ストレスと免疫細胞 脳への傷やガンまでも・・・
前回までの内容はコチラ
リス太:前回、精神と身体の健康は繋がっているって話をしたのを覚えているかな?
K君:複数のストレスが重なった状態が続くと、血液の流れなどに悪影響が出るんだよね?
リス太:ストレスの恐ろしさはそれだけじゃないんだ。今日は、免疫細胞とストレスの関係を見て行くよ。
ガン細胞を攻撃するはずの免疫細胞 しかし・・・
リス太:K君、日本人の死亡原因第一位の病気は何だか知ってる?
K君:ええと、ガンだよね?
リス太:うん。実は、働き過ぎなどで強いストレスを受け続けていた人にガンが見つかることが多くあるんだ。
K君:ええっ!?ストレスとガンにどんな関係があるの?
リス太:ガンとストレスの関係で注目されているのは、ATF3遺伝子と呼ばれるものなんだ。
これは、ガン細胞を攻撃して増殖を食い止める動きを持っている免疫細胞の中にあるんだけど、普段はスイッチがオフの状態になっているんだよ。
ところが、ストレスホルモンが増えるとこのATF3遺伝子を刺激して、スイッチをオンにしてしまうんだ。
K君:オンになるとどうなるの?
リス太:それが、ATF3遺伝子のスイッチが入ると、免疫細胞はガン細胞を攻撃するのをやめてしまうんだ!
ストレスホルモンが減れば、またスイッチがオフになってガン細胞への攻撃が始まるんだけど・・・
K君:ストレスが次々に重なっていくから、ガン細胞がどんどん増殖して行ってしまうんだね。
リス太:さらに、ATF3遺伝子はガン細胞を攻撃しないどころか転移を促してしまうということも、実験によってわかっているんだよ!
K君:それじゃあ、ATF3遺伝子がオンになっているとどんどんガンは悪化してしまうんだね・・・。
リス太:うん。ガンの予防にもストレスコントロールは欠かせないんだ。
K君:何か対策法はないのかな・・・。
リス太:薬の力で自律神経を正常化して、ストレスホルモンの働きを抑制する研究も行われているけれど、日ごろからストレスを溜めないのが一番だよ。
ストレスは免疫システムの異変を引き起こす!
>K君:えーと、リンパ節や血管でも作られるけど、骨髄が大事って聞いたことがあるような・・・。
リス太:その通り。そして、骨髄には自律神経が伸びているから、ストレスの影響を直に受けてしまうんだ。
慢性的なストレスを受けると、骨髄が活性化して免疫細胞をどんどん送り出してしまうんだ。
K君:免疫細胞が増えるのは、良いことじゃないの?
リス太:ところが、ネズミの実験では免疫細胞が脳の中に侵入すると炎症を引き起こしてしまうことがわかっているんだ。
K君:ええっ!それじゃあ、身体に悪影響が出てしまうんだね。
リス太:まだ明確な関係が証明されているわけではないんだけど、脳が傷つくことでうつ病を発症したり、炎症の促進が糖尿病などの生活習慣病の悪化に関係しているかもしれないと言われているよ。