リス太と学ぶ認知行動療法 ~実験技法~
前回は否定的思考のメリット・デメリット分析をやったけど、覚えているかな?
感情と同じように、否定的思考が浮かんだ時にその思考のメリットとデメリットを考えることで、デメリットが大きい否定的思考を変えていくのに役立つんだったよね。
よしよし。それじゃあ今日は、15の方法の中で紹介した、「実験技法」についてやってみようか。
実験技法
実験技法・・・って、確か、否定的思考が現実的なものかどうかを考える実験をするんだよね?
お、よく覚えていたね! その通り。実験技法の使い方を、例を出して説明していこう。
お願いします!
さあ、Aさんの否定的思考の正確さを、実験技法によって評価してみよう!
実験を行ってデータを収集し、思考の妥当性を調べるんだから・・・
どんな実験を行うかを考えないといけないね。
どんな実験を行うかを考えないといけないね。
それじゃあまず、Aさんが持っている否定的思考はどんなものかな?
ええと、「周囲の人はみんな楽し気に雑談していて、自分もそうしないといけないのにできない」っていう感じかな?
そうしたら、その思考が正確かどうかを調べるための実験を考えよう。
どうすれば調べられるかな?
どうすれば調べられるかな?
Aさんは、いつもうつむいているから、「周囲の人はみんな楽し気に雑談している」っていうのは実際に見ているわけではないんだよね?
それなら、飲食店で買い物する時、周囲を見渡して、どれくらいの人が想像通り会話を楽しんでいるのか、他の人はどんなふうにしているのかを調査してみる、っていうのはどうだろう?
それなら、飲食店で買い物する時、周囲を見渡して、どれくらいの人が想像通り会話を楽しんでいるのか、他の人はどんなふうにしているのかを調査してみる、っていうのはどうだろう?
素晴らしい! それで大丈夫だよ。
周囲を見渡したAさんは、互いに言葉を交わしている人がほとんどいないことに驚くだろうね。
彼が考えているのとは違って、実際にはAさんと同じように周囲をぼんやりと眺めていたり、スマートフォンを見ている人も多いだろうし、レジではただ代金を払って店を後にしているだろう。
周囲を見渡したAさんは、互いに言葉を交わしている人がほとんどいないことに驚くだろうね。
彼が考えているのとは違って、実際にはAさんと同じように周囲をぼんやりと眺めていたり、スマートフォンを見ている人も多いだろうし、レジではただ代金を払って店を後にしているだろう。
そうしたら、実験によって、元々持っていた否定的思考が正しいものとは言えないということが証明できるわけだね!
よーし、それじゃあこの調子で、もう一つ例を出してみよう!
Bさんの否定的思考は・・・「もし裁判で負けたら、同僚の信頼を失って、人生が台無しになってしまう」っていうところかな。
うん。そうしたら、どんな方法で実験ができるかな?
うーん・・・これはもう、同僚に失敗を知られたらどうなるのか、試してみるしかないんじゃないかな。
なるほど。それはきっと、すごく難しくて、勇気がいることだろうね。
でも、K君の言うとおりだ。この場合の実験技法は、失敗を同僚に知られたら本当に信頼を失うのか、すべて台無しになってしまうのかを試してみることに意味があるんだよ。
でも、K君の言うとおりだ。この場合の実験技法は、失敗を同僚に知られたら本当に信頼を失うのか、すべて台無しになってしまうのかを試してみることに意味があるんだよ。
それじゃあ実験内容は、同僚たちに自分が敗訴した案件のことを話してみる、って感じかな?
そうだね。実際のところ、彼が敗訴したことを気に掛ける同僚は全然いないはずだよ。むしろ、Bさんに失敗があったという話を聞いて、気が楽になって自分の失敗した案件の話をする人や、あるいはもっと別の問題について話し始める人もいるかもしれないね。
そうか。失敗や欠点を話すことは、信頼を失うどころか、親近感からより親しくなることにも繋がるんだね。
そうなれば、この実験は大成功と言えるだろう。実験によって彼の否定的思考は大きく変化するはずだよ。