第四回メンタルヘルス講座 -うつと依存症-
目次
依存症の基礎知識
・自分の行っている行為が自分や周囲にとって有害な影響があるとわかっていても、
その行為を自分の意思で止めることができない。
・依存症は「症」と呼ばれているとおりの病気。
何かにはまっている人自身の意思の弱さ、人格の問題、道徳的意識の低さが原因ではない。
したがって、周囲の説教では回復できない。
・完治のない病気だが、はまっている有害な行為を辞め続けることで回復できる。
・回復の切り札は、依存症当事者たちが集まる自助に参加を続けること。
・「否認」の病気。
・「進行性」の病気。
・家族・周囲の適切な関わりは、当事者の回復に有効。
家族が依存症家族の自助グループに継続参加するのは非常に有効。
ちょっとだけ自助グループ体験
基本のルールは2つだけ、
「言いっぱなし、聞きっぱなし」と、「他の参加者の個人情報、アノニミティー保護」
少し体験をしてみました。
特にコメントなどをすることもなく、「言いっぱなし、聞きっぱなし」ですが、
これが効果があるんです。
自助グループはなぜ効果があるのか?
・最も共感性の高い人、それも複数の人たちに話しを聞いてもらえる。
・依存対象に向かう時間やエネルギーを、代わりに自助グループ参加に充てるようにすることで、依存対象から離れやすくする。
しかし、1,2回参加しただけでは、効果はでません。毎日参加が理想です。
徹底的にやりましょう。
また、依存対象から離れたあとも、なぜ自分がその依存対象を
必要としたかなど、回復の12ステップを通して、自分の生き方の修正を続けられます。
回復の12ステップ
・あなたはセルフイメージによって生きている
・人間の尊厳さに気づく
・不安・恐れ・怒り・悪習慣をやめられない自分を認める
・ありのままの私ですばらしい
・私の生きている目的
・今、受けている愛に感謝する
・愛と希望の言葉を身につける
・才能を生かす
・身近な人を愛するために
・感謝することで人生が変わる
・自分を赦す、責めている人を赦す
・新しい自分、理想に向かってのライフデザイン
依存症の背景にあるもの~うつ・トラウマ・てんかん遺伝子~
依存対象にはまってしまう・・・
というのは、その依存対象で一時的に生きづらさから逃れようとするため。
では、その生きづらさとはなんでしょうか?
→うつ状態・イライラ・精神不安定:
何らかの原因でうつ状態に陥っている場合、一時的に何かに依存することでそこから逃れようとします。
しかし、その依存対象から離れれば、また同じ生きづらさ、
そしてかえって大きな生きづらさに襲われていくようになります。
そして、ますます依存対象に深くはまっていくという悪循環を起こしてしまいます。
→トラウマ:
虐待、DV、いじめ、ハラスメント被害、事故などの経験があると、
後遺症として様々な生きづらさや孤独感を抱えてしまい、
その苦しさから逃れようとして依存症になることが多くあります。
→てんかん遺伝子:
てんかんとは、簡単に言うと脳内で起こる電気発射です。
ストレスがかかることで、てんかん遺遺伝子のスイッチが入ると、
発作で倒れるようなことは起こさなくても、脳内の電気発射によって不快感や
頭の中が真っ白になるような感じを意識・無意識に抱きます。
その不快感を打消そうと、様々な依存対象にはまっていくのではないか考えられています。
→嫌な気分・不快な行為にも依存する:
例えば、リストカットや暴力加害のような苦痛や不快感を伴うと思われるような行為であっても、
それが快感に変わってしまう。
依存行為を避けるには?
・依存のスイッチが入ったことを、自分ではっきり意識しましょう。
・大きな離脱が予想される場合は、すぐに依存症専門病院に一時的にでも入院したほうがいいです。
深刻な離脱症状には適切な医療対応をしないと生命の危険があります。
依存症からの回復には、家族・周囲の適切な対応が重要
依存症は否認の病です。家族や周囲より先に、本人が自覚して回復の取り組みを始めることは稀です。
そのため、説教などは逆効果になります。まずは、家族が自助グループに継続参加したり、
専門カウンセリングを受け続けましょう。
依存症本人を変えようとしても変わりません。
まず、自分がかわることで、相手の変化が自然に起きるのを待ちましょう。
また、本人に話しをするときに有効なのは、「もうお酒はやめて!」「○○して!」ではなく、
「私はお酒を飲んでいるあなたとは一緒に暮らしたくない。
そういうあなたを見ているのは、私はつらい。」
という話し方をするようにしましょう。
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