利用者さんの卒業文です!

リスタートを今月で卒業となった利用者さんが、リスタートに通うと決めたきっかけからプログラムで行ったことなどを、文章にまとめていただけました!

ブログで掲載する許可がいただけましたので、就労移行支援事業所ではどんなことをするのか、リスタートとはどんな場所なのか、参考にしてください!

卒業文

初めに

就労移行支援事業所リスタートに通い始めて2年が経ち、無事就職が決まりました。
就職後、新たなスタートを切るために、卒業前のこのタイミングで、約2年間の通所を振り返ることにしました。

振り返ることで、自分を改めて見つめ直して、今後に生かしていきます。

リスタート通所に至るまで

現在30代前半ですが、7年程会社務めをした後、体調不良で退職したのが2年前。
大学4年生の時から睡眠障害や不安障害を患っており、体調がなかなか安定しない中、20代は何とか就職した会社の中で踏ん張ってきました。

しかし、20代後半から責任や業務の負担が増していき、自分の中で今後頑張り続けていくことに以前から限界を感じていました。
結局、ストレスを自分で管理できずに爆発してしまい、朝起きれなくなり、会社に行けなくなってしまいました。

休職期間には、「自分は今まで何をやっていたのか」など、後ろ向きなことが頭をかけ巡りました。

そんな中、Twitter上で就労移行支援事業所リスタートの広告を見つけました。Web上の相談欄に、藁にもすがる想いで現状の気持ちを書き込みました。

そうすると、翌日に支援員さんと直接会い悩みを聞いて頂いて、今後の選択肢を提示してくれたり、アドバイスを頂きました。
その頃は、病院や身内にも、相談する環境が整っていなかったので、親身に相談にのって頂いたことで前を向くことができました。

「体調や精神の安定」を図ること。
また、今後の職業人生を充実させることを目的として、自分を見つめ直すことを決めました。
そして、就労移行支援事業所リスタートに通うことにしました。

通い始め

リスタートに通い始めて1か月~3か月の頃を振り返ります。

まず、休職から退職の期間が数か月に及んでいたので、生活リズムがほぼ昼夜逆転の状態です。
まず、ここを乗り越えることが本当に大変でした。やっと1週間通所できるようになったのが1か月経ったころです。
それでも来れない日があったり通所できたり、を繰り返していました。

朝10時からの通所がほぼ安定したのも、3か月から半年くらい経ってからだと思います。

しかし、一人暮らしであったこともあり、「金銭面での不安や将来について」、「病気が今後治るのか」など、
一人になった時に、不安が次から次へと襲ってくる状態が続きます。

会社を辞めてから数か月、この時期が一番苦しかったように思います。吹っ切れているようで結局思い出す。その繰り返しは、本当に大変でした。

最初の数か月はそういった不安や、通所をし始めて周りの環境に慣れるのに、精一杯といった状態でした。

通院について

病院については、会社に入って1年目から通っていた病院に引き続き通院している状態でした。
しかし、長年通っているのに症状が改善しないし、深刻な不眠も治りませんでした。

リスタートのスタッフさんに通所して3か月頃に病院のことを相談しました。
相談員の方にもアドバイスを頂き、病院を色々と調べて頂きました。
「一度違う病院で診てもらっては?」と言葉を頂いたので、紹介して頂いた病院へ転院することを決めました。

前の病院では、2,3分質問に回答してすぐに薬を出す、と言った事務的な診察のみでした。
新しい病院では、主治医の他に専門のカウンセラーもつき、ケアが行き届いていました。
主治医に言いにくいことも、病院常駐のカウンセラーに伝えることで、間に入ってくれたので、以前より円滑なコミュニケーションを図れるようになったのです。
カウンセリングも、認知行動療法のコラム法やストレスの対処法を丁寧に教えて下さって、症状改善につながりました。
特に、「コラム法」というストレス時に、紙にストレス反応や対処法、考え方の反証を、カウンセリングの度に繰り返し行うことが役に立ちました。

課題としてコラム法を毎回行うことで、実際にストレスがあった時に、あった出来事からストレス反応、反証などを行います。
「この人はそこまでは考えて言っていないな(気にし過ぎ)」「あの人だったらこうやってアドバイスをくれるだろう」などを紙に書くことで、一定の客観性が身についていきました。

就労移行支援事業所リスタートでの触れ合い

リスタートの中で、スタッフさんや他の利用者の方々からも多くのことを学びました。
 
利用者の方々には、年配の方や、自分より若い方、様々な厳しい環境に置かれている人たちと一緒にプログラムを受けたり、
お話をしていって、「自分だけが苦しい環境にいるわけではない」と理解して、勇気を頂きました。

時には、意見をぶつけ切磋琢磨し合ったり、互いに辛い時に声をかけ合ったり、多くの年代や経験を重ねている様々な人がいるからこそ、
頂けるお話もたくさん聞けて、貴重な時間となりました。

スタッフの方々には、生活面での指導を含め、多くの暖かなサポートを頂きました。
優しい言葉だけでなく、自分の悪いところも、時に厳しく指導を受けて、徐々に症状が改善していきました。

「傷つきやすいナイーブな点や切り替えがうまくできない点」、「承認欲求が強く、つい頑張り過ぎてしまう」といったことを指摘して頂きました。
「落ち込んでも、あらかじめ用意しておいたコーピング(ストレス対処法)で、気分転換すること」「問題が生じたら、抱えずに相談すること」を課題として、通所を続けました。

そして、ある程度「自分自身のストレス耐性を強くすることを(いちいち気にしない)、日常から意識すること」が大切だなと、感じて徐々に直していきました。

「全て気にしなくなる状態」、という無我の境地になったわけではありませんが、「以前より気にしなくなった」「だいたいどれくらいで自分はしんどいか」ということが理解できるようになったのは、毎日サポート・見守って頂くなどの支援があったからだと思います。

プログラムについて

リスタート内では、「新聞読解」「SST」「自己分析」「教養講座」など、多くのプログラムに参加させて頂きました。
ここでは、上記の主要なもののみ、振り返っていきます。

新聞読解

「新聞読解」は、毎日新聞記事が用意されていて、そのテーマについて自分の意見を発表してディスカッションをするという形式です。

元々時事問題が得意ではなかったので、最初は参加して発言をするハードルが高かったのですが、今では毎日何かしらの意見をまとめて言えるようになりました。

人前で0から自分の意見を考えて、発表するといったことは、なかなか経験できるものではないので、アウトプットの良い訓練になったのではないかと思います。

自己分析

「自己分析」は、自分の過去経験を幼少期から振り返って、
「嬉しかったこと」・「悲しかったこと」・「成功したこと」・「失敗したこと」など、あらゆる自分の経験を紙に書いて、言える範囲のことを発表します。

働いている時や、学生時代は忙しくて、自分の経験を長い時間をかけて振り返ることはありませんでした。
学生時代や会社員の時に、得意だったことや苦手なことを振り返ることで、自分の強みと弱みを再確認できました。

自分の場合、両親の教育が極端に厳しく、幼少期から「何でもチャレンジすること」をなかば、強制的に行ってきました。
最初は、そのことが、「承認欲求が強くなってしまう」原因だけのように感じていました。
しかし、よくよくプログラムで過去を振り返っていると、チャレンジを繰り返すことで、部
活や仕事を自分なりに工夫をしたり、周りと連携して何かを達成していく過程を、「苦しみながらも楽しんでいた」自分に気づくことにもなりました。

SST

「SST」(Social Skill Training)では、社会で必要となるコミュニケーションや礼儀などを広く学びました。

私の場合、会社務めの経験があったので、ある程度は理解しているつもりでしたが、
基本的な部分でも意外に理解していない部分があり、「こういう風に伝えるとうまく相手に伝わるのか」といった発見も多くありました。

また、特に私の中で経験として役に立ったのが、「SST」内で行われた「ピア・サポート」というプログラムでした。
「ピア・サポート」とは、プログラム内で、利用者が今抱えている悩みを発表し、その悩みを利用者間で、アドバイスをし合うというものです。

このプログラムを通して、「自分がいかに人に相談するのが苦手か」を理解しました。そして、「どうやったら相手に自分の悩みを上手に伝えられるか」を考えました。

参加者の間で、信頼関係のような絆が生まれたからこそできたものかもしれませんが、
他人から悩みを聞いて、自分が頼りにされたことがとても嬉しかったのを今でも覚えています。
それと同じように、自分の悩みもうまく伝えられたら、自分とも他人とも、上手に付き合っていけるなと強く感じました。

教養講座

「教養講座」という利用者が一般的な事柄や得意分野について、自分で調べて発表するというプレゼンの機会もありました。
「教養講座」だけではありませんが、リスタートでは、人前での発表や発言する機会が多くあります。
私は、在職中、一番苦手にしていたのが、プレゼンだったので、人前で発表することにとても抵抗感を感じていました。

しかし、この機会に自分もそういったものにチャレンジしてみようと思って、「教養講座」では合計2回50分の発表を行いました。
また、サポーター制度といって、一部のプログラムを利用者が担当して、他の利用者に自分が習得したり勉強したことを講義するという制度を使って、人前で話す訓練を何度も行いました。
  
その成果が少しずつ出ているのか、最近人前で話す緊張感も段々と薄れてきていると感じています。
もちろん、プレゼンの技術や相手に伝えることの難しさはまだまだ部分がありますが、確実に経験を重ねるごとに、自分の成長を実感しています。

資格の勉強を通して

リスタートでは、個別学習の時間が、毎日あるのですが、私はその時間を使って、下記3つの資格を取得しました。
「メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種」「行政書士」「社会保険労務士」

資格を取得することで、即就職や仕事に役立つというわけではないのですが、心理学や法律といった、
自分が昔から興味のある分野について時間を割いて勉強したことで、多くの学びを得ました。

「メンタルヘルスマネジメント検定」では、ストレスの理論や健康についての基本的知識(睡眠・生活リズムなど)、
職場内でのストレスの対処法を学び、今後にとても生かせていける内容でした。

「行政書士」と「社会保険労務士」を勉強しようと思ったのは、大学時代に法律を勉強して、
「他人の助けに力になれる法律家になりたい」「法律を知ることで社会の理解を深め強くなりたい」という想いを思い出したことがきっかけでした。

仕事に実際に就く前に、自分が人生で一番頑張ってきたことと言える受験勉強を再度して、原点に返りたいという考えもありました。

500~1,000時間くらいの勉強が必要な資格なので、体調管理・メンタル管理ともに求められます。その自己管理を、スタッフの方や、病院のカウンセラーと相談して、乗り越えていったことも大きな経験でした。その自信が、体調やメンタル面の安定につながっていき、就職を実際にすることを考えられるようになりました。

就職に至るまで

就職を考えるに当たり、自分がどういった分野で働こうかということに関しては、大きく悩んだところでもありました。
民間企業で、自分の経験を生かして再度働いていくのか、それとも違う業界に飛び込んでいくのか。

しかし、難しい資格に挑戦したのは、「同じような病気を悩む人の力になりたい」「会社など、社会からドロップアウトした人たちをサポートしたい」という想いがあったからでした。
そして、色々な方と話し合いを重ねて、自分は「人自身、また人と関わるのが好き」だなという原点に立ち戻りました。
幸いにもお誘いしてくれる福祉分野で働ける環境があったので、そこで働いてみようと思いました。

最後に

実際に働いていくことが決まって今思うことは、「これからだな」ということです。
自分が、体力面やメンタル面を100%改善できたとは思っていません。
今でも強いストレスで不安になることはあるし、体力が落ちてきた部分もあります。
特に、仕事をしながら、「周囲の方々と相談」しながら、業務の負担やストレスを軽減させていくことは、今でも自分の大きな課題です。
長く働くために、仕事をしてからが本番と気を引き締めていこうと思います。

働き始めてからの方が、大変なことも多いと思いますが、今後自分が前に進んでいくために、
また新たに様々なことに挑戦していくために、あえてこのように振り返ってみました。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。そして、ここまで支援をして頂いた方々に深く感謝しております。