合されているもの(炎症を抑えるもの)

・抗ヒスタミン剤主体のもの(かゆみを抑えるもの)

の2種類があります。

 

蚊の即時型アレルギーのみが出る場合は、抗ヒスタミン剤主体のものが適しています。

遅延型反応の虫さされでは、ステロイド外用剤を使って炎症を抑えることをおすすめします。

市販薬は同じ銘柄であっても、

抗ヒスタミン剤主体なのか、ステロイドが配合されているのか、

またステロイドの場合はその強さも確認する必要があります。

 

蚊に刺される人と刺されない人がいる?

 

不思議なことに、同じ場所に居ていても蚊に刺される人と刺されない人が居ます。

実は蚊に刺されやすい人には特徴があり、同じ部屋にいても被害を受ける率は違ってくるのだそうです。

「蚊に刺されやすい」「外にいると絶対に蚊に刺されてしまう」という人は、

知らぬ間に蚊が近寄ってきてしまうNG行動をとっているのかもしれません

蚊は、二酸化炭素や、熱(動物の体温)、乳酸の匂い、

そして視覚的な刺激などを用いてターゲット(エサ)の認識します。

 

蚊に好かれちゃう人の特徴

 

1.暗い色の服を着ている人

蚊は、暗い色に集まる習性があります。特に『黒』に集まりやすいことが実験で証明されています。
また、日に焼けて肌の色が黒い人も蚊に刺されやすくなります。

2.お酒をよく飲む人

お酒を飲むと、アルコールの分解により二酸化炭素量は増え、蚊に刺されやすくなります。
350mlのビール(アルコール度数5.5%)を飲む前と、飲んだ後で比較してみると、
ビールを飲んだ後、蚊がかなり寄ってくるという実験結果が得られたそうです。

3.汗っかきの人

蚊は汗に反応するが、特に汗の中に含まれる乳酸の香りに反応する
汗に含まれる成分にも反応するので、もともと汗っかきの人は蚊を寄せ付けやすいといえます。

4.体温が高い人

蚊は温かいものに寄ってくる性質があるので、体温が高い人は刺されやすくなります。

5.肌の露出が多い人

当たり前ですが、屋外で過ごすときに「暑いから」「開放的な気持ちになるから」
といって肌の露出が多くなると、それだけ蚊に狙われる部分が増えます。

6.ストレスを抱えていない人

蚊は人間がストレスを感じたときに出す物質を嫌います。
反対に、ストレスがなく代謝が良い人は、蚊に刺されやすくなります。
「蚊に刺されにくくなった」という人は、知らぬ間にストレスを抱えているのかもしれません。

 

蚊に嫌われるテクニック

 

(1)市販の虫よけスプレーや虫よけリングをつけたり、蚊取り線香をたく
(2)蚊が嫌がるレモンの香りのアロマスプレーを体にふきつける
(3)汗はこまめに拭き取る
(4)パーカーなどの羽織ものを着用して、肌の露出を減らす
(5)蚊が繁殖する水まわりには近寄らない
(6)蚊は二酸化炭素を目印に近寄ってくるので、炭酸水を近くに置いておとりにする

 

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