選択理論の考え方で問題に対処してみよう! ②

就労移行支援事業所 リスタート のSSTの中で、「選択理論」という考え方を紹介しています。

前回に引き続き、選択理論の10の原理に基づいて、職場で起こり得る問題に対処する方法を紹介します!

選択理論の10の原理

(1)私たちがコントロールできる行動は唯一自分の行動だけである。
(2)私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて情報である。その情報をどう処理するかは、それぞれの選択である。
(3)長期に渡るすべての心理的問題は、人間関係の問題である。
(4)問題のある人間関係は、常に私たちの現在の生活の一部である。
(5)過去に起こった苦痛は私たちの現在に大きく関係しているが、この苦痛な過去に再び戻ることは、いま私たちがする必要のあること、すなわち現在の人間関係の改善には貢献できない。
(6)私たちは、遺伝子に組み込まれた欲求、すなわち生存、愛と所属、力、自由、そして楽しみ、これら5つの欲求によって駆り立てられている。
(7)私たちは、上質世界に入っているイメージ写真を満足させることによってのみ、こうした欲求を満たすことができる。
(8)私たちが誕生して死を迎えるまでにできることはすべて、行為、思考、感情、身体反応、これらのうちいずれかの行動である。
(9)すべての行動は、動詞、あるいは不定詞や動名詞によって表現され、最も認めやすい要素によって呼ばれる。
(10)すべての行動は選択されたものであるが、私たちが直接コントロールできるのは行為と思考だけである。

Case2:職場になじめない。

Kさんはある大手メーカーの子会社に今年入社しました。

希望通り経理課に配属されたのは良かったのですが、この会社が不況の煽りで何年か新卒採用をおこなっていなかったということを入社後に知りました。

そのため、同じ年代の社員が周囲におらず、最も歳が近い人でも10歳以上年上の女性という状況です。

そのような状況なので、職場の先輩たちにはすでに仲の良いグループが形成されてしまっており、Kさんはその中に上手く入れずいます。

周囲のグループは、みんなでお弁当を作ってきて昼休みも社内で食べていますが、Kさんは料理をしないので、ひとりファストフードなどですませることが多くなっています。

職場の先輩と話すのは仕事上必要な最低限のやりとりだけで、淡々と仕事をこなすだけの毎日に嫌気がさしてきたKさんは、なんとか職場にもっと馴染みたいと考えています。

もしもあなたがKさんだとしたら、選択理論の考え方を使ってどんな行動を起こせばよいでしょうか。

選択理論で対処してみよう!

問題を解決するための3つのポイントを見てみましょう。


①:満たされていない欲求を把握する
②:欲求が満たされていない原因を考える
③:「コントロールできること」「コントロールできないこと」を区分する

満たされていない欲求を把握する

職場でグループに入っていけないということで、満たされていない欲求は愛・所属の欲求であると予想できます。

愛・所属の欲求は、一人ではなく誰かと繋がっていたい、集団に属していたい、人を大切にしたい、人に大切にされたい・・・といった基本的欲求です。

欲求が満たされていない原因を考える

欲求が満たされない直接の原因は、グループに入っていけず、疎外感を感じていることですね。

それであればグループに入るように働きかければよい・・・のですが、どうやらKさんは内気な性格であるようです。

中々行動を起こすのが難しい場合には、スモールステップを意識してみましょう。

最初からグループに所属して馴染むことを目標にするのではなく、より小さな、「これならできそうだ」と感じられる目標を設定するのがポイントです。

「コントロールできること」「コントロールできないこと」を区分する

私たちがコントロールできることは、常に「自分の行動」だけです。

一方で、職場にいる先輩たちのことを直接コントロールすることはできません。

先輩から誘ってもらおうとするのではなく、自分から働きかけることが必要です。

対処例

では、実際の行動を考えてみましょう。

今回の問題を解決するための行動の例は、『仕事で必要なことを話すときに、一番仲の良い/優しい/話しやすい人に、「今度ランチをご一緒してもいいですか?」と聞く』ことです。

ポイントになるのは、「仕事で必要な話はしている」という点です。

普段話しているところに一言を加えるだけでも、変化は起こります。

小さな挑戦によって自身をつけ、少しずつ積極的に行動を起こしていってみましょう!

 

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