リス太と学ぶ認知行動療法 ~思考と感情の関係性~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

さあ、「気分は考え方次第」ということについて、詳しく考えていこうか!
僕は、「仕事でミスをしたこと」がいやな気持ちが浮かぶ原因だと考えていたわけだけど、これを「考え方次第」であるとすると、どんな考え方が原因になるのかな?
そうだね、例えば「自分はダメな人間だ。自分にはどこか悪いところがあるに違いない」なんて考えなかったかな?
あるいは、「人生は不公平だ。どうして自分にばかりこんなことが起きるんだ」なんていう風に考えたかもしれないね。
うっ・・・確かに、そんな感じのことを考えたかも
このような場合に、怒りや欲求不満などの否定的な思考が浮かぶのはとても自然なことだよ。
でも、ここで他の考え方ができるようになれば、浮かんでくる「気持ち」も別のものに変化していくんだよ。

 

考え方が違えば感じ方も違う!

もう一つ、簡単な例を出してみようか。
K君が仕事がとても忙しい時期にインフルエンザにかかったとするよ。そうしたら、どんなふうに考えるかな?
うぅーん、そうだなあ。
「どうしてこんなに忙しいときに限って、こんなことが起きるんだろう?世の中は不公平だ!」みたいな感じに考えるかも
ふむふむ。じゃあ、そこで浮かぶ考え方が、こんなものだったらどうかな?
「今まで働き過ぎだったんだ。おかげでベッドの中でゆっくりと本を読んだり、数日間気ままに過ごすための言い訳ができた。インフルエンザに罹ったからと言って、世界が終わるわけでもない」
そんな考え方、思いつきもしなかったよ!
うーん、でも、確かに、そんな風に考えられたら、不満や怒りをぶつけるよりも、救われたような気分になるかも・・・。
これが、考え方の違いだよ!
まったく同じ状況になったとして、それに対してどんな気持ちが沸いてくるかは、その状況に対して自分が何を考えたかによって決まるんだ。
そっか。だから、他の人との関係や状況の変化そのものが気分を変えているわけではない、っていう風に言えるんだね。

思考と感情

下の表は、様々な感情に対して、その感情を引き起こすと考えられる出来事と、それに対する考え方をまとめたものだよ。
思考と感情がどのように関係しているのか知っていこう!

 

感情 できごと 思考
悲しさ、憂うつ 喪失を伴うできごと:失恋、愛する人の死、仕事上、金銭上の問題、健康問題 「あるものを失ったり、特定の人を失ったら幸せになれない」「自分は人より劣り、愛されることのない存在である」
罪悪感、恥辱感 誰かの感情を傷つけてしまった。自分自身で立てた基準を満たせていないと感じている。 「私の責任だ。あんなことをすべきではなかった」「自分には問題があり、それを見られないようにしなければいけない」
欲求不満 予期したとおりにうまく行かない:電車が遅れている、ダイエットの効果がない、約束を破られた 「物事は自分の期待通りに進むものだ」
怒り 不公平に扱われた。拒絶された。利用された 「相手が身勝手で理不尽だ」「自分は無実の被害者であり、もっと正当に扱われるべきだ」
不安、心配、恐怖、パニック 健康、業績、他人からどう見られているかが気になる。合理性のない恐れ。高所や細菌などへの恐怖心 「危険が迫っており、何か悪いことが起きる」「このようなとき、自分は対処できないかもしれない」
寂しさ 友達が少ない。大切な誰かと別れた。大勢の人に囲まれても心を開いて溶け込むことができない。 「他人からの十分な愛情や注意がなければ自分は幸せになれない」「自分には何か欠陥があり、他人とは違う」
絶望感、落胆 うつや不安などの感情的問題。対人関係問題。職業や新たな技能獲得の行き詰まり。 「物事はうまく行かないだろう」「自分の問題は一生解決しない」

 
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