リス太と学ぶ認知行動療法 ~自虐的思い込みの修正方法~

前回までの「リス太と学ぶ認知行動療法」はこちらから

さあ、それじゃあ今日は、自虐的思い込みの修正方法についてやっていこう!
最初は何からするのかな?
自虐的思い込みを修正する最初のステップは、メリット・デメリット分析だよ!
自虐的思い込みによるメリットとデメリットを比べてみるんだね!
その通り!さっそくやってみよう!

 

自虐的思い込みのメリット・デメリット分析

メリット・デメリット分析を実践してみるにあたって、一つ例を出してみようか。
「人間関係の問題の多くで、その原因を作ったのは私ではなく他人だ」
この自動思考のメリットとデメリットを考えるんだね。やってみるよ!

 

これを信じることのメリット これを信じることのデメリット
1.僕は罪の意識を感じる必要がない。 1.僕が他人を責めたら、その人はすぐに私を責め返すだろう。
2.僕は変わる必要がない。 2.問題は解決されないだろう。
3.僕は自分だけが正しいと考えていられる。 3.僕には友人よりも敵のほうが多くなる。
4.僕は自分が正しく、相手が悪いと考えていられる。 4.僕は途方に暮れてしまうだろう。
5.僕は犠牲になったと感じ、相手を恨むことができる。 5.僕は不機嫌で、ひねくれた、不幸せな人間になるだろう。
6.僕は自分を不憫に思うことができる。 6.僕は他人に親近感を持てなくなるだろう。
7.僕は自分に力強さを感じることができる。 7.僕は、成長することも、学ぶこともなくなるだろう。
8.僕は他人への恨みを晴らすことができる。 8.僕は自分の行動を点検し、問題の原因となる行動を突き止めようとはしなくなるだろう。
9.僕は譲歩する必要がなく、弱さを見せる必要がない。 9.僕はかたくなで、断定的になるだろう。
10.僕は怒りを抱えて、敵意を抱くことができる。 10.僕はみんなを遠ざけてしまうだろう。
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ふむふむ。メリットをデメリットが上回ったんだね。
うん。そうしたら、この思い込みは変えたほうがいいってことだよね。
そうだね。デメリットの点数のほうが大きければ、この思い込みをより現実的で有用な新しい思い込みと取り換えてみよう。
それはどのようにすればいいの?
自虐的思い込みを修正する時は、デメリットは排除して、メリットはできるだけ残したような新しい考え方を探すんだ。
新しい考え方・・・。
例えば、「価値ある人間であるためには、みんなが一人残らず僕を認める必要がある」という自虐的思い込みを修正するとしよう。
ふむふむ。
考えられる修正例としては、「人々が僕を気に入って、認めてくれることは望ましいことだ。しかし、価値ある人間であるために、みんなに認めてもらうことは必要ではない」といった感じかな?
なるほど!確かに、メリットになりそうなところは残したままで、考え方を変えているんだね。
さらに、「もし、誰かと意見が合わないことがあれば、話し合って解決すればいい。彼らの批判には何らかの真実があるし、学ぶべき点もあって、それによって僕は新しい知識を得ることができる」なんて付け加えるのもいいね。
客観的で現実的な考えになるように考えていけばいいんだね。
ほとんどの自虐的思い込みには、「極端な一般化」「白黒思考」「べき思考」などの認知の歪みが含まれているんだ。
ええと、「全員からの承認を受けていなければならない」「常に公平でいなければならない」・・・確かにその通りだ!
だから、「灰色の部分があると考える技法」「言葉を置き換える技法」「受け入れの逆説技法」等の技法を、自虐的思い込みの修正にも役立てることもできるよ!
まず思い込みを探して、メリット・デメリット分析をして、認知の歪みを取り除いていく・・・。
これまでやってきたのと同じ方法が有効なんだね!

 

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