リス太と学ぶ認知行動療法 ~垂直矢印技法~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

前回は自虐的思い込みについてやったけど、覚えているかな?
価値観の一部となって常にある、マイナスの気分変化と人間関係において衝突が起こった時などに障害となってしまうような考え方、だったよね。
その通り。今回は、そんな自虐的思い込みを特定する2つの方法について考えてみるよ。
そんな方法があるんだね!
まず1つ目が、「垂直矢印技法」だよ!

 

垂直矢印技法

垂直矢印技法・・・確か、思考の歪みを取り除く15の方法にも入っていたね。
垂直矢印技法のやり方は、自分が否定的思考を浮かべた時に、「もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?私にとってそれはどんな意味があるのだろう?」と問いかける、というものだよ。
ふむふむ。それがどうして垂直矢印なの?
この技法では、否定的思考を書き出して、その下に垂直に矢印を引くんだ。
この矢印は常に、「もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?私にとってそれはどんな意味があるのだろう?」という問いかけを意味するものだと考えて。
ということは、その矢印の下には、その問いかけへの答えを書くんだね?
その通り! そして、その答えの下にまた垂直の矢印を引くんだ。
なるほど。矢印を連続して引くことで、否定的思考の大本の原因を探っていくんだね!
ちょっと試しに練習してみようか。
K君は、ある大学の学生だったとするよ。
学生ね。わかったよ。
講義を受けている最中に、K君はふいに考えてしまった。
「もし教授に質問されたら、答えられないかもしれない」
ああ、これは不安になるね。もしかしたら、パニックになってしまうかも。
さて、それじゃあここで、この否定的思考を書き出して、その下に垂直に矢印を引こう。
矢印の意味は、「もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?私にとってそれはどんな意味があるのだろう?」でいいんだよね。
そうそう。矢印の下にはなんて書くかな?
そうだなあ・・・「他の生徒の前で、笑いものになるかもしれない」
いいね。それじゃあまたその下に垂直の矢印を引いて・・・というように、自問と思考記入の過程を繰り返していくんだ。
やってみるよ!

 

1.もし教授に質問されたら、答えられないかもしれない。
もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?
私にとってそれはどんな意味があるのだろう?
2.他の生徒の前で、笑いものになるかもしれない。
もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?
私にとってそれはどんな意味があるのだろう?
3.それは僕が間抜けであることの証明だ。
もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?
私にとってそれはどんな意味があるのだろう?
4.そうなれば、誰も僕に好意を持ってくれない
もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?
私にとってそれはどんな意味があるのだろう?
5.そうなれば、誰も僕を相手にしてくれないので、僕はひとりぼっちになる。
もしそれが真実なら、なぜ僕は動揺するのだろう?
僕にとってそれはどんな意味があるのだろう?
6.それは、僕が失敗者ということを意味する。
もしそれが真実なら、なぜ私は動揺するのだろう?
私にとってそれはどんな意味があるのだろう?
7.そうなれば、僕は無価値な人間で、人生は生きるに値しないだろう。

 

そこでストップ! どうかな?見えてきたんじゃない? 自虐的思い込みが!
えっ、本当?
一般的な自虐的思い込みのリストと見比べてみて!
どれどれ・・・
自己認識の完全主義、失敗への恐怖、孤独への恐怖、拒絶への恐怖などが見えてこないかな?
あっ!本当だ!
こんなふうにして、自虐的思い込みを探していくのが垂直矢印技法だよ。
僕以外の人がやったら、まったく別の答えになりそうだね。
うん、もちろんそれで構わないよ。人がそれぞれ持っている違った考え方を引き出していくのがこの技法だからね!

 

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